攻撃対象を把握せよ:ASMのススメ
セキュリティを高めたい
「情報セキュリティに関連する用語『ASM』について教えてください。」
情報セキュリティ専門家
「ASM」は「攻撃の表面積管理」という意味で、会社にあるコンピューターやネットワークが、どれくらい攻撃を受ける可能性があるかを調べ、安全対策をすることだよ。たとえば、インターネットにつながっている会社のホームページを見つけ出して、そこが攻撃されないように対策をするイメージだね。
セキュリティを高めたい
ホームページ以外にも、攻撃される可能性があるものってあるんですか?
情報セキュリティ専門家
いい質問だね!最近は、会社で使うスマホや、工場の機械など、インターネットにつながるものが増えているよね。ASMは、そういったものも含めて、攻撃される可能性を調べて、会社全体を守るために必要な対策なんだ。
ASMとは。
「ASM」っていう言葉は、情報セキュリティの分野で使われるんだけど、会社とか組織のデジタル情報や財産がサイバー攻撃に遭う危険性を洗い出して、評価して、減らすための考え方のことなんだ。簡単に言うと、インターネットを使った攻撃から会社を守るための作戦みたいなものだね。最近は、会社業務のデジタル化が進んで、サイバー攻撃の危険性も高まっているから、有効な対策として注目されているんだ。というのも、今の会社はホームページやアプリ、ネットワーク、クラウドサービスなど、いろんなデジタル情報や財産を持っていて、それをきちんと管理するのが難しくなっているからなんだ。もし、これらの情報や財産を把握しきれていないと、弱点への対策が漏れてしまって、サイバー攻撃を受けて被害に遭うケースが増えているんだ。ASMは、攻撃される可能性のある情報や財産を特定して、セキュリティの状態をチェックして危険を減らすことで、こうした問題に対処しようとしているんだ。例えば、ASMのツールを使って、インターネット上で公開しているサーバーの弱点を発見して、すぐに修正するといった対策が考えられるよ。ASMは、隠れた脅威を見つけて、組織がすぐに対応できるようにしてくれるんだ。これから、クラウドやIoT、リモートワークが増えて、攻撃される場所や情報が増えるから、ASMの重要性はもっと高まるだろうね。だから、会社はASMをセキュリティ管理の大切な要素として取り入れていこうとしているんだ。ちなみに、経済産業省も2023年5月に「ASM導入の手引き~外からわかる情報を使って、自社のIT資産を見つけて管理しよう~ 」っていう資料を出しているくらいなんだよ。
デジタル化の闇:拡大する攻撃対象とリスク
現代社会は、あらゆるものが情報技術と結びつくデジタル化の波に飲み込まれつつあります。企業活動においても、その流れは例外ではありません。企業は、ホームページ、業務アプリケーション、社内ネットワークの基盤からクラウドサービスまで、様々なデジタル資産を活用するようになっています。しかし、このデジタル化の進展は、光と影のように、新たな問題を生み出しています。それは、サイバー攻撃の増加です。
企業が利用するデジタル資産は、サイバー攻撃者にとって、まさに「攻略すべき城」のようなものです。デジタル資産が増えるということは、攻撃者が侵入を試みるための「攻撃の足がかり」が増えることを意味し、結果として、サイバー攻撃を受けるリスクが高まります。特に、近年はデジタル資産の増加と複雑化が同時に進行しており、企業が自社の資産を全て把握し、適切な安全対策を講じることが非常に困難になっています。
このような状況下では、セキュリティ対策の遅れや、システムの弱点を見過ごしてしまうといった事態が起きやすくなります。そして、このような状況は、企業がサイバー攻撃の被害に遭うリスクをさらに高めることになるのです。
デジタル化のメリット | デジタル化のデメリット |
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企業活動において、ホームページ、業務アプリケーション、社内ネットワーク基盤からクラウドサービスまで様々なデジタル資産を活用できるようになる |
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ASM:攻撃対象領域の可視化とリスクの最小化
昨今、企業を取り巻く情報セキュリティの脅威は、複雑化・巧妙化する一方です。日々、新たな攻撃手法が編み出され、企業はセキュリティ対策に終わりが見えない状況に陥っています。このような状況下で、従来型の「個々の脅威に対する場当たり的な対策」では、もはや十分な防御効果を期待することが難しくなってきています。
このような背景から、近年注目を集めているのが「攻撃対象領域管理」という概念です。これは、企業の持つ情報資産すべてをくまなく調査し、一覧できるようにすることで、攻撃されうる範囲を明確化するものです。そして、それぞれの資産の安全性を評価し、潜在的な弱点や危険性を発見・分析します。攻撃対象領域管理を導入することで、企業は自社のセキュリティ体制における弱点や見落としがちな点を把握し、適切な対策を講じることが可能になります。攻撃対象領域管理は、いわば企業のセキュリティ対策を、個々の問題に対処するのではなく、全体を俯瞰して対策する手法へと進化させるための方法論と言えるでしょう。
ASMツールの活用:具体的な対策と効果
近年、企業が保有する情報資産の重要性が高まるにつれて、セキュリティ対策も従来の方法からより進化したアプローチが求められるようになってきました。
その中で注目されているのがASM、すなわち攻撃面管理です。攻撃面管理とは、企業のシステムやネットワークを攻撃者の視点から分析し、脆弱性を特定・対策することで、より効果的かつ効率的なセキュリティ対策を実現する考え方です。
この攻撃面管理を実現する上で重要な役割を担うのが「ASMツール」です。ASMツールは、企業が保有する情報システムやネットワークを自動的に調査し、潜在的な脆弱性を洗い出す機能を備えています。例えば、企業がインターネット上に公開しているウェブサイトやシステムに対して、外部から擬似的な攻撃を実施し、セキュリティ上の弱点を見つけ出すといった使い方が可能です。
また、ASMツールの中には、発見された脆弱性に対する具体的な修正方法や対策を提案してくれるものもあります。
ASMツールを活用することで、企業は従来の手作業によるセキュリティ対策と比較して、より効率的かつ網羅的にセキュリティ対策を実施することが可能になります。
しかも、ASMツールは定期的に脆弱性診断を実施してくれるため、常に最新のセキュリティ状態を維持できるというメリットもあります。
このように、ASMツールは、変化の激しいサイバー攻撃の脅威から企業を守る上で、強力な味方と言えるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
従来のセキュリティ対策の課題 | 変化の激しいサイバー攻撃に追いついていない |
ASM(攻撃面管理)とは | 攻撃者の視点からシステムやネットワークを分析し、脆弱性を特定・対策する新しいセキュリティ対策 |
ASMツールの機能 | – システムやネットワークの自動調査による潜在的な脆弱性の洗い出し – 擬似的な攻撃によるセキュリティ上の弱点の発見 – 脆弱性に対する具体的な修正方法や対策の提案 |
ASMツールのメリット | – 効率的かつ網羅的なセキュリティ対策の実施 – 定期的な脆弱性診断による最新のセキュリティ状態の維持 |
ASMの重要性:変化への対応と未来への備え
近年、企業活動においてデジタル技術の活用が急速に進み、クラウドサービスやIoT機器の利用が拡大しています。それに伴い、企業がサイバー攻撃を受ける可能性のある範囲は広がり、セキュリティ対策の重要性はますます高まっています。さらに、在宅勤務の普及など、働く場所や時間が多様化していることも、セキュリティリスクを高める要因となっています。
このような変化の激しい状況下において、企業が自社の情報資産を安全に保護するためには、変化に柔軟に対応できるセキュリティ対策が不可欠です。従来型の、あらかじめ脅威を予測して対処する静的なセキュリティ対策だけでは、巧妙化するサイバー攻撃を防ぐことは難しくなっています。
そこで注目されているのが、ASM(攻撃表面管理)です。ASMは、企業のシステムやネットワークを外部の攻撃者の視点から分析し、攻撃可能な箇所を洗い出して対策を講じることで、セキュリティの強化を図る仕組みです。ASMを導入することで、変化の激しいデジタル環境においても、常に最新のセキュリティ対策を講じることが可能になります。ASMは、企業が安全にデジタル化を進めていくための羅針盤としての役割を担っていると言えるでしょう。
ASM導入の動き:経済産業省からの後押し
近年、巧妙化するサイバー攻撃から企業を守るために、攻撃対象領域管理(ASMAttack Surface Management)という考え方が注目を集めています。これは、まるで攻撃者がシステム外部から侵入経路を探すように、企業自身が自社のネットワークやシステムの脆弱性を洗い出し、先手を打って対策を講じるというものです。
日本でもASMの重要性に対する認識は高まりつつあり、経済産業省が旗振り役となってその普及を後押ししています。2023年5月には、「ASM導入ガイダンス~外部から把握出来る情報を用いて自組織のIT資産を発見し管理する~」と題した文書を公表しました。
このガイダンスは、ASMをこれから導入しようとする企業担当者にとって役立つ内容となっています。具体的には、ASMの基本的な考え方や導入手順に加え、実際に活用できるツールなどが具体的に解説されています。経済産業省のこのような取り組みは、セキュリティ対策に頭を悩ませる多くの日本企業にとって、ASM導入を検討する契機となると期待されています。
項目 | 内容 |
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背景 | サイバー攻撃の巧妙化に伴い、企業は外部からの侵入経路を把握し、先手を打った対策が求められている。 |
ASMとは | 攻撃対象領域管理(Attack Surface Management)。攻撃者の視点で自社の脆弱性を洗い出し、対策を講じる考え方。 |
日本における動向 | 経済産業省が中心となり、ASMの普及を推進。2023年5月には「ASM導入ガイダンス」を公表。 |
ASM導入ガイダンスの内容 | ASMの基本的な考え方、導入手順、活用できるツールなどを具体的に解説。 |
期待される効果 | セキュリティ対策に悩む多くの日本企業が、ASM導入を検討する契機となることが期待される。 |