アプリケーションを守る最後の砦、RASPとは?

アプリケーションを守る最後の砦、RASPとは?

セキュリティを高めたい

「RASP」って、アプリケーションにくっついて守ってくれるものってことはわかったんですけど、具体的にどんな風に守ってくれるんですか?普通のセキュリティソフトと何が違うんですか?

情報セキュリティ専門家

いい質問だね!普通のセキュリティソフトは、家の外に設置する防犯カメラのようなもので、外から来る怪しい人を監視しているんだ。でも、RASPは家の中にいるガードマンのようなもので、家の中に入ってしまった怪しい人の行動を監視して、怪しい行動をしたらすぐに止めることができるんだ。

セキュリティを高めたい

なるほど!じゃあ、RASPの方がセキュリティが強そうですね!

情報セキュリティ専門家

そうなんだ。だから、RASPはより重要なデータを守るために使われることが多いんだよ。特に、最近はWebサイトへの攻撃が増えているから、Webアプリケーションを守るためにRASPが使われることが増えているんだ。

RASPとは。

「情報セキュリティの分野で使われる『RASP』という言葉について説明します。『RASP』は『実行時アプリケーション selbst 保護』の略で、アプリケーションとその実行環境に直接組み込まれるセキュリティ技術です。 アプリケーションへの不正なデータ送信や攻撃を検知し、未然に防ぐ役割を担います。

RASPは、アプリケーションの開発段階から内部に組み込まれます。アプリケーション内部のデータのやり取りや要求、データベースへの問い合わせ、データの流れ、APIの使用状況、アカウントの状態などを記録します。そして、機械学習や状況判断などを駆使して、怪しい動きや動作を検知し、阻止します。

RASPを使うことで、アプリケーションが動いている最中の状態を、刻々と監視することができます。製品によっては、APIやマイクロサービス、携帯電話のアプリケーションの保護にも対応しています。

RASPは、開発チームがテストを行う際にも活用されます。また、「WAF」と呼ばれる別のセキュリティ技術と組み合わせることで、ウェブアプリケーションを保護するためにも使われています。

アプリケーション内部からの防御

アプリケーション内部からの防御

従来の情報保護対策は、家の周りの塀を高くするように、外部からの侵入を防ぐことに重点が置かれてきました。しかし、犯罪の手口が巧妙化するように、攻撃の手口も日々高度化しており、外部からの防御だけでは限界があります。たとえ家の周りの防御が堅牢でも、窓を閉め忘れていたり、鍵のかけ忘れがあった場合、侵入を許してしまう可能性があります。
そこで注目されているのが、アプリケーション内部からの防御を可能にするRASP(Runtime Application Self-Protection)です。
RASPは、アプリケーション自身が自分の身を守る機能を持っているイメージです。アプリケーションの内部に組み込まれ、動作を常時監視することで、外部からの攻撃だけでなく、内部からの不正アクセスや情報漏えいなど、多岐にわたる脅威からアプリケーションを守ります
RASPは、攻撃を検知すると、直ちにその攻撃を遮断し、被害の拡大を防ぎます。また、管理者へアラートを送信することで、迅速な対応を可能にします。
このようにRASPは、従来のセキュリティ対策では防ぎきれなかった攻撃からアプリケーションを守る、最後の砦として期待されています。

従来の情報保護対策 RASP
外部からの侵入を防ぐことに重点 アプリケーション内部からの防御
攻撃の高度化により限界あり 多岐にわたる脅威からアプリケーションを守る
攻撃を検知すると直ちに遮断、被害拡大を防止
管理者へアラートを送信し迅速な対応が可能

RASPの概要と仕組み

RASPの概要と仕組み

– RASPの概要と仕組み近年、企業システムやWebアプリケーションを狙ったサイバー攻撃が増加の一途を辿っています。このような攻撃から貴重な情報資産を守るためには、従来の外部からの防御に加えて、アプリケーション内部のセキュリティ対策が重要となっています。そこで注目されているのが、RASP(Runtime Application Self-Protection)です。従来のセキュリティ対策では、ファイアウォールやIDS/IPSといった外部からの侵入を防ぐ仕組みが中心でした。しかし、これらの仕組みは、あくまで外部からの攻撃を検知・防御するものであり、アプリケーション内部の脆弱性や内部からの不正アクセスを防ぐことは困難でした。一方、RASPは、アプリケーション自身にセキュリティ機能を組み込むことで、アプリケーション内部の挙動を監視し、攻撃をリアルタイムに検知・防御することができます。具体的には、RASPは、アプリケーションの内部で動作するエージェントのようなものであり、アプリケーションへの入力値やリクエスト、データベースへのクエリなどを監視しています。そして、不正な振る舞いを検知した場合には、リアルタイムで処理をブロックしたり、管理者に通知したりすることができます。RASPの大きな利点は、アプリケーションの内部で動作するため、攻撃をより的確に検知・防御できる点にあります。また、アプリケーションごとに個別にセキュリティ対策を講じる必要がなく、開発効率の向上にも繋がります。このように、RASPは、従来のセキュリティ対策ではカバーしきれなかった部分を補完する、新しいセキュリティ対策として期待されています。

項目 内容
概要 近年増加するサイバー攻撃から情報資産を守るため、アプリケーション内部のセキュリティ対策として注目されている技術
従来のセキュリティ対策との違い ファイアウォールやIDS/IPSのような外部からの防御ではなく、アプリケーション自身にセキュリティ機能を組み込むことで内部からの攻撃を防御
仕組み アプリケーション内部で動作するエージェントが、入力値やリクエスト、データベースへのクエリなどを監視し、不正な振る舞いを検知した場合、リアルタイムで処理をブロックしたり、管理者に通知したりする
利点 – アプリケーション内部で動作するため、攻撃をより的確に検知・防御できる
– アプリケーションごとに個別にセキュリティ対策を講じる必要がなく、開発効率の向上に繋がる

RASPの利点

RASPの利点

– RASPの利点従来のセキュリティ対策は、アプリケーションの外側から守ることに重点を置いていましたが、攻撃手法の巧妙化に伴い、外部からの防御だけでは限界があります。そこで注目されているのが、アプリケーションの内部に組み込んで保護するRASPです。RASPは、従来のセキュリティ対策と比べて、より高いレベルでアプリケーションを守ることができます。RASPの大きな利点の一つに、アプリケーション内部の動作を監視できる点があります。従来のセキュリティ対策では困難だった、アプリケーション内部のデータの流れやロジックを把握することができるため、不正なアクセスや攻撃をより正確に検知することが可能になります。また、RASPは、攻撃を検知した場合にリアルタイムで防御することができます。従来のセキュリティ対策では、攻撃を検知してから対応までに時間を要していましたが、RASPはアプリケーションに組み込まれているため、攻撃を検知した瞬間に防御することができ、被害を最小限に抑えることが可能です。さらに、RASPは、アプリケーションの改修が不要であるため、導入が容易である点も大きなメリットです。従来のセキュリティ対策では、アプリケーションの改修が必要になる場合があり、導入に多大な時間とコストがかかっていました。しかし、RASPはアプリケーションにエージェントを組み込むだけで利用できるため、導入が容易で、既存のアプリケーションにもスムーズに適用することができます。このように、RASPは、従来のセキュリティ対策と比べて多くの利点があり、アプリケーションをより安全に保護するための有効な手段として期待されています。

RASPの利点 詳細
アプリケーション内部の動作を監視できる 従来のセキュリティ対策では困難だった、アプリケーション内部のデータの流れやロジックを把握することができるため、不正なアクセスや攻撃をより正確に検知することが可能になります。
リアルタイムで防御 従来のセキュリティ対策では、攻撃を検知してから対応までに時間を要していましたが、RASPはアプリケーションに組み込まれているため、攻撃を検知した瞬間に防御することができ、被害を最小限に抑えることが可能です。
アプリケーションの改修が不要 従来のセキュリティ対策では、アプリケーションの改修が必要になる場合があり、導入に多大な時間とコストがかかっていました。しかし、RASPはアプリケーションにエージェントを組み込むだけで利用できるため、導入が容易で、既存のアプリケーションにもスムーズに適用することができます。

RASPの活用事例

RASPの活用事例

– RASPの活用事例

RASPは、従来のセキュリティ対策では防ぎきれなかったアプリケーション層への攻撃をリアルタイムに検知・防御する技術として、様々な場面で活用され始めています。

例えば、金融機関のオンラインバンキングシステムでは、RASPを活用して不正送金を防ぐ取り組みが進んでいます。
オンラインバンキングは、顧客の預金残高や取引履歴といった重要な情報を扱っており、サイバー攻撃の標的になりやすいという側面があります。
RASPは、アプリケーションへの攻撃をリアルタイムに監視し、不正な取引と判断した場合には、その取引を遮断することで、顧客の大切な資産を守ります。

また、インターネット上で商品やサービスを販売するECサイトにおいても、RASPは重要な役割を担っています。
ECサイトでは、顧客のクレジットカード情報など、決済に不可欠な情報を取り扱うため、セキュリティ対策は非常に重要です。
RASPは、クレジットカード情報の盗難やなりすましなどの攻撃を検知し、未然に防ぐことで、顧客の安全なオンラインショッピング体験を支えています。

さらに、氏名や住所、電話番号といった個人情報を取り扱うシステムにおいても、RASPの導入が進んでいます。
近年、個人情報の漏洩は、企業の信頼を失墜させるだけでなく、大きな損害をもたらす可能性があることから、その対策は喫緊の課題となっています。
RASPは、個人情報への不正アクセスや情報漏洩の試みをいち早く察知し、適切な対策を講じることで、企業の社会的責任を果たすための一助となっています。

活用事例 RASPの役割
金融機関のオンラインバンキングシステム 不正な取引をリアルタイムに検知・遮断し、不正送金を防ぐ。
ECサイト クレジットカード情報の盗難やなりすましなどの攻撃を検知・防御し、顧客の安全なオンラインショッピング体験を支える。
氏名や住所、電話番号といった個人情報を取り扱うシステム 個人情報への不正アクセスや情報漏洩の試みを検知し、適切な対策を講じることで、企業の社会的責任を果たす。

RASPとWAFとの違い

RASPとWAFとの違い

– RASPとWAFの違いWebアプリケーションの安全を守る技術として、RASPとWAFはしばしば比較されます。どちらもWebアプリケーションを狙った攻撃を防ぐという目的は同じですが、その働きには大きな違いがあります。WAFは、Webアプリケーションの手前に設置される「門番」のようなものです。外部からの攻撃を検知し、怪しいアクセスを遮断することで、Webアプリケーションを守ります。まるで城壁のように、Webアプリケーションへの攻撃を未然に防ぐ役割を担います。一方、RASPは、Webアプリケーションに直接組み込まれる「警備員」のような存在です。Webアプリケーションの内部で動作し、常に監視を行うことで、より細かいレベルでの攻撃検知と防御を可能にします。城壁の内側で、侵入者を監視し、怪しい動きをする者を捕まえる役割を担います。WAFは、外部からの攻撃を効率的に防ぐことができるという点で優れています。しかし、Webアプリケーション内部の脆弱性を突く攻撃や、正規のユーザーになりすました攻撃を防ぐことはできません。RASPは、Webアプリケーション内部の攻撃も検知し、防御することができるという点でWAFよりも優れています。しかし、WAFのように大量のアクセスを処理する能力は高くありません。そのため、WAFとRASPを組み合わせることで、より強固なWebアプリケーションセキュリティ対策を実現することができます。WAFで外部からの攻撃をブロックし、RASPで内部からの攻撃を防ぐことで、多層的な防御体制を構築することが可能になります。

項目 WAF RASP
設置場所 Webアプリケーションの手前 Webアプリケーションに組み込まれる
動作 外部からの攻撃を検知し、遮断 Webアプリケーション内部で動作し、常に監視を行う
特徴 外部からの攻撃を効率的に防ぐことができる
Webアプリケーション内部の脆弱性を突く攻撃や、正規のユーザーになりすました攻撃を防ぐことはできない
Webアプリケーション内部の攻撃も検知し、防御することができる
大量のアクセスを処理する能力は高くない
メリット – 導入が比較的容易
– コストが低い
– より精密な攻撃検知が可能
– ゼロデイ攻撃にも対応可能
デメリット – 内部からの攻撃や、正規ユーザーになりすました攻撃を防ぐことができない
– 誤検知の可能性がある
– 導入が複雑
– コストが高い
– パフォーマンスへの影響がある場合がある

今後の展望

今後の展望

– 今後の展望

悪意のある攻撃の手法は、技術の進歩とともに日々巧妙化しており、それに対抗するセキュリティ対策も絶えず進化していく必要に迫られています。従来型のセキュリティ対策は、外部からの侵入を阻止することに重点を置いていましたが、攻撃手法の高度化に伴い、システム内部に侵入されてしまうケースや、侵入を完全に防ぐことが難しいケースも増加しています。

このような状況下において、近年注目を集めているのがRASP(Runtime Application Self-Protection)です。RASPは、アプリケーション自身にセキュリティ機能を組み込むことで、従来型のセキュリティ対策では防ぎきれなかった攻撃をリアルタイムに検知・防御することを可能にします。

RASPは、攻撃を未然に防ぐだけでなく、万が一攻撃が成功した場合でも、被害を最小限に抑える効果も期待できます。そのため、今後ますます多くのアプリケーションに導入され、セキュリティ対策の重要な要素として、その役割を強めていくと考えられます。

従来のセキュリティ対策 今後のセキュリティ対策
外部からの侵入阻止に重点 アプリケーション自身にセキュリティ機能を組み込み(RASP)
侵入を完全に防ぐことが難しいケース増加 リアルタイムに攻撃を検知・防御
被害を最小限に抑える効果