攻撃対象を可視化するASMとは
セキュリティを高めたい
先生、「攻撃表面管理」っていう言葉を最近よく聞くんですけど、これはどういう意味ですか?
情報セキュリティ専門家
良い質問だね! インターネットやクラウドが普及したことで、企業が外部に公開する情報システムやデータが増えました。これらの外部に公開された部分が、攻撃者から見ると、ちょうど家の壁の表面のように見えることから、「攻撃表面」と呼ばれています。「攻撃表面管理」は、この攻撃表面を洗い出して、セキュリティ対策を講じることだよ。
セキュリティを高めたい
なるほど。家の壁の表面が増えるほど、泥棒に入られやすくなるのと同じように、インターネットに公開するものが増えるほど、攻撃を受ける危険性も高くなるんですね。
情報セキュリティ専門家
その通り! だから、攻撃表面管理は、企業にとって非常に重要なんだよ。
ASMとは。
「情報セキュリティの分野で使われる『ASM』という言葉について説明します。『ASM』は『Attack Surface Management』の略語で、日本語では『攻撃表面管理』と言います。これは、攻撃する側から見て狙いやすい組織の情報を守るための活動や仕組みのことです。特に、インターネット上に公開されていて、誰でも見ることができる情報システムやデータを守ることを指します。インターネットやクラウドが広まったことで、攻撃者が狙う対象が増えました。そこで、攻撃される可能性のある情報システムやデータを洗い出し、守りを固める取り組みが大切になっています。この『ASM』は、近年注目されている考え方です。特に、インターネット上に公開された情報を減らしたり、適切に管理したりするセキュリティ対策のことを『EASM』と呼ぶこともあります。
はじめに
– はじめ昨今、企業を狙ったサイバー攻撃は増加の一途をたどっており、その手口も巧妙化しています。企業が保有する顧客情報や技術情報などの重要な情報資産をこれらの攻撃から守ることは、企業の存続を左右する重大な課題となっています。このような状況の中、情報セキュリティ対策において従来型の「境界防御」だけでは限界があるという認識が広まっています。境界防御とは、ファイアウォールや侵入検知システムなどを用いて、外部からの攻撃を遮断しようとする考え方です。しかし、クラウドサービスの利用やテレワークの普及など、企業のシステム環境が複雑化する中で、境界防御だけでは全ての攻撃を防ぐことは難しくなっています。そこで注目されているのが、「攻撃表面管理(Attack Surface Management ASM)」という概念です。これは、攻撃者の視点に立って、企業のシステムのどこに脆弱性があるのかを洗い出し、対策を講じるというものです。具体的には、企業が公開しているサーバーやアプリケーション、従業員が利用しているデバイスなどを網羅的に調査し、脆弱性やセキュリティ設定の不備を特定します。そして、それらの脆弱性をついた攻撃を想定し、必要な対策を講じることで、攻撃による被害を最小限に抑えることを目指します。ASMは、従来のセキュリティ対策とは異なる視点を持つものであり、企業のセキュリティレベルを向上させるために非常に有効な手段となります。
従来型セキュリティ対策の課題 | 攻撃表面管理(ASM)とは | ASMのメリット |
---|---|---|
クラウドサービスの利用やテレワークの普及など、企業のシステム環境が複雑化する中で、境界防御だけでは全ての攻撃を防ぐことが困難 | 攻撃者の視点に立って、企業のシステムのどこに脆弱性があるのかを洗い出し、対策を講じるという考え方 | 企業のセキュリティレベルを向上させるために非常に有効な手段 |
攻撃表面の拡大とASMの必要性
インターネットやクラウドサービスが広く使われるようになり、企業のシステムは複雑化し、外部に公開される範囲も広がっています。これは、攻撃者が侵入を試みる際の標的となりうる「攻撃表面」の拡大を意味します。
従来のセキュリティ対策は、既に知られている脅威を防ぐことを主眼としていました。しかし、近年では、未知の脆弱性を突いた攻撃が増加しており、攻撃表面全体を把握し、包括的に対策することが求められています。
このような状況下で、ASM(アタックサーフェス管理)の重要性が高まっています。ASMとは、企業のシステムを外部からの視点で分析し、攻撃者が狙う可能性のある脆弱性を洗い出すことで、攻撃表面を可視化する取り組みです。ASMを導入することで、従来の手法では見つけることが難しかった、未知の脆弱性や設定ミスなどを発見し、対策を講 seじることができます。
ASMは、変化の激しいサイバーセキュリティの脅威から企業システムを守る上で、欠かせない要素になりつつあります。
課題 | 対策 |
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インターネットやクラウドサービスの普及によるシステムの複雑化、攻撃表面の拡大 | 攻撃表面全体を把握し、包括的に対策することが必要 |
未知の脆弱性を突いた攻撃の増加 | ASM(アタックサーフェス管理)の導入 |
ASMでできること
攻撃表面管理(ASM)は、企業のシステムを守る上で欠かせない要素です。企業のシステムは、外部に公開されたサーバーやアプリケーション、様々なソフトウェアなど、多くの要素で構成されています。そして、これらの要素には、それぞれセキュリティ上の弱点が存在する可能性があります。ASMは、企業のシステム全体を隅々までスキャンし、攻撃者が侵入経路として利用する可能性のある脆弱性を洗い出す「探索」の役割を担います。
具体的には、ASMは、外部に公開されているサーバーやアプリケーションの種類やそのバージョン、使用されているソフトウェアとそのバージョン、公開されているポート番号などを特定します。これらの情報は、ダッシュボードなどで分かりやすく可視化されます。ASMは、膨大な情報の中からリスクの高い脆弱性を優先的に表示することで、セキュリティ担当者が効率的に対策を行えるよう支援します。
近年、企業のシステムは複雑化しており、従来のセキュリティ対策だけでは、全ての脆弱性をカバーすることが難しくなっています。ASMは、企業の外部に公開されているシステムを網羅的に把握し、潜在的な脆弱性を可視化することで、より強固なセキュリティ体制の構築に貢献します。
攻撃表面管理(ASM)の役割 | 具体的な機能 | メリット |
---|---|---|
企業システムの脆弱性探索 | – 公開サーバー/アプリケーションの種類/バージョンの特定 – 使用ソフトウェアとそのバージョンの特定 – 公開ポート番号の特定 – ダッシュボードでの可視化 – リスクの高い脆弱性の優先表示 |
– セキュリティ担当者による効率的な対策が可能 |
網羅的なシステム把握と可視化によるセキュリティ体制の強化 | – 企業の外部公開システムの網羅的把握 – 潜在的な脆弱性の可視化 |
– より強固なセキュリティ体制の構築 |
ASMの効果
– ASMの効果攻撃表面管理(ASM)を導入することで、企業は自社のセキュリティ対策の現状を把握し、改善すべき点を明確化できます。ASMは、企業のシステムやネットワークを外部の攻撃者の視点から分析し、潜在的な脆弱性やリスクを洗い出すプロセスです。これにより、従来は見過ごされていたようなセキュリティ上の弱点も発見できるようになり、より包括的な対策を講じることが可能になります。ASMの効果として特に大きいのは、攻撃表面の縮小です。攻撃表面とは、攻撃者が企業のシステムに侵入するために利用可能な経路や手段を指します。ASMを通じて不要なサービスやポートを閉鎖したり、脆弱性のあるソフトウェアを最新の状態に保ったりすることで、攻撃者が足掛かりを得ることを困難にすることができます。その結果、サイバー攻撃による被害を未然に防ぐ効果も期待できます。ASMは、セキュリティ対策の効率化にも貢献します。限られたリソースの中で効果的なセキュリティ対策を行うためには、どこに注力すべきかを明確にする必要があります。ASMによって潜在的なリスクの高い箇所が明らかになるため、優先順位を付けて対策を進めることが可能になります。このように、ASMは企業のセキュリティレベル向上に大きく貢献する有効な手段と言えるでしょう。
ASMのメリット | 内容 |
---|---|
攻撃表面の縮小 | 不要なサービスやポートの閉鎖、脆弱性のあるソフトウェアのアップデートなどにより、攻撃経路を減らす |
セキュリティ対策の効率化 | リスクの高い箇所を特定し、優先順位を付けて対策可能にすることで、リソースの効率的な活用が可能になる |
セキュリティ対策の現状把握 | 外部の攻撃者の視点からシステムやネットワークを分析することで、潜在的な脆弱性やリスクを洗い出す |
包括的な対策の促進 | 従来の見落としがちなセキュリティ上の弱点も発見可能になることで、より網羅的な対策を実現 |
EASMとの関係
攻撃表面管理(ASM)の中でも、特にインターネット上に公開されたシステムやリソースに焦点を当てたものを外部攻撃表面管理(EASM)と呼びます。EASMは、企業が認識していない、あるいは管理が行き届いていない外部公開資産を特定し、セキュリティリスクを低減するために重要な役割を果たします。
企業は、Webサイト、アプリケーション、サーバー、クラウドサービスなど、様々なリソースをインターネット上に公開しています。これらのリソースは、攻撃者にとって格好の標的となり得ます。しかし、企業は自社の外部公開資産の全体像を把握できていないことが多く、セキュリティ対策が不十分なまま放置されているケースも少なくありません。
EASMは、企業の外部から見た攻撃対象領域を網羅的に把握し、脆弱性を検出することで、外部からの攻撃に対する防御を強化します。具体的には、インターネット上の公開情報を収集・分析し、企業が認識していないWebサイトやサーバー、サブドメインなどを特定します。また、Webアプリケーションの脆弱性スキャンや、公開されている設定情報の分析などを行い、セキュリティリスクを洗い出します。
EASMによって得られた情報は、セキュリティ対策の優先順位付けや、適切な対策の実施に役立ちます。企業はEASMを活用することで、外部からの攻撃に対するリスクを低減し、情報資産を保護することができます。
外部攻撃表面管理(EASM)とは | EASMの役割 | EASMでできること | EASMのメリット |
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インターネット上に公開されたシステムやリソースに焦点を当てた攻撃表面管理 | 企業が認識していない、あるいは管理が行き届いていない外部公開資産を特定し、セキュリティリスクを低減 |
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まとめ
昨今、企業を標的とした、情報セキュリティを脅かす事案が後を絶ちません。従来型の対策だけでは、もはや企業の安全を守ることは難しいと言えます。悪意のある攻撃者たちの行動は、日々巧妙化しており、企業はこれまで以上に高度なセキュリティ対策が求められています。
このような状況下で、注目を集めているのが「攻撃シミュレーション(ASM)」です。ASMは、攻撃者の視点に立って、企業のセキュリティ対策の弱点を見つけ出すことができるツールです。実際に攻撃を仕掛けてみることで、机上の空論ではない、現実的な脅威を明らかにすることができます。
ASMを活用することで、企業は自社のセキュリティ対策の穴を事前に把握し、対策を講じることが可能になります。変化し続ける脅威の状況にも、ASMを通じて柔軟に対応していくことができます。企業は、ASMをセキュリティ対策の重要な一環として位置づけ、積極的に活用していくことで、より強固なセキュリティ体制を構築していくことが求められます。