データ保護の要!3-2-1ルールとは?
セキュリティを高めたい
先生、「3-2-1ルール」って、どういう意味ですか?
情報セキュリティ専門家
それはね、大切なデータをしっかりと守るための合言葉なんだよ。 3つの場所に、2種類の方法で、そして1つは安全な場所に保管するんだよ。
セキュリティを高めたい
うーん、ちょっと難しいです。具体的に教えてください!
情報セキュリティ専門家
例えば、卒業アルバムを例に考えてみようか。まず、パソコン、USBメモリ、そして印刷して実家に保管する。これが3つの場所と2種類の方法になるよね。そして実家はインターネットに繋がっていないから安全な場所になる。このように大切なデータを保管するのが「3-2-1ルール」なんだよ!
3-2-1ルールとは。
「3-2-1ルール」という情報セキュリティの考え方は、組織が情報を大切に保管するための方法として推奨されています。このルールは、常に情報の写しを3つ作り、それぞれを違う種類の場所に保管し、そのうち1つはインターネットから切り離した安全な場所に保管することから、その名前がつきました。近年、身代金目的のコンピューターウイルスによる攻撃が増加し、組織にとって情報の復旧が急務となっています。そのため、「3-2-1ルール」のような対策が求められています。「3-2-1ルール」は、ピーター・クローさんが2005年に出版したデジタル資産管理の本で初めて紹介されました。現在、アメリカのサイバーセキュリティ機関であるUS-CERTは、情報のバックアップ方法の推奨としてこのルールを掲げ、ピーター・クローさんのコラムを紹介しています。イギリスの国立サイバーセキュリティセンターも、バックアップ戦略の基本として「3-2-1ルール」に言及しています。さらに、情報のバックアップ戦略の基準の一つとして、アメリカ国立標準技術研究所が発行する「NISTSP800-209ストレージ・インフラストラクチャのためのセキュリティガイドライン」があります。
データ消失の脅威
今日のビジネスの世界では、企業が活動を続ける上で、データは欠かせないものとなっています。顧客情報、販売記録、設計図面など、データは企業活動を支える基盤となっています。しかし、こうした重要なデータは、さまざまな危険にさらされていることを忘れてはなりません。地震や洪水などの自然災害、うっかりミスによる消去や上書きといった人的ミス、そして悪意のある第三者によるサイバー攻撃など、データ消失のリスクは常に存在します。近年、特に増加しているのが、ランサムウェアを使ったサイバー攻撃です。これは、企業の重要なデータを暗号化して使えなくしてしまい、その復号を条件に金銭を要求するという手口です。このような事態に直面した場合、企業は業務に大きな支障をきたし、経済的な損失を被るだけでなく、信頼を失墜させてしまう可能性もあります。このようなデータ消失の脅威から企業を守るために、最も重要な対策の一つが適切なバックアップ戦略です。重要なデータは定期的にバックアップを取り、安全な場所に保管することで、万が一データ消失が発生した場合でも、速やかに復旧することができます。
データ消失の原因 | 説明 |
---|---|
自然災害 | 地震や洪水などによるデータ消失 |
人的ミス | うっかりミスによる消去や上書きなどによるデータ消失 |
サイバー攻撃 | 悪意のある第三者によるデータ消失。近年はランサムウェアによる攻撃が増加 |
データ消失対策 | 説明 |
---|---|
適切なバックアップ戦略 | 重要なデータは定期的にバックアップを取り、安全な場所に保管することで、万が一データ消失が発生した場合でも、速やかに復旧することができます。 |
3つのコピーで守りを固める
大事なデータが消えてしまうリスクを減らすための効果的な方法として、「3-2-1ルール」という考え方があります。これは、データをしっかりと守るために、常に3つのデータのコピーを持つようにするというルールです。
では、3つのコピーとは具体的にどのようなものでしょうか?
まず、1つ目は実際に普段使っているデータそのものです。2つ目は、この普段使いのデータの複製を作っておくことを意味します。ただし、同じ場所に保管していては、災害などで一度に失われてしまう可能性があります。そこで、3つ目のコピーは、2つ目のコピーとは全く別の場所に保管します。このように、複数の場所にデータを保管しておくことで、万が一ある場所でデータが消えてしまっても、他の場所にあるデータを使って復旧できる可能性が高まります。
例えば、普段使いのデータはパソコンに保存し、2つ目のコピーは外付けのハードディスクに保存します。そして、3つ目のコピーは遠く離れた場所にあるクラウドサービスに保存する、といった具合です。このように、「3-2-1ルール」に従ってデータを管理することで、より安全にデータを保管し、いざというときに備えることができます。
コピー | 説明 | 保管場所例 |
---|---|---|
1 つ目のコピー | 普段使いのデータ | パソコン |
2 つ目のコピー | 1 つ目のコピーの複製 | 外付けハードディスク |
3 つ目のコピー | 2 つ目のコピーとは全く別の場所に保管 | クラウドサービス |
異なる媒体でリスク分散
– 異なる媒体でリスク分散データは、私たちにとって非常に重要な資産です。しかし、データは、災害や事故、機器の故障など、様々なリスクにさらされています。もし、これらのリスクによってデータが失われてしまうと、業務が停止したり、お客様に迷惑をかけてしまったり、場合によっては会社の存続に関わるような深刻な事態に陥る可能性もあります。そこで重要となるのが、「異なる媒体でリスク分散」という考え方です。これは、データを複数の場所に、異なる種類の媒体に保存しておくことで、ある媒体に何かしらの問題が発生した場合でも、他の媒体に保存されたデータは影響を受けずに済み、データの損失を防ぐことができるという考え方です。具体的には、「3-2-1ルール」と呼ばれる方法があります。これは、データを3つの場所に、異なる2種類の媒体に保存し、さらにそのうち1つは物理的に離れた場所に保管するというルールです。例えば、日々の業務で利用するデータは、業務用パソコンに保存します。これは、データへのアクセスが容易で、業務効率の観点から非常に便利です。しかし、パソコンが故障したり、ウイルスに感染したりするリスクがあります。そこで、2つ目のコピーとして、外付けハードディスクにデータを保存します。外付けハードディスクは、パソコンとは別の場所に保管しておくことで、パソコンに何かあってもデータを守ることができます。そして、3つ目のコピーは、クラウドストレージサービスを利用します。クラウドストレージサービスは、インターネット上のサーバーにデータを保存するため、火災や地震などの災害時にもデータを守ることができます。このように、異なる種類の媒体にデータを分散して保存しておくことで、より強固にデータを保護することができます。データの重要性はますます高まっています。「異なる媒体でリスク分散」を実践し、大切なデータを守りましょう。
ルール | 内容 | 例 | メリット | リスク |
---|---|---|---|---|
3 | データを3つの場所に保存する | 業務用PC、外付けHDD、クラウドストレージ | 1箇所でデータ損失が発生しても、他の2箇所から復旧できる | – |
2 | 異なる2種類の媒体に保存する | HDD、SSD、クラウド、光学メディアなど | 特定の種類の媒体で障害が発生しても、他の種類の媒体は影響を受けない | – |
1 | 1つは物理的に離れた場所に保管する | クラウドストレージ、遠隔地データセンターなど | 火災や地震などの広範囲災害時にもデータを守ることができる | データへのアクセス速度が遅くなる可能性がある |
オフライン環境の重要性
– オフライン環境の重要性昨今、企業にとってデータは生命線とも言えるほど重要度を増しており、その保護は喫緊の課題となっています。情報漏洩やデータ消失は、企業の信頼を失墜させ、多大な損害をもたらす可能性があります。そのため、堅牢なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。その中でも、「3-2-1ルール」と呼ばれるデータバックアップの考え方は、データ保護の基本原則として広く知られています。これは、データを3つの異なる場所に、2種類以上の異なる媒体で保存し、そのうち1つはオフライン環境に置くというものです。オフライン環境とは、インターネットなどのネットワークに接続されていない状態を指します。近年猛威を振るっているランサムウェア攻撃では、ネットワークに接続された端末が狙われ、保存されているデータが暗号化されてしまうケースが後を絶ちません。身代金を要求されるだけでなく、業務が完全に停止に追い込まれるなど、その被害は甚大です。しかし、オフライン環境にデータを保管しておけば、仮にネットワーク上のデータが攻撃を受けても、被害を最小限に抑えることができます。ネットワークから物理的に切り離されているため、攻撃者がアクセスすること自体が困難になるからです。オフライン環境の構築は、決して難しいことではありません。例えば、外付けのハードディスクやテープドライブにデータを保存し、普段は安全な場所に保管しておくことが考えられます。重要なのは、これらのデバイスをネットワークから完全に切り離しておくことです。このように、オフライン環境の活用は、ランサムウェアなどのサイバー攻撃から貴重なデータを守るための、非常に有効な手段と言えるでしょう。
ルール | 内容 | メリット |
---|---|---|
3-2-1ルール |
|
データ消失やサイバー攻撃による被害を最小限に抑える |
オフライン環境の構築 | 外付けHDDやテープドライブをネットワークから完全に切り離してデータを保管 | ランサムウェアなどのサイバー攻撃から貴重なデータを守る |
3-2-1ルールの広がり
「3-2-1ルール」という言葉をご存知でしょうか。これは、2005年に出版されたデジタル資産の管理方法に関する書籍がきっかけで、広く知られるようになりました。
3-2-1ルールは、デジタルデータの消失や破損といったトラブルから大切なデータを守るための方法として、今や世界中で注目されています。
アメリカの国土安全保障省の傘下にある、サイバーセキュリティやインフラストラクチャのセキュリティを担当する機関であるCISAや、イギリスのサイバーセキュリティ対策の中核を担うNCSCといった、国の安全を守る機関でさえも、データ保護の最も効果的な方法として、この3-2-1ルールを推奨しています。
さらに、アメリカの国立標準技術研究所NISTが発表している「ストレージ・インフラストラクチャのためのセキュリティガイドライン」のような、世界中で参考にされている標準規格においても、データの複製を保存しておく戦略の重要な要素として、3-2-1ルールが取り上げられています。
このように、3-2-1ルールは、もはや一部の専門家だけが知るものではなく、世界中の企業や組織、そして個人にとっても、デジタルデータを守るための必須知識になりつつあると言えるでしょう。