IRM:機密情報を守るための技術

IRM:機密情報を守るための技術

セキュリティを高めたい

先生、「情報セキュリティ」の授業で出てきた『IRM』って、どういう意味ですか?

情報セキュリティ専門家

「IRM」は、大切な情報を守るための技術だね。例えば、会社の大事な書類を、許可された人だけが読めるようにしたり、決められた期間しか見られないようにしたりできるんだ。

セキュリティを高めたい

なるほど。でも、それって、パソコンのパスワード機能と何が違うんですか?

情報セキュリティ専門家

パスワードは、パソコン自体へのアクセスを制限するものだね。「IRM」は、ファイルや書類一つ一つに対して、もっと細かくルールを設定できるんだ。例えば、上司は閲覧だけ許可して、部下は編集もできるように設定したりできるんだよ。

IRMとは。

「情報セキュリティの分野で『IRM』という言葉を見かけることがあります。これは、英語の『Information Rights Management』の頭文字をとったもので、日本語では決まった訳語がなく、『インフォメーション・ライツ・マネジメント』のように英語そのままに表記されることもあります。IRMとは、企業などが守るべき大切な情報を、許可されていない人が見たり使ったりできないようにする技術のことです。例えば、IRMを使うことで、権限のない人が重要なファイルや書類をコピーしたり、他の場所に貼り付けたり、誰かに送ったり、印刷したりすることを防ぐことができます。また、誰がファイルを見たり編集したりできるかを細かく設定したり、いつまでファイルにアクセスできるかを決めたりすることもIRMの機能に含まれます。IRMの仕組みを提供している会社はマイクロソフトなど複数あり、それぞれが独自のIRMの製品やサービスを提供しています。なお、IRMは、映画や音楽、ゲームソフトなどの著作権を守る技術であるデジタル著作権管理(DRM)の一種という見方もできます。」

IRMとは

IRMとは

– 情報資産の保護壁となるIRMとはIRMとは、”Information Rights Management”の略称で、日本語では”情報権限管理”と訳されます。企業にとって、顧客情報や財務情報、技術情報といった機密情報は、まさに生命線とも言える重要な資産です。もしもこれらの情報が外部に漏洩してしまうと、企業は信用を失墜し、多大な損害を被ることになりかねません。IRMは、このような事態を防ぐために、情報資産に対するアクセス権限を厳密に管理する技術です。

従来の情報セキュリティ対策では、ファイアウォールやウイルス対策ソフトなどを用いて、外部からの不正アクセスを遮断することに重点が置かれていました。しかし、近年では、従業員による情報漏洩や、悪意を持った内部者による情報持ち出しといった、内部からの脅威が増加しています。IRMは、こうした内部からの脅威にも対応できる点が大きな特徴です。

具体的には、IRMを導入することにより、文書やファイルなどの電子データに対して、閲覧、編集、印刷、複製といった操作を制限することができます。例えば、特定の部署の担当者にのみ閲覧を許可したり、編集はできないが閲覧は可能な状態に設定したりすることが可能です。また、アクセスログを記録することで、誰がいつどの情報にアクセスしたのかを把握することもできます。このように、IRMは、情報へのアクセスを制限し、追跡可能にすることで、情報漏洩のリスクを大幅に低減します。

項目 説明
IRMとは Information Rights Managementの略称で、情報権限管理のこと。情報資産へのアクセス権限を厳密に管理する技術。
従来の情報セキュリティ対策との違い 従来は外部からの不正アクセス遮断に重点が置かれていたが、IRMは従業員による情報漏洩など内部からの脅威にも対応できる。
IRMの機能 文書やファイルなどの電子データに対して、閲覧、編集、印刷、複製といった操作を制限することができる。アクセスログの記録により、誰がいつどの情報にアクセスしたのかを把握可能。
IRMの効果 情報へのアクセスを制限し、追跡可能にすることで、情報漏洩のリスクを大幅に低減する。

IRMでできること

IRMでできること

– 情報漏えい対策の要!IRMで実現するファイルの厳格管理とは?

企業にとって、情報資産の保護は事業の成否を左右する重要な課題です。特に、顧客情報や社外秘資料などの機密情報は、厳重に管理しなければなりません。そこで注目されているのが、IRM(Information Rights Management)です。IRMは、デジタルデータの利用範囲を制限することで、情報漏えいを防ぐための技術です。

IRMを導入すると、具体的にどのようなことができるのでしょうか? 大きく分けて、以下の3つの機能が挙げられます。

-1. ファイルへのアクセスを厳格に管理-
IRMでは、ファイルや文書に対して、閲覧、編集、印刷、複製など、ユーザーがどのような操作を許可するかを細かく設定できます。アクセス権限のないユーザーは、ファイルを開くことすらできません。例えば、特定の部署のメンバーだけにアクセスを許可したり、外部の取引先には閲覧のみを許可したりといったことが可能です。

-2. アクセス有効期限の設定で情報へのアクセスを制御-
ファイルにアクセスできる期間を限定することも可能です。例えば、特定の日時になったらファイルが開けなくなったり、一定期間が経過したら自動的にファイルが削除されるように設定したりできます。これにより、期限を過ぎた情報へのアクセスを遮断し、情報漏えいのリスクを低減できます。

-3. 操作ログで不正アクセスを早期発見-
誰が、いつ、どのファイルにアクセスしたのか、といった操作ログを記録することができます。誰がファイルを開き、編集したのかを追跡できるため、もし情報漏えいなどの問題が発生した場合でも、迅速に原因を特定し、適切な対応をとることができます。

このように、IRMは企業の重要な情報資産を保護するために非常に有効な手段です。情報漏えい対策に課題を感じている企業は、IRMの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

機能 説明
ファイルへのアクセスを厳格に管理 ファイルや文書に対して、閲覧、編集、印刷、複製など、ユーザーの操作を制限できます。
アクセス有効期限の設定で情報へのアクセスを制御 ファイルにアクセスできる期間を制限します。
操作ログで不正アクセスを早期発見 誰が、いつ、どのファイルにアクセスしたのか、といった操作ログを記録します。

IRMとDRMとの違い

IRMとDRMとの違い

– IRMとDRMの違いIRMと似た技術にDRMがあります。どちらもデジタルデータの利用を制限するという点では共通していますが、目的が大きく異なります。DRMは「デジタル著作権管理」の略称で、その名の通り、音楽や映像、電子書籍、ソフトウェアなど、著作権で保護されたデジタルコンテンツを、違法コピーや不正利用から守るための技術です。具体的には、デジタルコンテンツの利用範囲を制限する技術が使われています。例えば、特定の機器でのみ再生できるようにしたり、再生回数や期間を制限したりすることが可能です。これらの技術により、著作権を持つ企業は、違法コピーや不正利用による損失を抑制し、収益を守ることができます。一方、IRMは「情報漏洩防止」を意味し、企業が保有する機密情報や重要情報が、許可なく社外に持ち出されたり、不正に利用されたりするのを防ぐことを目的としています。こちらは、顧客情報や営業秘密、財務情報など、企業がビジネスを行う上で重要な情報資産を保護します。IRMでは、アクセス権限の設定や利用履歴の記録、印刷やコピーの制限など、様々な方法で情報漏洩のリスクを低減します。このように、DRMとIRMは保護対象や目的、利用シーンが異なります。DRMが主に、消費者向けのビジネスモデルであるBtoCで活用されているのに対し、IRMは企業間取引であるBtoBや企業内の情報管理に用いられることが多いという点も、大きな違いと言えるでしょう。

項目 DRM IRM
正式名称 デジタル著作権管理 情報漏洩防止
目的 著作権で保護されたデジタルコンテンツの違法コピーや不正利用を防ぐ 企業が保有する機密情報や重要情報が、許可なく社外に持ち出されたり、不正に利用されたりするのを防ぐ
保護対象 音楽、映像、電子書籍、ソフトウェアなど 顧客情報、営業秘密、財務情報など
具体的な方法 特定の機器でのみ再生可能、再生回数や期間の制限 アクセス権限の設定、利用履歴の記録、印刷やコピーの制限
利用シーン BtoC BtoB、企業内の情報管理

IRMの導入メリット

IRMの導入メリット

– 情報漏えい対策と法令遵守を強化するIRM導入のメリット近年、企業活動において、顧客情報や技術情報などの重要な情報資産を適切に管理することの重要性が高まっています。情報漏えいは、企業の信用を失墜させ、大きな損失をもたらす可能性があるためです。また、個人情報保護法やGDPR(EU一般データ保護規則)など、企業の情報管理に対する責任を厳しく問う法律も近年施行され、企業はこれらの法令を遵守することが強く求められています。このような背景から、情報漏えいリスクを低減し、法令遵守を徹底するために、IRM(Information Rights Management情報権限管理)という仕組みが注目されています。IRMは、電子文書やファイルに対してアクセス権限を設定し、許可されたユーザーのみがアクセスすることを可能にする技術です。具体的には、ファイルの閲覧、編集、印刷、複製などの操作を制限したり、アクセス可能な期間を設定したりすることができます。これらの機能により、たとえファイルが悪意のある第三者に持ち出されたとしても、アクセスを制限することで情報漏えいを防ぐことができます。IRMは、法令遵守の面でも有効な手段となります。個人情報を含むファイルに対してアクセス制限を設けることで、個人情報保護法などの法令で求められる安全管理措置を講じることができます。また、アクセスログを記録することで、誰がいつどのファイルにアクセスしたかを追跡することができ、万が一情報漏えいが発生した場合の責任追及や原因究明にも役立ちます。さらに、IRMの導入は従業員のセキュリティ意識向上にも繋がります。IRMによって情報管理が強化されることで、従業員一人ひとりが情報セキュリティの重要性を再認識し、セキュリティ意識の向上に繋がる効果も期待できます。このようにIRMは、情報漏えいリスクを低減し、コンプライアンス遵守を徹底することで、企業の信用と利益を守るための有効な手段と言えるでしょう。

項目 内容
背景 – 企業活動における情報資産の重要性の高まり
– 情報漏えいによる信用失墜や損失リスクの増大
– 個人情報保護法やGDPR等の法令強化
IRMの定義・機能 – 電子文書やファイルへのアクセス権限設定
– 許可されたユーザーのみアクセス可能
– ファイルの閲覧、編集、印刷、複製などの操作制限
– アクセス可能期間の設定
IRM導入のメリット – 情報漏えいリスクの低減
– 法令遵守の強化(個人情報保護法など)
– アクセスログによる追跡と責任追及
– 従業員のセキュリティ意識向上

IRMソリューションの提供ベンダー

IRMソリューションの提供ベンダー

情報漏洩対策として注目されているIRMソリューションですが、数多くの企業から様々な製品が提供されています。
例えば、マイクロソフト社が提供するAzure Information Protectionは、機密情報が記載されたファイルを作成する際に、閲覧や編集、印刷などの操作を制限できる機能が搭載されています。この機能により、たとえファイルが不正に持ち出されたとしても、情報漏洩のリスクを大幅に抑えることが可能となります。
また、アドビ社のAdobe AcrobatにもIRM機能が搭載されています。
この機能は、PDFファイルに対してパスワードの設定や印刷の制限、コピーの禁止といったアクセス制御をかけることができます。
このように、IRMソリューションは様々なベンダーから提供されており、それぞれに特徴があります。自社の業務内容や規模、 existingシステムとの連携などを考慮し、最適なソリューションを選択することが重要です。
近年、テレワークの導入やクラウドサービスの利用が進むにつれて、社外からでもアクセスしやすい環境が求められています。一方で、このような環境の変化は、情報漏洩のリスクを高める要因にもなりかねません。
IRMは、変化の激しい時代の流れに対応し、企業が安全に情報を管理していくために必要不可欠な技術と言えるでしょう。

ベンダー 製品名 主な機能
マイクロソフト Azure Information Protection 閲覧、編集、印刷などの操作制限
アドビ Adobe Acrobat パスワード設定、印刷制限、コピー禁止