SDP:進化するネットワークセキュリティの姿
セキュリティを高めたい
先生、SDPって何か教えてください!なんか難しそうな言葉ですよね…
情報セキュリティ専門家
そうだね、SDPは少し難しい言葉だけど、簡単に言うと『ネットワークの出入り口をソフトウェアでしっかり管理する仕組み』のことなんだよ。昔は、建物に門番がいるように、ネットワークにも決まった入り口があって、誰でも入れたんだけど、SDPは許可された人だけに鍵を渡すイメージかな。
セキュリティを高めたい
なるほど!誰でも入れるのは危ないから、鍵を渡すんですね!でも、その鍵はどうやって渡すんですか?
情報セキュリティ専門家
いい質問だね!その鍵を渡す役割をするのが『SDPコントローラ』なんだ。誰が、どの部屋(サービス)に入って良いか、あらかじめコントローラに教えておくことで、許可された人だけに鍵を渡すことができるんだよ。
SDPとは。
「情報セキュリティの分野で使われる『SDP』っていう言葉は、『ソフトウェアで決められた境界』という意味で、外や中からの攻撃を防いで、ネットワーク上のアプリやサービスを守る技術のことだよ。従来のやり方みたいに、機械でネットワークの境界を作ることとは違って、ソフトウェアで決められたルールが、ネットワーク上の資源へのアクセスを管理するんだ。このおかげで、誰も信用しないことを前提とした、より安全なネットワークを作ることができるんだよ。SDPの詳しいことは、CSAっていう団体が公開している資料に書いてあるよ。SDPを会社のネットワークに導入すると、色々なことができるようになるんだ。ちなみに、こうした機能を実現するために、SDPコントローラっていう部品が活躍するんだ。このSDPコントローラは、ルールを決めて、それが正しいか確認して、判断する役割を担っていて、ネットワークの中の誰がどのサービスを使えるのかを決めてるんだ。」
境界防御の限界を超えて
従来のネットワークセキュリティ対策は、城と堀で街を守るような、境界線をしっかり守ることに重点を置いていました。しかし、近年普及しているクラウドサービスやモバイルワークの普及により、このやり方は限界を迎えています。社内ネットワークと外部ネットワークの境界線が曖昧になり、従来の方法では、内部からの攻撃や、複雑化したネットワークへのアクセス制御が難しくなっているためです。
そこで登場したのが、SDP(Software Defined Perimeter)という新しい概念です。SDPは、従来の境界防御のようにネットワークの境界線を防御するのではなく、アクセスする必要のあるユーザー、デバイス、アプリケーションだけに限定して接続を許可するセキュリティモデルです。
従来の境界セキュリティでは、一度ネットワーク内に入られてしまうと、内部のあらゆるリソースにアクセスできてしまう可能性がありました。しかしSDPでは、ユーザーやデバイスを常に認証・認可し、許可されたアプリケーションやリソースにのみアクセスを制限します。このため、たとえ攻撃者がネットワークに侵入できたとしても、被害を最小限に抑えることが可能となります。
項目 | 従来のネットワークセキュリティ対策 | SDP(Software Defined Perimeter) |
---|---|---|
概念 | 城と堀で街を守るように、境界線をしっかり守る | アクセスする必要のあるユーザー、デバイス、アプリケーションだけに限定して接続を許可する |
境界線 | 社内ネットワークと外部ネットワークの境界線が明確 | 社内ネットワークと外部ネットワークの境界線が曖昧 |
アクセス制御 | 境界線を超えたアクセスを制限 | ユーザー、デバイス、アプリケーションごとにアクセスを制限 |
セキュリティレベル | 一度ネットワーク内に入られてしまうと、内部のあらゆるリソースにアクセスできてしまう可能性あり | ユーザーやデバイスを常に認証・認可し、許可されたアプリケーションやリソースにのみアクセスを制限するため、被害を最小限に抑えることが可能 |
ソフトウェアが築く、柔軟な境界線
従来のセキュリティ対策では、企業のネットワークを外部の脅威から守るために、物理的な境界線に頼ることが一般的でした。しかし、クラウドサービスの普及やモバイルワークの増加に伴い、この境界線の概念は薄れつつあります。そこで注目されているのが、ソフトウェアによって柔軟な境界線を築くという新しいアプローチです。SDP(Software Defined Perimeter)と呼ばれるこの技術は、ユーザーやデバイス、アプリケーションなどの要素を個別に識別し、アクセス権を動的に制御します。
例えば、ある従業員が社外から特定の業務システムにアクセスする場合、従来のVPN接続では、その従業員がアクセス権を持つすべてのネットワークリソースに接続することができてしまいました。しかしSDPでは、その従業員が必要とする特定のアプリケーションへのみにアクセスを許可し、その他のネットワークリソースへのアクセスは遮断することができます。
このように、SDPは従来の物理的な境界線ではなく、ソフトウェアによって定義された、より柔軟で動的な境界線を構築します。これにより、アクセス制御の精度を高め、セキュリティレベルを大幅に向上させることができます。また、ユーザーやデバイスの状況に応じてアクセス制御を変化させることができるため、利便性を損なうことなく、セキュリティを強化することが可能になります。
項目 | 従来のセキュリティ対策 | SDP(Software Defined Perimeter) |
---|---|---|
境界線の考え方 | 物理的な境界線 | ソフトウェアで定義された柔軟な境界線 |
アクセス制御 | ネットワークレベルでの制御 | ユーザー、デバイス、アプリケーションレベルでの動的な制御 |
セキュリティレベル | 低い | 高い |
利便性 | セキュリティ対策により制限される場合がある | セキュリティを維持しながら高い利便性を実現 |
例:社外からのアクセス | VPN接続で社内ネットワーク全体へのアクセスを許可 | 必要なアプリケーションへのアクセスのみを許可 |
ゼロトラストを実現する鍵
近年、企業活動における情報システムへの依存度が高まるにつれて、サイバー攻撃の脅威も深刻化しています。従来の境界型のセキュリティ対策では、ネットワーク内部からの攻撃や、巧妙化する攻撃手法に対応することが困難になりつつあります。そこで注目されているのが、「ゼロトラスト」という新しいセキュリティモデルです。
ゼロトラストは、「決して信頼せず、常に検証する」という原則に基づいたセキュリティ対策です。従来のように、ネットワークの内部と外部を区別して、内部からのアクセスを信頼するのではなく、あらゆるアクセスに対して、それがユーザーであろうとデバイスであろうと、常に認証と認可を要求します。このことにより、仮に攻撃者がネットワーク内部に侵入したとしても、機密情報へのアクセスを制限し、被害を最小限に抑えることができます。
ゼロトラストを実現する上で重要な技術の一つが、SDP(Software Defined Perimeter)です。SDPは、ユーザーとアプリケーションの間に安全な接続チャネルを確立し、アクセス制御を厳密に実施します。従来のVPNのように、ネットワーク全体へのアクセスを許可するのではなく、ユーザーが必要とする特定のアプリケーションへのアクセスのみを許可します。このことにより、攻撃者が lateral movement することを防ぎ、被害の拡大を抑制します。
ゼロトラストは、従来のセキュリティ対策の考え方を変える、新しいセキュリティモデルです。SDPは、ゼロトラストを実現するための重要な要素技術の一つであり、今後ますます重要性が高まっていくと考えられます。
項目 | 説明 |
---|---|
従来のセキュリティ対策の問題点 | – ネットワーク内部からの攻撃や、巧妙化する攻撃に対応困難 – 境界型のセキュリティ対策では限界 |
ゼロトラスト | – 「決して信頼せず、常に検証する」セキュリティモデル – あらゆるアクセスに対して認証と認可を要求 – ネットワーク内部への侵入時でも、被害を最小限に抑制 |
SDP (Software Defined Perimeter) | – ユーザーとアプリケーション間に安全な接続チャネルを確立 – 特定アプリケーションへのアクセスのみ許可 – lateral movement を防止し、被害拡大を抑制 |
SDPの仕組み:重要な役割を担うSDPコントローラ
– SDPの仕組み重要な役割を担うSDPコントローラソフトウェア定義型境界(SDP)は、従来の境界型ネットワークセキュリティに代わる、より柔軟かつ安全なアクセス制御を実現する技術として注目されています。このSDPにおいて、中心的な役割を担うのが-SDPコントローラ-です。SDPコントローラは、いわばSDPの頭脳として機能し、企業のセキュリティポリシーを具体的に実現する役割を担います。具体的には、「誰が」「どのリソースに」「どのようにアクセスできるのか」というポリシーを定義し、管理します。例えば、人事部の従業員だけに、給与情報データベースへの読み取り専用アクセスを許可する、といった細かな設定が可能です。アクセス要求が発生すると、SDPコントローラは事前に定義されたポリシーに基づいて要求を検証します。許可されたユーザーやデバイスからの適切なアクセス要求のみが許可され、それ以外は遮断されます。このように、SDPコントローラは従来の境界セキュリティのように、ネットワークの内部と外部を単純に区切るのではなく、ユーザーやデバイス、アプリケーションといった要素を個別に識別し、きめ細やかなアクセス制御を実現します。これにより、不正アクセスや情報漏洩のリスクを大幅に低減し、より安全なIT環境を構築することが可能となります。
要素 | 説明 |
---|---|
SDPコントローラ | SDPの中心的な役割を果たす 企業のセキュリティポリシーを具体的に実現する |
ポリシーの内容 | 誰が どのリソースに どのようにアクセスできるのか |
アクセス制御の方法 | アクセス要求発生時に、事前に定義されたポリシーに基づいて要求を検証 許可されたユーザーやデバイスからの適切なアクセス要求のみを許可し、それ以外は遮断 |
SDPによるセキュリティ効果 | ユーザーやデバイス、アプリケーションといった要素を個別に識別し、きめ細やかなアクセス制御を実現 不正アクセスや情報漏洩のリスクを大幅に低減 |
組織にもたらされる具体的なメリット
– 組織にもたらされる具体的なメリット近年、組織の規模を問わず、情報セキュリティ対策の重要性が高まっています。従来型の境界防御では、社内ネットワークと外部ネットワークの境界にのみセキュリティ対策を施すため、内部からの脅威や、複雑化するIT環境への対応が課題となっていました。そこで注目されているのが、ソフトウェアでネットワークを定義するSDP(Software Defined Perimeter)です。SDPは、組織にもたらされるメリットが多くあります。まず、セキュリティの強化です。SDPは、従来型の境界防御とは異なり、アプリケーションやデータへのアクセスを必要とするユーザーとデバイスに対してのみ、接続を許可する仕組みです。許可されていないアクセスは遮断されるため、内部からの脅威や不正アクセスから重要なデータやシステムをより強力に守ることができます。次に、柔軟性の向上です。近年、多くの組織でクラウドサービスの利用やモバイルワークが導入されています。こうした変化の激しいIT環境においても、SDPは柔軟に対応できるセキュリティ対策を可能にします。ユーザーの場所やデバイスを問わず、必要なアクセスのみを許可するため、安全かつ柔軟な働き方を実現できます。さらに、運用管理の効率化も期待できます。従来型の境界防御では、複雑なネットワーク構成やセキュリティ設定が必要となる場合がありました。しかしSDPでは、ポリシーベースのアクセス制御によって、セキュリティ管理を一元化できます。その結果、運用負荷を軽減し、セキュリティ担当者の負担を減らす効果が期待できます。
メリット | 内容 |
---|---|
セキュリティの強化 | 従来型の境界防御とは異なり、アプリケーションやデータへのアクセスを必要とするユーザーとデバイスに対してのみ接続を許可する。許可されていないアクセスは遮断されるため、内部からの脅威や不正アクセスから重要なデータやシステムをより強力に守ることができる。 |
柔軟性の向上 | ユーザーの場所やデバイスを問わず、必要なアクセスのみを許可するため、安全かつ柔軟な働き方を実現できる。 |
運用管理の効率化 | ポリシーベースのアクセス制御によって、セキュリティ管理を一元化できる。その結果、運用負荷を軽減し、セキュリティ担当者の負担を減らす効果が期待できる。 |