情報セキュリティの守護神:ISMSとは?

情報セキュリティの守護神:ISMSとは?

セキュリティを高めたい

先生、「ISMS」ってよく聞くんですけど、一体どんなものなんですか?

情報セキュリティ専門家

そうだね。「ISMS」は「情報セキュリティマネジメントシステム」の略で、会社や組織が情報を守るための仕組みのことだよ。例えば、大切な顧客情報や会社の機密情報などを、きちんと管理するためのルールや手順をまとめたものなんだ。

セキュリティを高めたい

なるほど。でも、ルールや手順を作ればいいだけなら、難しそうじゃないですね?

情報セキュリティ専門家

実は、ISMSはただ作るだけじゃダメなんだ。きちんと運用して、見直しを繰り返して、より良いものにしていくことが大切なんだよ。そして、その仕組みがちゃんと機能しているかを外部の機関にチェックしてもらう「ISMS認証」もあるんだ。

ISMSとは。

「情報セキュリティマネジメントシステム」、略して「ISMS」は、会社や組織が持つ大切な情報を守るための仕組みのことです。ISMSを作るための国際的なルールとして「ISO/IEC27001(JISQ27001)」があり、ISMSをどのように作って、動かして、維持して、さらに良くしていくのかが書かれています。また、「ISO/IEC27002」は、実際にセキュリティ対策を行う際の参考となる具体的な方法が書かれたガイドブックのようなものです。

作ったISMSが「ISO/IEC27001」に基づいてきちんと運用されているかを第三者が証明する「ISMS認証制度」があります。この認証を受けると、情報セキュリティに対する意識の高さや信頼性を対外的に示すことができるため、認証を受ける会社が増えています。それに伴い、認証取得を支援するサービスもたくさんあります。

なお、2022年10月に「ISO/IEC27001」と「ISO27002」の規格が改訂されました。「ISO27001」は大幅な変更はありませんでしたが、ISMSの見直しは必要になるため、対応が必要な会社や組織もあるでしょう。

ISMSの概要

ISMSの概要

– ISMSの概要ISMSとは、情報セキュリティマネジメントシステムの略称であり、企業や組織にとって欠かせない情報資産を様々な脅威から保護するための仕組みです。ISMSは、単にセキュリティ対策を導入するだけではなく、組織全体として情報セキュリティに取り組むためのマネジメントシステムを構築することが重要となります。ISMSを構築するにあたっては、まず、組織が保有する重要な情報資産を特定し、それらに対するリスク分析を行います。リスク分析では、情報漏えいや不正アクセスなど、考えられる脅威を洗い出し、それぞれの脅威がもたらす影響度と発生確率を評価します。この評価結果に基づいて、組織にとって重要な情報資産を守るために、適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。ISMSでは、「計画(Plan)」「実施(Do)」「評価(Check)」「改善(Act)」というPDCAサイクルを継続的に回すプロセスが組み込まれています。計画段階では、リスク分析の結果に基づいて、セキュリティ対策の実施計画を策定します。実施段階では、計画に従ってセキュリティ対策を実施します。評価段階では、実施したセキュリティ対策が有効に機能しているかを定期的に評価します。そして、改善段階では、評価結果に基づいて、セキュリティ対策の改善策を検討し、必要に応じて計画を見直します。ISMSは、組織全体で情報セキュリティに取り組むための枠組みを提供するものであり、組織の規模や業種に関わらず、あらゆる組織にとって有用なものです。ISMSを適切に運用することで、組織は情報セキュリティリスクを低減し、重要な情報資産を守ることができます。

ISMSの要素 説明
定義 情報セキュリティマネジメントシステムの略称であり、情報資産を脅威から保護するための仕組み
目的 組織全体で情報セキュリティに取り組み、情報セキュリティリスクを低減し、重要な情報資産を保護する
重要性 セキュリティ対策を導入するだけでなく、組織全体で情報セキュリティに取り組むマネジメントシステムを構築することが重要
構築プロセス 1. 情報資産の特定
2. リスク分析(脅威の洗い出し、影響度と発生確率の評価)
3. 適切なセキュリティ対策の実施
PDCAサイクル 計画(Plan):リスク分析に基づいたセキュリティ対策の実施計画の策定
実施(Do):計画に従ったセキュリティ対策の実施
評価(Check):セキュリティ対策の有効性の定期的な評価
改善(Act):評価結果に基づいたセキュリティ対策の改善策の検討と計画の見直し

国際規格ISO/IEC27001

国際規格ISO/IEC27001

– 国際規格ISO/IEC27001

企業が顧客や取引先の情報をはじめとする重要な情報を守るためには、適切な情報セキュリティ対策を行うことが不可欠です。そのための枠組みとして、情報セキュリティマネジメントシステム、いわゆるISMSの構築が注目されています。

ISMSを構築する際、国際的な標準であるISO/IEC27001(JISQ27001)を参照することは、組織の情報セキュリティレベル向上に大いに役立ちます。この規格は、組織がISMSをどのように構築、運用、そして継続的に改善していくべきかについて、具体的な要求事項を定めています。

ISO/IEC27001は、世界中の専門家によって認められた情報セキュリティ対策のベストプラクティスを集約したものです。この規格に基づいてISMSを構築することで、組織は国際的に通用するセキュリティレベルを達成することができます。また、第三者機関による認証を取得することで、自社のセキュリティ体制に対する信頼性を高めることも可能です。

ISO/IEC27001は、リスクマネジメントに基づいたアプローチを採用しており、組織は自社の事業内容や規模、取り扱う情報の重要度に応じて、適切なセキュリティ対策を選択し、実施することができます。この柔軟性の高さも、ISO/IEC27001が世界中で広く採用されている理由の一つです。

項目 内容
規格名 ISO/IEC27001 (JISQ27001)
目的 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の構築・運用・継続的改善
メリット – 組織の情報セキュリティレベル向上
– 国際的に通用するセキュリティレベルの達成
– 第三者機関による認証取得による信頼性向上
特徴 – リスクマネジメントに基づいたアプローチ
– 事業内容や規模、情報重要度に応じた柔軟な対応

ISMS認証とそのメリット

ISMS認証とそのメリット

情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証は、組織にとって情報資産を守るための重要な仕組みであるISMSが、国際規格であるISO/IEC27001の要求事項を満たしているかどうかを第三者機関が審査し、認証する制度です。ISMS認証を取得することで、組織は様々なメリットを享受できます。

まず、ISMS認証を取得することで、顧客や取引先に対して、自社の情報セキュリティに対する取り組みが国際的な水準を満たしていることを客観的に示すことができます。これにより、企業としての信頼性を高め、新規顧客の獲得や取引先の拡大、さらには優秀な人材の確保にも繋がる可能性があります。また、ISMS認証は、企業価値の向上にも貢献します。情報漏えいなどのセキュリティ事故による損失は、企業のブランドイメージや信用を大きく損ないかねません。ISMS認証を取得することで、このようなリスクを低減し、企業価値を守ることができます。さらに、ISMS認証取得のプロセスを通じて、組織は自らの情報セキュリティ体制の課題や改善点を明確化し、より強固なセキュリティ対策を講じることができます。結果として、情報漏えいなどのセキュリティ事故発生のリスクを大幅に低減することが期待できます。

メリット 詳細
信頼性の向上 顧客や取引先に対して、自社の情報セキュリティに対する取り組みが国際的な水準を満たしていることを客観的に示すことができます。これにより、新規顧客の獲得や取引先の拡大、さらには優秀な人材の確保にも繋がる可能性があります。
企業価値の向上 情報漏えいなどのセキュリティ事故による損失は、企業のブランドイメージや信用を大きく損ないかねません。ISMS認証を取得することで、このようなリスクを低減し、企業価値を守ることができます。
セキュリティ対策の強化 ISMS認証取得のプロセスを通じて、組織は自らの情報セキュリティ体制の課題や改善点を明確化し、より強固なセキュリティ対策を講じることができます。結果として、情報漏えいなどのセキュリティ事故発生のリスクを大幅に低減することが期待できます。

ガイダンス規格ISO/IEC27002

ガイダンス規格ISO/IEC27002

– ガイダンス規格ISO/IEC27002

情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO/IEC27001は、ISMS構築・運用の枠組みを示していますが、具体的な対策の実施方法については記載されていません。そこで、ISO/IEC27001を補完するガイダンス規格として、ISO/IEC27002が存在します

ISO/IEC27002は、実際にどのようなセキュリティ対策を導入すればよいか、具体的な方法を詳細に解説しています。組織は、自社の規模や業種、保有する情報資産の重要度、リスクの大きさなどに応じて、ISO/IEC27002を参考にセキュリティ対策を選び、自社に適した形で導入していくことができます

例えば、アクセス制御、暗号化、物理的セキュリティ、事業継続管理など、多岐にわたるセキュリティ対策について、具体的な方法や手順、注意点などが解説されています。ISO/IEC27002は、網羅的にセキュリティ対策がまとめられているため、組織は必要な対策を見落とすことなく、効率的にISMSを構築・運用していくことができます

しかし、ISO/IEC27002に記載されているすべての対策をそのまま導入することが適切とは限りません。組織は、自社の状況に合わせて、適切な対策を選択し、必要に応じてカスタマイズする必要があります。ISO/IEC27002はあくまでもガイダンスであり、組織は状況に応じて柔軟に活用していくことが重要です。

規格 説明
ISO/IEC 27001 ISMS構築・運用の枠組みを示す国際規格。具体的な対策方法は記載されていない。
ISO/IEC 27002 ISO/IEC 27001を補完するガイダンス規格。具体的なセキュリティ対策の実施方法を詳細に解説。組織の規模、業種、情報資産の重要度、リスクに応じて、適切な対策を選び、導入していくための指針となる。

ISMS構築の重要性

ISMS構築の重要性

現代社会は、ありとあらゆるものが情報と結びつく、情報化社会へと急速に変化しています。このような時代において、企業や組織にとって、顧客情報や技術情報といった重要な情報を適切に守ることは、事業を成功させるために欠かせない要素の一つと言えるでしょう。もしも、情報漏洩やサイバー攻撃といったセキュリティ事故が発生した場合、企業は経済的な損失を被るだけでなく、社会的な信用を失墜させてしまう可能性も孕んでいます。このような事態を避けるため、情報セキュリティマネジメントシステム、ISMSの構築が重要視されています。

ISMSとは、企業や組織における情報資産をさまざまな脅威から守り、安全性を確保するための仕組みです。ISMSを構築することで、組織全体で統一されたルールに基づいた情報セキュリティ対策を実施できます。情報セキュリティに関する国際規格であるISO27001を参考にISMSを構築する企業も増えています。 ISMS構築のメリットは、リスクへの対応準備を組織的に行えるようになることです。リスクを特定し、その影響度を評価することで、適切な対策を事前に講じることが可能となります。しかし、ISMSは一度構築したら終わりではありません。外部環境や技術革新など、情報セキュリティを取り巻く状況は常に変化しており、それに伴い新たな脅威も出現します。

そのため、構築したISMSを定期的に見直し、改善していくことが重要となります。変化するリスクや脅威に対応し、常に最適なセキュリティ対策を維持することで、企業は安全な事業活動を継続し、顧客からの信頼を勝ち取ることができるのです。