ビジネスの要、IT-BCPとは?

ビジネスの要、IT-BCPとは?

セキュリティを高めたい

先生、IT-BCPって、災害対策と同じように考えればいいんですか?

情報セキュリティ専門家

う~ん、どちらも事業を続けるために大切だけど、全く同じように考えるのは難しいね。災害と違って、ITシステムの問題は目に見えない場合も多いし、被害の大きさも分かりづらいんだ。

セキュリティを高めたい

なるほど。じゃあ、IT-BCPではどんな点に気をつければいいんですか?

情報セキュリティ専門家

そうだね。例えば、いつ問題が起きたと判断して、対策を始めるのか、あらかじめ決めておく必要があるね。でないと、被害が大きくなってしまう可能性もあるからね。

IT-BCPとは。

「情報セキュリティの分野でよく聞く『IT-BCP』という言葉について説明します。IT-BCPとは、会社が事業を続けるための計画(BCP)の一つで、特に情報技術システムに焦点を当てたものです。もしもの時でも、仕事に必要な情報技術システムが使い続けられるように、あらかじめ計画を立てておくことが目的です。近年は、どの会社でも情報技術システムを使うことが当たり前になり、災害や伝染病の流行、悪意のある攻撃などが起きた時でも、情報技術システムの視点から事業を止めないように考えることが重要になっています。そのため、多くの会社がIT-BCPを作ったり、作った計画を実際に試したりする訓練を行うようになっています。一般的に、『災害が起きた時のためのBCP』と『悪意のある攻撃など、情報技術に関する危険に対するIT-BCP』は、どちらも事業を続けるためには欠かせないものであり、どちらが重要かを決めることはできません。しかしながら、全く同じように考えてはいけない部分もあります。両者の違いを理解した上で対策を考える必要があります。例えば、悪意のある攻撃などは、目に見えないことが多く、被害の大きさも分かりにくいという特徴があります。そのため、いつ、どのような状況になったら、実際に問題が起きたと判断してIT-BCPを始めるのか、判断が難しい場合があります。しかし、判断に時間がかかると、被害が拡大し、より深刻な事態になる可能性もあります。特に、悪意のある攻撃などを考えたIT-BCPの場合、以下のような点を考慮する必要があります。これらの特徴や視点を踏まえ、災害が起きた時のBCPと同じように、情報システム部門だけでなく、会社全体で協力してIT-BCPを検討し、作る必要があります。

IT-BCPの基礎知識

IT-BCPの基礎知識

– IT-BCPの基礎知識

現代社会において、企業活動はITシステム無しでは成り立ちません。企業の生命線ともいえる重要な業務システムが、地震や洪水などの自然災害、あるいはサイバー攻撃や機器の故障といった予期せぬ事態によって停止してしまうと、企業活動全体に甚大な影響が及んでしまいます。

このような事態に備え、事業の継続性を確保するために策定されるのが「事業継続計画(BCP Business Continuity Plan)」です。そして、BCPの中でも、特に重要な役割を担うITシステムに焦点を当てた計画が「IT-BCP(IT Business Continuity Plan)」です。

IT-BCPでは、まず、企業活動における重要業務を洗い出し、それぞれの業務に必要となるITシステムやデータ、通信回線を明確化します。そして、それらが被災した場合の影響度や復旧にかかる時間などを分析し、優先順位を付けます。

その上で、重要なシステムやデータについては、バックアップ体制の強化や代替システムの確保、あるいはセキュリティ対策の強化など、具体的な対策を計画していきます。

IT-BCPは、単に計画書を作成して終わりではなく、定期的な見直しや訓練を通じて、常に最新の状態に保つことが重要です。また、実際に災害などが発生した場合には、速やかに対応し、被害を最小限に抑えなければなりません。

項目 内容
IT-BCPの目的 地震や災害、サイバー攻撃など、予期せぬ事態による業務システム停止に備え、事業の継続性を確保する
IT-BCP策定の流れ 1. 企業活動における重要業務の洗い出し
2. 業務に必要なITシステム、データ、通信回線の明確化
3. 被災時の影響度や復旧時間などを分析し、優先順位付け
4. 重要なシステムやデータのバックアップ体制強化、代替システム確保、セキュリティ対策強化などの具体的な対策計画
IT-BCP策定後の運用 定期的な見直しや訓練を通じて、常に最新の状態に保つ。実際に災害などが発生した場合には、速やかに対応し、被害を最小限に抑える。

重要性が高まるIT-BCP

重要性が高まるIT-BCP

近年、企業の活動を脅かす危険性は、地震や台風といった自然災害だけでなく、サイバー攻撃や感染病の世界的な流行など、その種類を増やし、影響範囲も広がっています。特に、多くの企業活動が情報技術システムに頼っている現代において、これらの危険によってシステムが停止することは、事業の継続を危うくする事態になりかねません。
このような状況下で、企業が事業を継続し、顧客や社会からの信頼を維持していくためには、情報技術システムを中心とした事業継続計画(IT-BCP)の策定と、計画に基づいた実践的な訓練の実施がこれまで以上に重要になっています。
IT-BCPとは、地震やサイバー攻撃などの予期せぬ事態が発生した場合でも、重要な業務を中断させずに継続、あるいは早期復旧できるようにするための計画です。具体的な計画には、重要な業務の洗い出し、被害状況の想定、代替手段の確保、復旧手順の策定などが含まれます。
計画を策定するだけでなく、実際に計画通りに実行できるかどうかを確かめる訓練を定期的に実施することも重要です。訓練を通じて、計画の不足点や改善点を洗い出し、より実効性の高い計画に修正していくことで、万が一の事態にも冷静かつ迅速に対応できる体制を整えることができます。

近年増加している企業への脅威 自然災害
サイバー攻撃
感染症の世界的流行
企業が事業継続のためにすべきこと 情報技術システムを中心とした事業継続計画(IT-BCP)の策定
計画に基づいた実践的な訓練の実施
IT-BCPとは 地震やサイバー攻撃などの予期せぬ事態が発生した場合でも、重要な業務を中断させずに継続、あるいは早期復旧できるようにするための計画
IT-BCPで計画すべき内容 重要な業務の洗い出し
被害状況の想定
代替手段の確保
復旧手順の策定
訓練の重要性 計画の不足点や改善点を洗い出し、より実効性の高い計画に修正していくことで、万が一の事態にも冷静かつ迅速に対応できる体制を整える

災害リスクへの備えとIT-BCP

災害リスクへの備えとIT-BCP

これまで、事業継続計画(BCP)といえば、地震や台風などの大きな災害が起こった場合を想定したものがほとんどでした。しかし、情報技術システムへの依存がますます高まっている現代においては、企業活動の継続には、サイバー攻撃やシステムの故障、感染症の流行など、情報技術システムに直接影響を与えるリスクへの対策も必要不可欠です。
そこで、情報技術システムに特化した事業継続計画(IT-BCP)では、これらのリスクを考慮し、事業継続のために重要なシステムを洗い出し、バックアップ体制の構築、代替システムへの切り替え手順などを明確に定義することが求められます。
具体的には、まず、自社の事業にとってどの情報技術システムが最も重要なのかを特定します。次に、それらのシステムが停止した場合の影響度を分析し、復旧までの目標時間と許容できる範囲を定めます。そして、これらの目標に基づいて、データのバックアップや復旧の手順、代替システムの確保、担当者の役割分担などを詳細に計画します。
さらに、計画を作成したら終わりではなく、定期的な訓練や見直しを通じて、計画の実効性を高めていくことが重要です。情報技術システムを取り巻く状況は常に変化しているため、最新の脅威や技術動向を踏まえ、計画を継続的に改善していく必要があります。

BCPの種類 対象 内容
従来のBCP 地震、台風などの大規模災害 災害発生時の事業継続計画
IT-BCP サイバー攻撃、システム故障、感染症流行など、情報システムに直接影響を与えるリスク 情報システムに特化した事業継続計画
– 重要なシステムの洗い出し
– バックアップ体制の構築
– 代替システムへの切り替え手順の定義
– 定期的な訓練・見直し

サイバー攻撃への備えとIT-BCP

サイバー攻撃への備えとIT-BCP

昨今、企業にとって大きな脅威となっているサイバー攻撃ですが、従来の地震や洪水といった物理的な災害とは性質が大きく異なり、事前にその発生を予測したり、被害の範囲を想定することが非常に困難です。そのため、従来型の事業継続計画(BCP)だけでは対応しきれない側面も出てきています。サイバー攻撃による被害を最小限に抑えるためには、迅速な初動対応が何よりも重要となります。しかし、いざ攻撃を受けてから対応を検討していては、被害は拡大する一方です。
そこで、重要となるのがIT-BCPです。IT-BCPとは、企業の重要な情報システムがサイバー攻撃などの予期せぬ事態に見舞われた際にも、事業への影響を最小限に抑え、重要な業務を継続または早期復旧させるための計画です。IT-BCPでは、事前に侵入検知システムやセキュリティ情報イベント管理システムなどを導入し、セキュリティ対策を強化しておくことが重要です。しかし、万が一攻撃を受けた場合に備え、迅速な対応を可能とする手順を明確化しておくことも忘れてはなりません。具体的には、攻撃を受けた際の対応マニュアルを整備し、担当者間で共有しておくことが重要です。また、関係機関への報告体制や外部の専門機関との連携体制を事前に構築しておくことも大切です。

サイバー攻撃の特徴 IT-BCPの重要性 IT-BCPの具体的な対策
予測や被害範囲の想定が困難 迅速な初動対応が重要 侵入検知システムやセキュリティ情報イベント管理システムの導入
従来のBCPでは対応しきれない側面がある 重要な業務を継続または早期復旧させるための計画 攻撃を受けた際の対応マニュアルの整備と共有
関係機関への報告体制の構築
外部の専門機関との連携体制の構築

IT-BCP策定のポイント

IT-BCP策定のポイント

– IT-BCP策定のポイント

IT-BCPは、企業の事業継続を支える重要な計画ですが、その策定はシステム部門だけで完結するものではありません。なぜなら、ITシステムは今や企業のあらゆる側面に深く関わっており、営業、製造、物流、経理など、あらゆる部門の業務と密接に関係しているからです。

そのため、IT-BCPの策定は、企業全体で取り組むべき重要な課題となります。まず、各部門の代表者を含む体制を構築することが重要です。各部門の意見を反映することで、より実態に即した、効果的な計画を策定することができます。

次に、各部門の業務への影響度合いを分析します。この分析によって、どのシステムが業務に不可欠で、優先的に復旧すべきなのかを明確化します。優先順位を明確にすることで、限られた資源を有効活用し、迅速な事業復旧を目指します。

IT-BCPは、策定したら終わりではありません。定期的な見直しや訓練を通じて、実効性を維持していくことが重要です。ビジネス環境やIT技術は常に変化しており、新たな脅威も次々と現れます。定期的な見直しや訓練を通じて、変化に柔軟に対応できる、真に役立つ計画を維持していく必要があります。

フェーズ ポイント
策定体制
  • ITシステムはあらゆる部門と関係するため、企業全体で取り組む
  • 各部門の代表者を含む体制を構築し、各部門の意見を反映する
影響分析
  • 各部門の業務への影響度合いを分析する
  • 優先的に復旧すべきシステムを明確化し、限られた資源を有効活用する
維持・改善
  • IT-BCPは策定したら終わりではなく、定期的な見直しや訓練が必要
  • 変化するビジネス環境やIT技術、新たな脅威に対応できる柔軟な計画にする