Emotetの再来?ランサムウェアにも繋がる脅威「IceID」
セキュリティを高めたい
「IceID」って、なんだか怖い名前の言葉を見かけました。情報セキュリティと関係があるみたいなんですが、一体どんなものなんですか?
情報セキュリティ専門家
「IceID」は、人のパソコンにこっそり入り込んで、銀行のパスワードやお金に関係することを盗み見ようとする、泥棒のようなプログラムなんだ。昔は銀行のお金を盗むのが目的だったんだけど、最近はもっと悪質になってきているんだ。
セキュリティを高めたい
えー!もっと悪質って、一体どういうことですか?
情報セキュリティ専門家
最近は、パソコンを乗っ取ったり、大切なファイルを勝手に暗号化して、お金を要求する別の悪いプログラムを送り込むために使われることが多いんだ。だから、見かけたら絶対に近づかないようにね!
IceIDとは。
「IceID」という言葉を、情報セキュリティの分野で使います。これは、銀行を狙った悪意のあるプログラムで「BokBot」とも呼ばれています。このプログラムは、こっそり人のパソコンに入り込み、ネットバンクや仮想通貨の口座情報を盗み取ります。もともとはお金を盗むために作られましたが、最近では、パソコンに「身代金要求型ウイルス」と呼ばれる別の危険なプログラムを送り込むために使われることが増えています。このため、人のパソコンへの侵入を手伝う犯罪者に人気です。「Emotet」という別の悪質なプログラムが、感染したパソコンにIceIDをインストールするケースも多いです。また、本来の銀行を狙った機能を削除し、より拡散しやすいように改造されたIceIDも発見されています。メールに「ISOファイル」という形式のファイルを添付して送り、最終的に「Quantumランサムウェア」という身代金要求型ウイルスに感染させる攻撃も確認されています。
IceIDとは
– IceIDとはIceIDは、別名BokBotとも呼ばれ、金銭を狙った悪質なソフトウェアです。このソフトウェアは、「バンキング型トロイの木馬」として分類され、主にインターネットバンキングや仮想通貨の取引サイトなどを利用する人々を標的にしています。IceIDは、その名の通り、感染したパソコンに「氷のように」静かに潜み、利用者が異変に気付かないうちに情報を盗み取ります。具体的には、利用者がインターネットバンキングにログインする際に、偽のログイン画面を表示して本物のサイトと誤認させ、入力されたIDやパスワードを盗み取ります。また、キーボード入力の記録や画面のスクリーンショットを取得する機能も備えており、クレジットカード情報や取引に必要な認証コードなども盗み取られる可能性があります。IceIDは、メールの添付ファイルや悪意のあるウェブサイトへのアクセスなどを介して拡散されます。そのため、不審なメールに添付されたファイルを開封したり、信頼できないウェブサイトにアクセスしたりしないことが重要です。また、セキュリティソフトを導入し、常に最新の状態に保つことも有効な対策となります。IceIDは、個人だけでなく、企業にとっても大きな脅威となります。企業がIceIDに感染した場合、顧客情報や機密情報が盗み取られ、金銭的な損失だけでなく、企業の信用を失墜させる可能性もあります。そのため、企業は従業員へのセキュリティ教育を徹底するなど、IceIDへの感染対策を強化する必要があります。
カテゴリ | 詳細 |
---|---|
名称 | IceID (別名: BokBot) |
分類 | バンキング型トロイの木馬 |
標的 | インターネットバンキングや仮想通貨取引サイトの利用者 |
主な機能 | – 偽のログイン画面の表示によるID・パスワードの窃取 – キーボード入力の記録 – 画面のスクリーンショット取得 – クレジットカード情報、認証コードの窃取 |
感染経路 | – メール添付ファイル – 悪意のあるウェブサイトへのアクセス |
対策 | – 不審なメールの添付ファイルを開封しない – 信頼できないウェブサイトにアクセスしない – セキュリティソフトの導入と最新の状態維持 |
企業への影響 | – 顧客情報や機密情報の窃取による金銭的損失 – 企業の信用失墜 |
企業における対策 | – 従業員へのセキュリティ教育の徹底 – IceIDへの感染対策の強化 |
進化するIceIDの脅威
近年、IceIDという悪意のあるプログラムによる脅威は、その様相を大きく変えつつあります。初期のIceIDは、主に金銭を直接盗み出すことを目的としていましたが、最近では、より深刻な被害をもたらすランサムウェア攻撃の足がかりとして悪用されるケースが増えています。
IceIDは、まず標的となるコンピュータシステムに侵入し、そのシステムを乗っ取ります。そして、その乗っ取ったシステムを足場に、ランサムウェアと呼ばれる別の悪質なプログラムを送り込むのです。
ランサムウェアは、感染したコンピュータ内のファイルを暗号化し、その暗号を解除する鍵と引き換えに身代金を要求する攻撃です。企業や組織にとって、重要なデータが暗号化され、使用できなくなることは、業務に大きな支障をきたすだけでなく、経済的な損失にもつながります。
近年、企業や組織を標的としたランサムウェア攻撃は増加の一途をたどっており、IceIDはそのような攻撃を成功させるための重要な役割を担うようになってきています。もはやIceIDは、金銭を狙った単独の脅威ではなく、より深刻なサイバー攻撃の序章となりうる存在として、その動向に厳重な警戒が必要です。
フェーズ | IceIDの行動 | 目的/結果 |
---|---|---|
侵入段階 | 標的のコンピュータシステムに侵入 | システムへのアクセス権取得 |
システム乗っ取り段階 | 侵入したシステムを不正に制御下に置く | ランサムウェア配信のための足場確保 |
ランサムウェア実行段階 | 乗っ取ったシステムを経由してランサムウェアを送り込む | ランサムウェアによる被害の発生 |
ランサムウェアによる被害 | ランサムウェアがファイルの暗号化、身代金要求などを実行 | データの喪失、業務停止、経済的損失 |
ランサムウェアへの道筋
昨今、企業や組織にとって大きな脅威となっているのがランサムウェアです。データを暗号化し、その復号と引き換えに身代金を要求する攻撃は、企業活動を停止に追い込むほどの深刻な被害をもたらします。
このランサムウェア攻撃の増加に深く関わっているのが「IceID」というマルウェアです。IceIDは、単独で金銭を窃取するような活動は行わず、企業のネットワークに侵入するための「足掛かり」を作ることに特化しています。
そして、このIceIDが「イニシャルアクセスブローカー」と呼ばれるサイバー犯罪者に悪用されていることが、ランサムウェア被害の拡大に繋がっているのです。
イニシャルアクセスブローカーとは、企業システムのセキュリティの脆弱性を突いたり、巧妙な手口で従業員を騙したりして、不正にネットワークへのアクセス権を取得します。そして、入手したアクセス権を闇市場でランサムウェアなどを扱うサイバー犯罪者に売り渡すのです。
IceIDは、侵入先のシステムに深く潜り込み、機密情報を含む様々な情報を盗み出す能力に長けています。このため、イニシャルアクセスブローカーにとってIceIDは、高値で取引できる「良質な商品」を生み出すための「道具」として重宝されているのです。
このように、IceIDを介したイニシャルアクセスブローカーとランサムウェア攻撃集団との繋がりは、企業にとって見過ごすことのできない深刻な脅威となっています。
項目 | 内容 |
---|---|
脅威 | ランサムウェア – データを暗号化し、復号と引き換えに身代金を要求する攻撃 – 企業活動を停止に追い込むほどの深刻な被害をもたらす |
ランサムウェア増加の要因 | IceID – 企業ネットワークへの侵入を容易にするマルウェア – 金銭を窃取する活動は行わない – イニシャルアクセスブローカーによって悪用されている |
イニシャルアクセスブローカー | – 企業システムのセキュリティの脆弱性を突いたり、従業員を騙したりして不正にネットワークへのアクセス権を取得する – 入手したアクセス権を闇市場でランサムウェアなどを扱うサイバー犯罪者に売り渡す |
IceIDの特徴 | – 侵入先のシステムに深く潜り込み、機密情報を含む様々な情報を盗み出す能力に長けている – イニシャルアクセスブローカーにとって、高値で取引できる「良質な商品」を生み出すための「道具」として重宝されている |
結論 | IceIDを介したイニシャルアクセスブローカーとランサムウェア攻撃集団との繋がりは、企業にとって見過ごすことのできない深刻な脅威 |
Emotetとの関連性
IceIDは、Emotetという、全く別の悪意のあるプログラムと深い関わりを持っていることが分かっています。Emotetは、感染したコンピュータを乗っ取り、大量の迷惑メールを送りつけるネットワークを構築するという、悪質な性質を持っています。近年、Emotetは活動を再開しており、IceIDを含む、他の悪意のあるプログラムを拡散させるための手段として悪用されていることが確認されています。これは、Emotetが、まるで他の悪意のあるプログラムの「運び屋」のような役割を担っていることを意味します。Emotetを介して拡散されたIceIDは、最終的に、身代金要求型ウイルス感染に繋がる可能性があり、注意が必要です。身代金要求型ウイルスとは、感染したコンピュータ内のファイルを人質のように暗号化し、その解除と引き換えに金銭を要求してくる、非常に悪質なプログラムです。IceIDとEmotetの関連性からも、日ごろからのセキュリティ対策の重要性が理解できます。
マルウェア | 概要 | 関連性 |
---|---|---|
Emotet | 感染したコンピュータを乗っ取り、大量の迷惑メールを送りつけるボットネットを構築する。他のマルウェアの「運び屋」として機能する。 | EmotetがIceIDを拡散する。 |
IceID | 最終的に身代金要求型ウイルス感染に繋がる可能性がある。 |
IceIDの変種と新たな攻撃手法
昨今、「IceID」と呼ばれる悪意のあるプログラムの亜種が確認されており、その手口は巧妙化しています。
従来のIceIDは、利用者のインターネットバンキングの情報を盗み出すことを目的としていました。しかし、近年ではセキュリティ対策ソフトによる検出を逃れるため、本来の機能を削ぎ落とした、よりシンプルな構造のIceIDも出現しています。
また、IceIDは、その拡散方法も変化させています。例えば、業務用の書類に見せかけたISO形式のファイルを添付した電子メールを介して拡散し、最終的に「Quantumランサムウェア」と呼ばれる、ファイルを暗号化して身代金を要求する別の悪質なプログラムに感染させる攻撃が確認されています。
このように、IceIDは常にその姿かたちを変え、ランサムウェア感染の足掛かりとなる可能性があります。そのため、IceIDによる攻撃の危険性を認識し、適切な対策を講じることが重要です。
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | IceID |
従来の特徴 | インターネットバンキング情報の窃取 |
近年の特徴 | – セキュリティソフト検出回避のため、シンプルな構造 – ISO形式ファイルに見せかけたメールを介した拡散 – Quantumランサムウェアへの感染 |
危険性 | 常に変化し、ランサムウェア感染の足掛かりとなる可能性 |
IceIDから身を守るためには
– IceIDから身を守るためには昨今、IceIDと呼ばれる悪意のあるプログラムによる被害が拡大しています。これは、皆様のパソコンに侵入し、重要な情報を盗み出す危険なプログラムです。そこで今回は、IceIDから大切な情報資産を守るための対策について詳しく解説します。まず、身に覚えのないメールに添付されているファイルや、メール本文に記載されたインターネット上のアドレスには、絶対にアクセスしないでください。IceIDはEmotetという別の悪質なプログラムを介して拡散される場合が多く、送信元が不明なメールや、内容に不審な点があるメールを開くだけで感染してしまう危険性があります。送信元を確認し、少しでも怪しいと感じたら、安易に開かずに削除するよう心がけましょう。さらに、パソコンのOSやソフトウェアは、常に最新の状態に保つことが重要です。プログラムの欠陥を悪用してIceIDに感染してしまうケースもあるため、開発元から提供される最新の更新プログラムを適用し、脆弱性を解消しておくことが重要です。加えて、セキュリティソフトを導入し、常に最新の状態に保つことも有効な対策です。セキュリティソフトは、パソコンをIceIDの脅威から守るための心強い味方です。常に最新の状態で動作するように設定し、定期的なスキャンを心掛けてください。IceIDは日々進化を続けており、その手口は巧妙化しています。最新の情報を入手し、セキュリティ対策に反映していくことが重要です。
対策 | 詳細 |
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身に覚えのないメールに注意 | 不審なメールを開封しない。添付ファイルを開いたり、記載されたURLをクリックしない。 |
OSとソフトウェアの更新 | OSやソフトウェアの更新プログラムを常に適用し、脆弱性を解消する。 |
セキュリティソフトの利用 | セキュリティソフトを導入し、最新の状態に保つ。定期的なスキャンを実施する。 |