遠方監視制御装置(RTU)のセキュリティリスク

遠方監視制御装置(RTU)のセキュリティリスク

セキュリティを高めたい

先生、「遠方監視制御装置」って、具体的にどんなところで使われているんですか?

情報セキュリティ専門家

いい質問だね。「遠方監視制御装置」は、例えば、離れた場所にあるダムの水位を監視したり、工場の機械の稼働状況を把握したりするのに使われているよ。

セキュリティを高めたい

へえー、そんなに重要な役割を持っているんですね!でも、攻撃するのは難しいんですよね?

情報セキュリティ専門家

そうだね、一般的にはそう考えられている。しかし、絶対に安全というわけではなく、実際に攻撃されたという報告もあるんだ。だから、油断せずにセキュリティ対策をすることが大切なんだよ。

RTUとは。

『遠方監視制御装置』とは、遠く離れた場所にある機械や設備を監視したり、操作したりするための装置のことです。英語では『RTU』と略されます。『RTU』は、工場や電力会社などの大規模なシステムで使われており、離れた場所にあるセンサーやバルブなどを監視・制御します。このシステムは、一般的にコンピューターシステムに比べて攻撃するのが難しいと考えられていますが、決して安全というわけではありません。2023年1月には、ウクライナを支援するハッカー集団が、ロシアの味方であるベラルーシ国内の『RTU』を攻撃したと発表しました。しかし、専門家の中には、本当に『RTU』が攻撃されたのか疑問視する声もあります。

遠方監視制御装置(RTU)とは

遠方監視制御装置(RTU)とは

– 遠方監視制御装置(RTU)とは

遠方監視制御装置(RTU)は、広範囲に点在する機器や設備を集中管理するシステムである産業制御システム(SCADA)において、現場との橋渡しをする重要な役割を担っています。

RTUは、工場やプラント、発電所、上下水道施設など、人が常駐することが難しい遠隔地に設置され、センサーやアクチュエータといった現場の機器と直接接続されています。

センサーを通じて温度、圧力、流量、電圧などの様々なデータを収集し、そのデータを中央の監視制御システムに送信します。

一方、中央の監視制御システムからの指示は、RTUを介してアクチュエータに伝えられ、バルブの開閉やポンプの稼働などの機器制御を行います。

このように、RTUは現場の情報をリアルタイムに監視制御システムに伝え、システム全体の効率的な運用や異常発生時の迅速な対応を可能にします。

例として、ダムの水位管理、ガス管の流量制御、鉄道の信号制御など、広範囲にわたる産業分野で利用されています。

項目 説明
定義 産業制御システム(SCADA)の一部で、現場の機器と接続し、データ収集・機器制御を行う装置
設置場所 工場、プラント、発電所、上下水道施設など、人が常駐することが難しい遠隔地
機能 – センサーからのデータ収集(例:温度、圧力、流量、電圧)
– 中央システムへのデータ送信
– 中央システムからの指示受信
– アクチュエータへの指示伝達(例:バルブの開閉、ポンプの稼働)
役割 – 現場の情報をリアルタイムに監視制御システムに伝達
– システム全体の効率的な運用
– 異常発生時の迅速な対応
利用例 ダムの水位管理、ガス管の流量制御、鉄道の信号制御など

サイバー攻撃の標的となる可能性

サイバー攻撃の標的となる可能性

– サイバー攻撃の標的となる可能性

これまで、電力やガス、水道などの社会インフラを制御するシステムである産業制御システム(ICS)は、インターネットから隔離された閉鎖的なネットワークで運用されることが多く、サイバー攻撃から比較的安全と考えられてきました。特に、遠隔端末装置(RTU)のような現場に近い機器は、その特殊な環境や技術的な障壁から、攻撃の影響を受けにくいとされてきました。

しかし、近年では、運用効率の向上やコスト削減などを目的として、ICSをインターネットに接続するケースが増加しています。これにより、従来は物理的なアクセスが必要だったRTUに対しても、インターネット経由で遠隔からアクセスすることが可能となり、サイバー攻撃のリスクが高まっています。

実際に、2023年1月には、ウクライナを支援する国際的なハクティビストグループが、ベラルーシの鉄道システムで使用されているRTUに対するサイバー攻撃を成功させた事例が報告されています。この攻撃では、列車の運行管理システムに障害が発生し、物流や軍事活動に大きな影響が出たとされています。

このように、RTUを含むICSは、もはやサイバー攻撃から安全な場所ではなくなっています。社会インフラを担う重要なシステムを守るためには、従来の物理的なセキュリティ対策に加え、ネットワークセキュリティ対策を強化し、システム全体の安全性を向上させることが急務となっています。

従来のICS 近年のICS サイバー攻撃のリスク
インターネットから隔離された閉鎖的なネットワーク
物理的なアクセスが必要
運用効率向上・コスト削減のためインターネット接続
インターネット経由での遠隔アクセスが可能に
インターネット接続によりサイバー攻撃のリスクが高まっている。
(例:2023年1月 ベラルーシの鉄道システムへの攻撃)

攻撃による影響

攻撃による影響

– 攻撃による影響
遠隔監視制御システム(RTU)は、電力、ガス、水道など、私たちの生活に欠かせない社会インフラの運用に広く利用されています。もし、このRTUに対するサイバー攻撃が成功してしまうと、私たちの生活に甚大な影響が及ぶ可能性があります。

例えば、電力供給が停止してしまうと、家庭や企業の活動がストップするだけでなく、病院などの重要な施設でも停電が発生し、人命に関わる事態に発展する可能性も否定できません。また、ガス供給が遮断されると、暖房や調理に支障が出るだけでなく、ガス漏れによる火災や爆発のリスクも高まります。水道設備が制御不能になれば、断水による生活への影響はもちろんのこと、衛生環境の悪化による健康被害も懸念されます。

さらに、サイバー攻撃によってRTUから機密データが盗まれてしまうと、インフラの運用に関する重要な情報が漏洩し、より大規模な攻撃に悪用される恐れがあります。加えて、攻撃者がRTUの制御を乗っ取り、身代金を要求するといった金銭的な被害が発生する可能性も考えられます。

このように、RTUへのサイバー攻撃は、私たちの生活や社会全体に計り知れない影響を与える可能性があります。このような事態を避けるためには、RTUに対するセキュリティ対策を強化し、サイバー攻撃からシステムを守る必要があります。

インフラ 攻撃による影響
電力 – 家庭や企業の活動停止
– 病院など重要施設の停電
– 人命に関わる事態の可能性
ガス – 暖房や調理への支障
– ガス漏れによる火災や爆発のリスク
水道 – 断水による生活への影響
– 衛生環境の悪化による健康被害
RTU全体 – 機密データ盗難による大規模攻撃への悪用
– 制御乗っ取りによる身代金要求

セキュリティ対策の必要性

セキュリティ対策の必要性

– セキュリティ対策の必要性現代社会において、様々な機器がインターネットに接続され、利便性が向上する一方で、セキュリティ上のリスクも増大しています。特に、工場やプラントなどの重要インフラで稼働するRTU(リモート・ターミナル・ユニット)は、外部からの不正アクセスやサイバー攻撃の標的となる可能性があり、適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。RTUに対するセキュリティ対策として、まず重要なのがネットワークの分離です。RTUを制御するシステムをインターネットなどの外部ネットワークから切り離すことで、外部からの不正アクセスを遮断し、セキュリティリスクを大幅に低減することができます。次に、アクセス制御の強化も重要です。RTUへのアクセスを許可されたユーザーのみに制限することで、不正操作や情報漏えいのリスクを抑えることができます。パスワードの複雑化や多要素認証の導入など、アクセス制御を強化するための様々な方法があります。さらに、セキュリティソフトウェアの導入も有効な対策です。ウイルス対策ソフトやファイアウォールなどのセキュリティソフトウェアを導入することで、マルウェア感染や不正侵入を防止することができます。最新の脅威情報に基づいてセキュリティソフトウェアを常に最新の状態に保つことが重要です。これらのセキュリティ対策を総合的に実施することで、RTUをサイバー攻撃から保護し、システムの安定稼働と重要な情報の機密性を確保することができます。

セキュリティ対策 内容
ネットワークの分離 RTUを制御するシステムをインターネットなどの外部ネットワークから切り離すことで、外部からの不正アクセスを遮断
アクセス制御の強化 RTUへのアクセスを許可されたユーザーのみに制限(パスワードの複雑化や多要素認証の導入など)
セキュリティソフトウェアの導入 ウイルス対策ソフトやファイアウォールなどのセキュリティソフトウェアを導入

まとめ

まとめ

– まとめ遠方監視制御装置(RTU)は、電力、ガス、水道など、私たちの生活に欠かせない社会インフラを支える重要なシステムです。近年、インターネットへの接続が進み、利便性が高まる一方で、サイバー攻撃の標的となるリスクも高まっています。もしRTUがサイバー攻撃を受けると、電力供給の停止やガスの供給停止など、私たちの生活に甚大な影響を及ぼす可能性があります。そのため、RTUに対するセキュリティ対策は社会全体の安全を守る上で非常に重要です。具体的には、ファイアウォールや侵入検知システムなどのセキュリティ対策を導入し、外部からの不正アクセスを防ぐことが重要です。また、システムやソフトウェアを常に最新の状態に保つことで、脆弱性を悪用した攻撃を防ぐことも必要です。関係者は、最新の脅威情報や対策技術を常に共有し、連携してセキュリティ対策を強化していく必要があります。安全なシステム運用を維持するために、継続的な努力が求められます。

ポイント 詳細
重要性 電力、ガス、水道など、社会インフラを支える遠方監視制御装置(RTU)のセキュリティは、私たちの生活を守る上で非常に重要です。
リスク インターネット接続の普及により、RTUがサイバー攻撃の標的となるリスクが高まっています。攻撃が成功すると、電力供給停止などの甚大な被害が発生する可能性があります。
対策例 – ファイアウォールや侵入検知システムによる外部からの不正アクセスの防止
– システムやソフトウェアの最新化による脆弱性の悪用防止
必要性 – 最新の脅威情報や対策技術の共有
– 関係者による連携強化
– 安全なシステム運用のための継続的な努力