猛威を振るう情報窃取マルウェア:Raccoon Stealerの脅威
セキュリティを高めたい
「Raccoon Stealer」って、どんなものですか?名前は聞いたことあるんですけど…
情報セキュリティ専門家
「Raccoon Stealer」は、パソコンの中の大事な情報を盗んでしまう悪質なプログラムだよ。情報を盗み出すことから「情報窃取型マルウェア」とも呼ばれているね。
セキュリティを高めたい
情報を盗んで、どうするんですか?
情報セキュリティ専門家
盗んだ情報は、例えば、ネット銀行に勝手にログインする、ネットショップで買い物をするために使われたりするんだ。 また、盗んだ情報を闇のサイトで売買するケースもあるんだよ。
Raccoon Stealerとは。
「情報漏えいを狙う悪意のあるプログラム『Raccoon Stealer』について説明します。Raccoon Stealerは、Windowsの機械にこっそり入り込み、中の情報を盗み出す悪質なプログラムです。これは、悪質なプログラムを誰にでも使えるようにするサービスとして提供されていました。この悪質なプログラムは、偽のメールなどを使い、たくさんのパソコンに感染し、アプリやインターネット閲覧ソフトを通じて、ログインに必要な情報やメールアドレス、銀行の口座情報、仮想通貨のアドレス、クレジットカードの情報などを盗み出します。2022年のロシアによるウクライナへの攻撃が始まった時、このプログラムを作ったグループの一人が亡くなったとされ、Raccoon Stealerは一時的に活動停止しました。その後、2022年10月、Raccoon Stealerを作った張本人とみられるウクライナ人の男がオランダで捕まりました。この男を捕まえるには、オランダやイタリアの警察、アメリカのFBIや陸軍の犯罪捜査隊が協力したと、アメリカの司法省から発表されています。この悪質なプログラムによって盗まれた情報は、5000万件にもなると考えられています。この情報盗みプログラムは現在も活動しており、2023年6月には、数万件にも及ぶChatGPTのアカウント情報を感染した端末から盗み出し、闇サイトで売りに出していたことがニュースになりました。」
Raccoon Stealerとは
– Raccoon StealerとはRaccoon Stealerは、Windows搭載のパソコンに感染する悪意のあるソフトウェアです。まるでアライグマが食べ物を盗むように、パソコンの中に保存されている様々な情報を盗み出すことから、その名が付けられました。このソフトウェアは、感染したパソコンに保存されているパスワードやメールアドレス、インターネットバンキングの情報、クレジットカード番号など、様々な重要な情報を盗み出すことができます。そして、盗み出した情報は、闇のネットワークを通じて、誰かが購入できるように売買されてしまいます。Raccoon Stealerによって盗まれた情報は、不正なオンラインショッピングや、他人になりすまして銀行口座からお金を引き出すなど、様々な犯罪に悪用される可能性があります。また、盗まれた情報が悪意のある第三者に渡ってしまうことで、さらに大きな被害に繋がることも考えられます。Raccoon Stealerからパソコンを守るためには、怪しいウェブサイトへのアクセスやメールの添付ファイルの開封を控える、セキュリティソフトを導入するなど、日頃から適切な対策を講じることが重要です。
脅威 | 概要 | 被害 | 対策 |
---|---|---|---|
Raccoon Stealer | Windowsパソコンに感染し、保存された情報を盗み出すマルウェア |
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巧妙化する感染経路
近年、コンピュータウイルスをはじめとする不正プログラムは、より巧妙な手段で私たちのパソコンに侵入を試みています。その中でも「Raccoon Stealer」と呼ばれる不正プログラムは、主に「フィッシングメール」を介して感染を広げています。
フィッシングメールとは、一見すると銀行や公的機関など、信頼できる組織からのメールを装い、巧みに受信者を騙そうとするメールです。
例えば、メール本文に記載された偽のウェブサイトへのリンクをクリックすると、本物そっくりの偽のログイン画面が表示され、そこで入力したIDやパスワードなどの重要な情報が盗み取られてしまいます。また、メールに添付されたファイルを開かせることで、不正プログラムをダウンロードさせてしまうケースもあります。
さらに近年では、一見安全そうに見えるソフトウェアに、Raccoon Stealerのような不正プログラムがこっそりと組み込まれているケースも確認されています。このようなソフトウェアをダウンロードしてインストールしてしまうと、知らず知らずのうちに不正プログラムに感染してしまう危険性があります。
このように、不正プログラムの感染経路は巧妙化しており、もはや怪しいメールやウェブサイトだけを警戒していれば安全というわけではありません。
怪しいメールやウェブサイトはもちろんのこと、信頼できる提供元以外のソフトウェアのダウンロードは控えるなど、日頃からセキュリティ対策を徹底することが重要です。
不正プログラム | 主な感染経路 | 手口 |
---|---|---|
Raccoon Stealer | フィッシングメール ソフトウェアへの組み込み |
– 信頼できる組織を装ったメールで偽サイトへ誘導し、IDやパスワードを盗み取る – メールに添付ファイルとして不正プログラムを送り込む – 見た目上は安全なソフトウェアに不正プログラムを組み込み、ダウンロードと同時に感染させる |
ウクライナ侵攻と開発者の逮捕劇
2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、世界中に衝撃を与えましたが、サイバー犯罪の世界にも暗い影を落としました。情報窃取ツール「ラクーンスティーラー」の開発チームも、この侵攻の影響を大きく受けたのです。開発チームは、メンバーの一人が侵攻により死亡したと主張し、一時的に活動を停止しました。しかし、この沈黙は長くは続きませんでした。しばらくの後、活動を再開したラクーンスティーラーは、再び世界中で猛威を振るい始めました。
ラクーンスティーラーは、感染したコンピュータからログイン情報、クレジットカード情報、仮想通貨のウォレットなど、様々な個人情報を盗み出す強力なツールです。このツールが再び活動を始めたことで、世界中のセキュリティ関係者は警戒を強めました。そして、国際的な捜査機関による協力体制が築かれ、ラクーンスティーラーの摘発に向けた動きが加速しました。
そして2022年10月、ついに摘発の瞬間が訪れました。ウクライナ国籍のラクーンスティーラー開発者が、オランダで逮捕されたのです。この逮捕劇は、国際的な捜査機関の連携の成果であり、ラクーンスティーラーの活動に大きな打撃を与えました。しかし、ラクーンスティーラーのような情報窃取ツールは、その後も進化を続け、サイバー空間における脅威であり続けています。
出来事 | 時期 | 詳細 |
---|---|---|
ラクーンスティーラー開発チーム活動停止 | 2022年2月以降、しばらくの間 | ロシアによるウクライナ侵攻開始。開発チームメンバーの一人が死亡したと主張。 |
ラクーンスティーラー活動再開 | 活動停止後、しばらくして | 世界中で再び猛威を振るう。 |
ラクーンスティーラー開発者逮捕 | 2022年10月 | ウクライナ国籍の開発者がオランダで逮捕。国際的な捜査機関の連携による摘発。 |
拡散の脅威は未だ健在
情報窃取マルウェア「ラクーンスティーラー」の開発者が逮捕されたというニュースは、喜ばしい成果でした。しかし、安心するのはまだ早いと言わざるを得ません。 ラクーンスティーラーの脅威は、完全に消滅したわけではありません。既に拡散されたマルウェアは、今もなお活動を続けており、私たちの重要な情報を盗み続けています。
さらに懸念されるのは、ラクーンスティーラーのソースコードが闇市場に流出したという情報です。これは、悪意のある第三者がソースコードを改変し、新たな亜種を生み出す可能性を示唆しています。もし、検知が困難な亜種が登場すれば、被害はさらに拡大する恐れがあります。
このような状況を踏まえ、私たちは引き続きセキュリティ対策を強化していく必要があります。具体的には、OSやソフトウェアを常に最新の状態に保つこと、信頼できるセキュリティソフトを導入すること、不審なメールやウェブサイトにはアクセスしないことなどが重要です。
ラクーンスティーラーの開発者は逮捕されましたが、彼らの開発したマルウェアは、形を変えながらインターネット上に潜み続けています。最新の情報を入手し、セキュリティ意識を高めることで、私たちは自らの身を守ることができるのです。
ChatGPTアカウント情報漏洩事件
対話型人工知能サービスとして革新的な技術であるChatGPTですが、その利用者情報を狙ったサイバー犯罪が発生し、大きな問題となりました。2023年6月、「Raccoon Stealer」と呼ばれるマルウェアによって、数万件にも及ぶChatGPTのアカウント情報が盗み出され、闇市場で売買されていたことが明らかになったのです。
「Raccoon Stealer」は、利用者のパソコンに侵入し、パスワードやクレジットカード情報など、様々な個人情報を盗み出すマルウェアとして知られています。今回の事件では、ChatGPTにログインするために必要なIDやパスワードが、このマルウェアによって盗み出された可能性が高いと見られています。
ChatGPTのような便利なサービスの裏では、サイバー犯罪者が常に利用者を狙っているという現実があります。私たちは、このような脅威から身を守るために、パスワードの使い回しを避けたり、信頼できるセキュリティソフトを導入したりするなど、セキュリティ対策を徹底する必要があります。また、サービス提供元が提供する二段階認証などのセキュリティ機能も積極的に活用することで、被害を未然に防ぐことが重要です。
脅威 | 概要 | 対策 |
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ChatGPTアカウント情報窃取 | 2023年6月、「Raccoon Stealer」と呼ばれるマルウェアにより、数万件のChatGPTアカウント情報が盗難され闇市場で売買された。 |
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