急増するDDoS攻撃からシステムを守る
セキュリティを高めたい
「DDoS攻撃」ってよく聞くけど、どんな攻撃なの?
情報セキュリティ専門家
「DDoS攻撃」は、たくさんのコンピュータを使って、標的のシステムに大量のデータを送りつける攻撃だよ。イメージとしては、お店に一度に大勢の人が押し寄せて、お店の中に入れないし、お店の人は仕事ができなくなってしまう状況かな。
セキュリティを高めたい
なるほど。お店が使えなくなってしまうってことか。でも、なんでそんなことをするの?
情報セキュリティ専門家
攻撃する理由は様々だけど、例えば、気に入らないウェブサイトを見れなくしたり、業務を妨害したりするために行われることがあるよ。DDoS攻撃は、インターネット上のサービスを止めたり、遅くしたりする強力な攻撃なんだ。
DDoS攻撃とは。
「情報セキュリティの分野でよく聞く『DDoS攻撃』について説明します。『DoS攻撃』と『DDoS攻撃』は、どちらもシステムやネットワークを正常に使えなくするために仕掛けられます。攻撃者は、大量のデータを送りつけることで、ホームページやメール、インターネット上のサービスなどを停止させてしまいます。特に、あらかじめ用意した多数のコンピュータを使って、複数の場所から一斉に攻撃を仕掛けるものを『DDoS攻撃』と呼びます。動機は、嫌がらせや脅し、政治的な目的など様々です。
DDoS攻撃の概要
– DDoS攻撃の概要DDoS攻撃とは、外部から大量のアクセスを標的サーバーに送りつけることで、サーバーをパンク状態に陥れる攻撃です。これにより、本来利用できるはずのサービスが利用できなくなります。イメージとしては、お店に大量の人が押し寄せた状態を想像してみてください。お店の中は人で溢れかえり、本来のお客さんは入店することすらできません。商品を見たり買ったりすることももちろんできません。DDoS攻撃は、まさにこのような状況をインターネット上のサービスで引き起こします。標的となるサービスは、Webサイトやオンラインゲーム、金融機関のシステムなど多岐にわたります。攻撃を受けると、Webサイトが表示できなくなったり、オンラインゲームに接続できなくなったり、銀行のATMが使えなくなったりと、私たちの生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。DDoS攻撃は、攻撃者が直接サーバーに侵入して攻撃するのではなく、多数のコンピュータを遠隔操作して攻撃に加担させるという特徴があります。これらのコンピュータは、攻撃者によって悪意のあるプログラムに感染させられ、知らず知らずのうちに攻撃に加担させられているケースがほとんどです。DDoS攻撃は、インターネット社会において大きな脅威となっており、その対策は急務となっています。
項目 | 内容 |
---|---|
定義 | 外部から大量のアクセスを送りつけ、サーバーをパンク状態にする攻撃 |
影響 | – サービスが利用できなくなる – Webサイトが表示できなくなる – オンラインゲームに接続できなくなる – 金融機関のシステムが利用できなくなる |
標的 | – Webサイト – オンラインゲーム – 金融機関のシステム – その他多岐にわたる |
特徴 | – 多数のコンピュータを遠隔操作して攻撃する – 加担するコンピュータは悪意のあるプログラムに感染させられていることが多い |
DoS攻撃との違い
– DoS攻撃との違いサービスを妨害するという目的は同じDoS攻撃とDDoS攻撃ですが、その攻撃の仕方に大きな違いがあります。DoS攻撃は、攻撃元が単一のシステムに限られる攻撃です。標的となるサーバーに対して、その一台のシステムが大量のリクエストを送信したり、脆弱性を突いた攻撃を仕掛けたりすることで、サーバーの処理能力を超えさせ、サービスを停止に追い込みます。
一方、DDoS攻撃は複数のシステムから一斉に攻撃を仕掛ける点がDoS攻撃と大きく異なります。しかも、そのシステム数は数台や数十台といったレベルではなく、数万台、数十万台といった膨大な数に及ぶこともあります。これらのシステムは攻撃者が悪意を持って乗っ取った、いわゆる「ボット」と呼ばれるコンピュータであり、攻撃者の指示に従って一斉に標的となるサーバーにアクセスすることで、サーバーをダウンさせようとします。DoS攻撃と比較して、DDoS攻撃は攻撃元の特定が難しく、攻撃規模も桁違いに大きいため、より深刻な脅威と言えるでしょう。
項目 | DoS攻撃 | DDoS攻撃 |
---|---|---|
攻撃元 | 単一のシステム | 複数のシステム(数万台~数十万台) |
攻撃規模 | 比較的小規模 | 桁違いに大規模 |
特徴 | – 攻撃元の特定が比較的容易 – 標的に対して、1対1で攻撃 |
– 攻撃元の特定が困難 – ボットと呼ばれる多数のシステムから一斉に攻撃 |
DDoS攻撃の手段
分散型サービス拒否攻撃、いわゆるDDoS攻撃は、標的となるサーバーやネットワークに大量のデータを送りつけることで、サービスを妨害するサイバー攻撃です。DDoS攻撃には、様々な種類が存在し、攻撃者は目的や標的のシステムに合わせて攻撃方法を使い分けています。
代表的なDDoS攻撃の一つに、「SYNフラッド攻撃」があります。これは、サーバーに対して大量の接続要求を送信することで、サーバーのリソースを枯渇させる攻撃です。サーバーは、接続要求に対して応答を返す必要があるため、大量の接続要求を受けると処理が追いつかなくなり、正規のユーザーからのアクセスを処理できなくなってしまいます。
また、「UDPフラッド攻撃」も、DDoS攻撃の代表的な手法です。この攻撃では、大量のUDPパケットを標的となるサーバーに送信します。UDPは、TCPとは異なり、データ送信の確認を行わないため、攻撃者は大量のデータを高速に送信することができます。そのため、サーバーやネットワークの帯域を占有し、サービスを麻痺させることが可能です。
さらに、「DNS amplification攻撃」も、近年増加しているDDoS攻撃の一種です。これは、DNSサーバーに偽の情報を送りつけ、大量の応答を標的となるサーバーに送信させることで、サービスを妨害する攻撃です。DNSサーバーは、インターネット上の住所録のような役割を担っており、ドメイン名とIPアドレスの対応を管理しています。攻撃者は、この仕組みを悪用し、標的となるサーバーに大量のデータを送りつけることで、サービスを麻痺させます。
近年では、これらの攻撃手法を組み合わせた、より巧妙なDDoS攻撃も増加しています。攻撃者は、様々なツールやサービスを利用して、容易にDDoS攻撃を実行することができるようになっているため、注意が必要です。
攻撃の種類 | 説明 |
---|---|
SYNフラッド攻撃 | サーバーに対して大量の接続要求を送信し、サーバーのリソースを枯渇させる攻撃。 |
UDPフラッド攻撃 | 大量のUDPパケットを標的となるサーバーに送信し、サーバーやネットワークの帯域を占有する攻撃。 |
DNS amplification攻撃 | DNSサーバーに偽の情報を送りつけ、大量の応答を標的となるサーバーに送信させることでサービスを妨害する攻撃。 |
DDoS攻撃の動機
– DDoS攻撃の動機
DDoS攻撃は、標的となるサーバーやネットワークに大量のトラフィックを送りつけることで、それらのサービスを停止させたり、遅延させたりするサイバー攻撃です。
その動機は実に様々であり、金銭目的、愉快犯、政治的主張、競合への攻撃など、攻撃者の立場や目的によってその理由は大きく異なります。
例えば、競合他社のサービスを妨害することで、自社のサービス利用者を増やしたり、顧客を奪ったりしようとするケースがあります。これは、特にオンラインゲーム業界やECサイト業界などで見られるケースです。
また、特定の組織や個人に対する嫌がらせや復讐を目的としたDDoS攻撃も少なくありません。この場合、攻撃者は標的に対して不満や怒りを持っており、その恨みを晴らすために攻撃を行います。
さらに、政治的な主張を掲げて特定の国や組織のシステムを攻撃する、いわゆるサイバーテロリズムの手段としてDDoS攻撃が用いられることもあります。近年では、国家間の対立やテロ組織による活動の一環として、DDoS攻撃が頻繁に発生しています。
このように、DDoS攻撃の動機は多岐にわたっており、その背景には様々な要因が複雑に絡み合っています。そのため、DDoS攻撃からシステムを守るためには、攻撃者の目的や手法を理解し、適切な対策を講じることが重要です。
DDoS攻撃の動機 | 説明 | 例 |
---|---|---|
金銭目的 | 金銭を要求する | 身代金要求型DDoS攻撃 |
愉快犯 | 攻撃すること自体を目的とする | スクリプトキディによる攻撃 |
競合への攻撃 | 競合他社のサービスを妨害する | オンラインゲーム業界、ECサイト業界での攻撃 |
嫌がらせ・復讐 | 特定の組織や個人への恨みを晴らす | 標的に対する不満や怒りによる攻撃 |
政治的主張(サイバーテロリズム) | 政治的な主張を掲げて攻撃する | 国家間の対立やテロ組織による攻撃 |
DDoS攻撃からシステムを守るには
昨今、インターネット上のサービスを標的にした妨害行為であるDDoS攻撃が増加しており、多くの企業にとって看過できない脅威となっています。DDoS攻撃は、大量のデータを送りつけることで標的となるシステムに過剰な負荷をかけ、サービスを停止に追い込む攻撃です。この攻撃からシステムを守るためには、多層的な対策を講じることが重要となります。
まず、自社のシステムに不正なアクセスを未然に防ぐためには、強固なセキュリティ対策を施す必要があります。具体的には、外部からの不正な通信を遮断する「ファイアウォール」や、不審なアクセスを検知して通知する「侵入検知システム」などの導入が有効です。これらのシステムは、DDoS攻撃のような悪意のあるトラフィックを検知し、システムへの侵入を防ぐための第一の砦として機能します。
さらに、近年ではDDoS攻撃を専門に防御するサービスを提供するセキュリティ企業も増えています。これらの企業は、高度な技術と豊富な経験に基づき、大規模な攻撃にも耐えられる強固な防御システムを提供しています。自社だけで対策するのが難しい場合は、セキュリティ専門の企業と契約し、より強固な防御体制を構築することも有効な手段と言えるでしょう。
しかし、万が一これらの対策をすり抜けて攻撃を受けてしまった場合に備え、攻撃を受けてもサービスを継続できるような備えも重要です。具体的には、複数のサーバーに処理を分散させる「負荷分散」や、システムを多重化して一部が停止しても稼働を続けられるようにする「冗長化」などの対策が挙げられます。これらの対策により、攻撃の影響を最小限に抑え、サービスの継続性を確保することができます。
DDoS攻撃への対策 | 対策内容 | 詳細 |
---|---|---|
自社システムへの不正アクセス防止 | 強固なセキュリティ対策 | – ファイアウォールの導入 – 侵入検知システムの導入 |
セキュリティ専門企業との連携 | DDoS攻撃防御サービスの利用 | – 高度な技術と豊富な経験に基づいた防御システム – 大規模な攻撃への耐性 |
攻撃を受けた場合の備え | サービス継続性の確保 | – 負荷分散 – 冗長化 |