企業と個人の情報資産を守るNASのセキュリティ対策

企業と個人の情報資産を守るNASのセキュリティ対策

セキュリティを高めたい

先生、「NAS」ってよく聞くんですけど、具体的にどんなものなんですか?

情報セキュリティ専門家

「NAS」は、ネットワークにつながっている箱のようなもので、たくさんのデータを入れておくことができるんだよ。 みんなが使う写真や動画を保存しておくのに便利なんだ。

セキュリティを高めたい

へえー、まるでネットワーク上の大きな収納庫みたいですね!でも、誰でもアクセスできちゃったら、セキュリティが心配です…

情報セキュリティ専門家

その通り!NASは便利だけど、悪い人に狙われやすいという面もあるんだ。だから、パスワードを複雑にしたり、最新のソフトウェアを使ったりして、しっかり対策する必要があるんだよ。

NASとは。

「情報セキュリティで『NAS』という言葉が出てきますが、これは、ネットワークにつながっていて、データを保存したり取り出したりできる機器のことです。ネットワークにつながっているパソコンや機器から、この『NAS』にアクセスして、データをやり取りします。しかし、特定の会社の『NAS』を狙った悪いプログラムや、データを人質にとって金銭を要求するプログラムも存在しますので注意が必要です。常に適切なセキュリティ対策をとるように心がけましょう。例えば、『QNAP』という会社の『NAS』を狙った『QSnatch』や、『DeadBolt』という身代金要求プログラムなどが有名です。

NASとは

NASとは

– NASとはNAS(ナス)は、ネットワークに直接接続して使用する記憶装置のことです。パソコンやプリンターなどと同様に、家庭や職場のネットワークに接続することで、複数の機器からデータのやり取りを行うことができます。従来の外付け記憶装置は、USBケーブルなどで1台の機器に接続して使用するのが一般的でした。一方、NASはネットワークに接続されているため、複数の機器から同時にデータにアクセスすることが可能です。そのため、家族や職場の仲間とデータを共有したり、複数の機器のデータを一箇所に集めてバックアップを取ったりする際に非常に便利です。近年では、NASの性能向上や記憶容量の増加に伴い、従来のデータ保存や共有といった用途に加えて、動画や音楽の配信、ウェブサイトのデータ保管など、その活用範囲はますます広がりを見せています。例えば、高画質の動画ファイルをNASに保存しておけば、家庭内のテレビやスマートフォンなど、さまざまな機器でストリーミング再生を楽しむことができます。このように、NASは利便性が高く、様々な用途に活用できることから、企業だけでなく、個人利用も増加しています。

項目 説明
NASの定義 ネットワークに直接接続して使用する記憶装置
従来の外付け記憶装置との違い 複数の機器から同時にデータにアクセス可能
メリット データの共有、一元的なバックアップ、動画・音楽配信、ウェブサイトのデータ保管など
活用範囲 データ保存、共有、動画・音楽配信、ウェブサイトのデータ保管など、広範囲
利用状況 企業だけでなく個人利用も増加

NASが抱えるセキュリティリスク

NASが抱えるセキュリティリスク

近年、企業や家庭で広く利用されるようになったNAS(ネットワーク接続型ストレージ)ですが、その利便性の裏にはセキュリティ上のリスクも潜んでいます。NASは、ネットワークを介してデータへのアクセスを可能にするため、適切なセキュリティ対策を施さなければ、外部からの不正アクセスやマルウェア感染の危険に晒されることになります。
特に近年、NASを狙ったランサムウェアによる被害が急増しており、企業が保有する重要なデータが暗号化され、身代金を要求される事例が後を絶ちません。ランサムウェアとは、感染した機器内のデータを暗号化し、その復号のために金銭を要求する悪質なプログラムです。
もし、身代金を支払わずにデータが復元できない場合、業務が滞ってしまうだけでなく、企業の信用問題に発展する可能性も否定できません。また、盗まれたデータが悪用され、二次被害を引き起こす可能性もあります。
そのため、NASを利用する際には、ファイアウォールやウイルス対策ソフトの導入、パスワードの強化など、セキュリティ対策を徹底することが重要です。また、定期的にデータのバックアップを取得し、万が一の事態に備えることも忘れてはなりません。

NASのリスク 対策
外部からの不正アクセス – ファイアウォールの導入
– パスワードの強化
マルウェア感染
– ランサムウェアによるデータの暗号化、身代金要求
– ウイルス対策ソフトの導入
– データのバックアップ取得
データ悪用による二次被害 – データのバックアップ取得
– ファイアウォールの導入
– パスワードの強化

NASを狙う主な脅威

NASを狙う主な脅威

近年、企業や個人を問わず、大容量のデータを保存・共有できるNAS(ネットワーク接続型ストレージ)の利用が広まっています。しかし、その利便性の一方で、NASを狙ったサイバー攻撃の脅威も増加しており、注意が必要です。

NASを狙う攻撃は、特定の製品の脆弱性を突いた標的型攻撃と、広く普及している機器を狙う無差別攻撃の二つに大別できます。

特に近年被害が拡大しているのが、QNAP社製のNASを狙った「QSnatch」と呼ばれるマルウェアです。このマルウェアは、NASの脆弱性を悪用して侵入し、保存されているデータを暗号化して身代金を要求するランサムウェア攻撃や、NASを踏み台にして他の機器へ攻撃を仕掛けるボットネットへの加担など、様々なサイバー犯罪に悪用されます。

また、「DeadBolt」と呼ばれるランサムウェアも、世界中のNASを狙って猛威を振るっており、注意が必要です。このランサムウェアは、NASに保存されているデータを暗号化し、その復号と引き換えに身代金を要求します。

これらの脅威からNASを守るためには、常に最新の状態に更新すること強力なパスワードを設定することファイアウォールでアクセス制限をかけること定期的にデータのバックアップを取ることなど、基本的なセキュリティ対策を徹底することが重要です。

脅威 概要 対策
NASを狙ったサイバー攻撃の増加 大容量データの保存・共有が可能なNASの普及に伴い、標的型攻撃と無差別攻撃の両方で被害が増加
  • 常に最新の状態に更新する
  • 強力なパスワードを設定する
  • ファイアウォールでアクセス制限をかける
  • 定期的にデータのバックアップを取る
QNAP社製NASを狙ったマルウェア「QSnatch」 NASの脆弱性を悪用し、ランサムウェア攻撃やボットネットへの加担といったサイバー犯罪に悪用される 上記と同様
ランサムウェア「DeadBolt」 世界中のNASを狙い、データを暗号化して身代金を要求する 上記と同様

NASを守るためのセキュリティ対策

NASを守るためのセキュリティ対策

近年、家庭やオフィスで、大容量のデータを保存・共有できるNAS(ネットワーク接続型ハードディスク)の利用が増えています。しかし、便利な反面、セキュリティ対策を怠ると、大切なデータが盗難や漏洩の危険に晒される可能性があります。

NASを安全に利用するためには、こまめなファームウェアの更新が欠かせません。ファームウェアとは、NASの動作を制御する基本ソフトのことで、製造元がセキュリティ上の欠陥を修正した最新版を提供しています。こまめに更新することで、脆弱性を突いた攻撃を防ぐことができます。

また、初期設定からパスワードを見直すことも重要です。初期パスワードは推測されやすい場合があり、そのまま使用すると不正アクセスを許してしまう可能性があります。パスワードは、英数字や記号を組み合わせた、推測困難な複雑なものに変更しましょう。

さらに、NASには外部からの不正アクセスを防ぐためのファイアウォール機能が搭載されています。ファイアウォールは、インターネットとNASの間でやり取りされるデータを監視し、不正な通信を遮断する機能です。ファイアウォールを設定する際は、使用しているサービスに必要なポートだけを開放し、不要なポートは閉鎖することで、セキュリティ強度を高めることができます。

対策項目 内容 効果
ファームウェアの更新 製造元が提供する最新版を適用する セキュリティ上の欠陥を修正し、脆弱性を突いた攻撃を防ぐ
パスワードの見直し 初期パスワードを変更し、英数字や記号を組み合わせた推測困難なものにする 不正アクセスを防ぐ
ファイアウォールの設定 インターネットとNAS間でやり取りされるデータを監視し、不正な通信を遮断する。
必要なポート以外を閉鎖する
外部からの不正アクセスを防ぐ

さらなるセキュリティ強化策

さらなるセキュリティ強化策

企業の重要な情報資産を守るためには、強固なセキュリティ対策が欠かせません。特に、ネットワークに接続された記憶装置であるNASは、その利便性の高さから、機密情報や顧客データなど、重要なデータを保管するケースが増えていますが、セキュリティ対策を怠ると、サイバー攻撃の標的となり、情報漏えいやデータの改ざん、サービスの停止といった深刻な被害に繋がる可能性があります。

そこで、より一層のセキュリティ強化を図るために、アクセス制御の導入が有効です。アクセス制御とは、NASにアクセスできるユーザーを限定し、ユーザーごとにアクセス権限を設定することです。具体的には、ユーザーIDとパスワードによる認証を必須とすることで、許可されたユーザーのみがNASにアクセスできるように制限します。さらに、ユーザーのアクセス権限を、「読み取り専用」「書き込み可能」「編集不可」といったように、細かく設定することで、仮に不正アクセスが発生した場合でも、被害を最小限に抑えることが可能となります。

加えて、NASのデータを定期的にバックアップすることも非常に重要です。バックアップとは、万が一の事態に備え、データを複製しておくことです。バックアップデータをNASとは別の場所に保管することで、ランサムウェア感染や機器故障といった予期せぬトラブルが発生した場合でも、データを復旧することができ、事業の継続性を確保することに繋がります。

セキュリティ対策 内容 効果
アクセス制御 – ユーザーIDとパスワードによる認証
– ユーザーごとにアクセス権限を設定(読み取り専用, 書き込み可能, 編集不可など)
– 不正アクセスによる被害の最小限化
– 情報漏えい、データの改ざん、サービス停止のリスク軽減
データのバックアップ – NASのデータを定期的に複製
– バックアップデータをNASとは別の場所に保管
– ランサムウェア感染や機器故障時のデータ復旧
– 事業継続性の確保

まとめ

まとめ

近年、企業や個人において、多くの情報をデジタルデータとして保管することが当たり前になっています。こうしたデータ保管場所として、多くの企業や個人がネットワークに接続された保存装置であるNASを活用しています。NASは、パソコンやスマートフォンなど、様々な機器から場所を選ばずにデータにアクセスできるという利便性から、ますます普及が進んでいます。

しかし、便利な反面、セキュリティ対策を怠ると、不正アクセスやコンピューターウィルスの脅威にさらされる危険性も孕んでいます。外部からの不正アクセスによって重要なデータが盗まれたり、身代金を要求される被害も発生しています。また、NASがコンピューターウィルスに感染すると、接続している他の機器にウィルスが拡散し、被害が拡大する恐れもあります。

こうしたリスクを回避し、安全にNASを利用するためには、適切なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。例えば、パスワードを定期的に変更したり、複雑なパスワードを設定したりすることが有効です。また、ファームウェアと呼ばれるNASの基本ソフトを最新の状態に更新することも重要です。さらに、アクセスできるユーザーを限定したり、アクセス権限を設定することで、不正アクセスによる被害を防ぐことが可能になります。

NASは、利便性が高い一方で、セキュリティリスクにも注意が必要です。今回ご紹介したセキュリティ対策を参考に、自社の環境に合わせた対策を講じることで、安心してNASを利用できる環境を構築しましょう。

NASのメリット NASの危険性 セキュリティ対策例
  • 様々な機器から場所を選ばずにデータにアクセスできる
  • 不正アクセスによるデータ盗難
  • コンピューターウィルス感染による被害拡大
  • パスワードの定期的な変更
  • 複雑なパスワードの設定
  • ファームウェアの更新
  • アクセスユーザーの限定
  • アクセス権限の設定