スマホアプリの危険なアップデートにご用心
セキュリティを高めたい
「ダイナミック・コードローディング」って、何だか難しそうな言葉ですね。どういう意味ですか?
情報セキュリティ専門家
そうですね。「ダイナミック・コードローディング」を簡単に言うと、アプリを使う途中で、後からこっそり別のプログラムを組み込むことができる技術のことです。
セキュリティを高めたい
アプリを使う途中で、後からプログラムを組み込む…? なんでそんなことをするんですか?
情報セキュリティ専門家
悪意のある人が、アプリの検査をくぐり抜けて、後からこっそり悪いプログラムを動かすために使うことが多いです。 アプリをダウンロードしたときは安全に見えても、後から危険なプログラムが組み込まれる可能性があるということですね。
ダイナミック・コードローディングとは。
「情報セキュリティの分野で使われる『動的にプログラムを読み込む』という言葉について説明します。これは、もともとのプログラムには含まれていない、悪意のあるプログラムの部品を、後から付け加えるようにして読み込み、実行するずるい方法です。特に、携帯電話やスマートフォンの基本ソフトを狙った攻撃でよく使われます。専門家の間では、MITRE ATT&CKという攻撃の手口をまとめたものがあり、この方法は『実行時の新コードダウンロード(T1407)』という技に分類されています。2023年には、グーグルのセキュリティチームが悪意のあるソフトのキャンペーンを見つけました。この時は、一見 harmless な偽物のアプリを使って、グーグルプレイストアの審査をすり抜け、アプリが動き出した後に更新プログラムを装って、攻撃者のサーバーから悪意のあるプログラムの部品を送り込む『バージョンアップに見せかける』という技が使われていました。
アプリの動的読み込みとは
私たちの身近にあるスマートフォンアプリは、常に最新の機能やセキュリティ対策が施されるよう、頻繁に更新されています。アプリを提供する側は、ユーザーに快適かつ安全にアプリを利用してもらうため、日々改善を続けています。しかし、この便利な更新機能を逆手に取った、悪意のある攻撃手法が存在します。それが「動的読み込み」と呼ばれるものです。
動的読み込みとは、アプリが本来持っていなかった機能を、アプリの更新時や実行時に外部からダウンロードし、あたかも最初から組み込まれていたかのように動作させる技術です。一見すると、アプリの機能を柔軟に追加できる便利な仕組みに思えます。しかし、この仕組みが悪意のある者によって悪用されると、深刻なセキュリティリスクにさらされる可能性があります。
例えば、正規のアプリに偽装した悪意のあるアプリが、動的読み込みを悪用して、ユーザーの許可なく個人情報を盗み出すプログラムを後から組み込むかもしれません。また、アプリの重要な機能を改ざんし、正常に動作しないように細工する可能性もあります。このような事態を防ぐために、アプリは信頼できる提供元からダウンロードするように心がけ、提供元が不明なアプリのインストールは避けましょう。また、OSやアプリは常に最新の状態に保ち、セキュリティ対策を最新の状態に保つことが重要です。
項目 | 内容 |
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概要 | スマートフォンアプリの更新機能を悪用した攻撃手法。アプリが本来持っていなかった機能を、更新時や実行時に外部からダウンロードして実行する。 |
メリット | アプリの機能を柔軟に追加できる。 |
デメリット・リスク |
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対策 |
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悪意のあるコードの侵入経路
– 悪意のあるコードの侵入経路近年、スマートフォンやタブレット端末に便利な機能を追加できるアプリケーションが広く利用されています。アプリケーション開発者は、ユーザーの利便性を高めたり、最新の機能を迅速に追加したりするために、アプリケーション公開後にプログラムの一部を変更できる「動的コードローディング」という技術を用いることがあります。しかし、この便利な技術は、悪意を持った攻撃者に悪用される可能性も孕んでいます。攻撃者は、一見すると問題のない機能を持ったアプリケーションを開発し、公式のアプリケーションストア(例えば、Google Playストア)に公開します。このアプリケーションは、ストアの審査を問題なく通過します。なぜなら、審査の段階では悪意のある機能は含まれておらず、一般的なアプリケーションと全く変わらないからです。しかし、ユーザーがアプリケーションをインストールして使い始めると、外部のサーバーから悪意のあるプログラムがダウンロードされ、密かに端末に組み込まれてしまうのです。このように、動的コードローディングは便利な反面、悪用されるとユーザーに危険を及ぼす可能性があります。ユーザーは、公式ストアからアプリケーションをダウンロードする際も、開発者の信頼性やアプリケーションの評価などを十分に確認するなど、注意が必要です。
項目 | 内容 |
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技術 | 動的コードローディング |
説明 | アプリ公開後にプログラムの一部を変更できる技術 ユーザーの利便性向上や最新機能の迅速な追加が可能 |
悪用の可能性 | 攻撃者が悪意あるコードを仕込んだアプリを公式ストアで公開 インストール後、外部サーバーから悪意あるプログラムがダウンロードされ端末に組み込まれる |
対策 | 公式ストアからアプリをダウンロードする際も、開発者の信頼性やアプリの評価などを確認 |
最近の攻撃事例
近頃、巧妙さを増す攻撃手法が次々と確認されており、利用者を不安に陥れています。今回は、2023年にグーグルのセキュリティー担当部署が見つけた事例を基に、その仕組みと注意点を解説します。攻撃者はまず、一見すると問題のない偽物のアプリを作り、グーグルプレイストアで公開します。利用者がそのアプリを端末にインストールすると、攻撃の第二段階が始まります。アプリの更新を装って、攻撃者の管理下にあるサーバーから、悪意のあるプログラムを含んだ新しいバージョンが配信されるのです。利用者は、これが通常の更新だと勘違いしてしまいます。その結果、端末を乗っ取られたり、個人情報を盗まれたりするなどの被害に遭いやすくなってしまうのです。重要なポイントは、攻撃者は、セキュリティー対策の甘くなった古いバージョンのアプリを狙っているということです。常に最新の状態を保つことが重要です。
攻撃フェーズ | 攻撃者の行動 | 利用者の行動 | 注意点 |
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フェーズ1 | 偽アプリをGoogle Playストアに公開 | 偽アプリをダウンロードし、インストール | – |
フェーズ2 | アプリ更新を装い、悪意のあるプログラムを含む新しいバージョンを配信 | 通常のアプリ更新だと勘違いして更新 | セキュリティ対策の甘くなった古いバージョンのアプリが狙われるため、常に最新の状態を保つことが重要 |
セキュリティ対策の重要性
昨今、悪意のあるプログラムを不正に実行させてしまう動的コードローディングによる攻撃が増加しています。このような攻撃から大切な情報資産を守るためには、利用者一人ひとりのセキュリティ意識を高めることが非常に大切です。
スマートフォンやパソコンにアプリをインストールする際には、開発元が信頼できる事業者かどうかをしっかりと確認しましょう。利用者の評価やレビューも参考になる情報です。よく確認せずに安易にインストールすることは避けましょう。また、信頼のおける公式のストアからのみアプリをインストールするように心がけ、公式ストア以外からのインストールは避けましょう。
さらに、常に使用している端末やアプリを最新の状態に保つことも重要です。古いバージョンには、セキュリティ上の弱点が存在する可能性があります。最新の状態を保つことで、新たな脅威から端末を守ることができます。
これらの対策に加えて、セキュリティソフトを導入することも有効な手段です。セキュリティソフトは、怪しいプログラムの実行を未然に防いだり、端末に侵入しようとする不正なアクセスを遮断したりするなど、様々な機能で端末を守ってくれます。
対策 | 詳細 |
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アプリインストール時の注意点 |
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端末とアプリのバージョン管理 | 常に最新の状態に保つ |
セキュリティソフトの導入 | 怪しいプログラムの実行防止、不正アクセス遮断などの機能で端末を保護 |
まとめ
昨今では、携帯電話は単なる連絡手段を超え、生活に欠かせない存在となっています。その携帯電話を快適に利用するために、アプリは重要な役割を担っています。アプリは、常に最新の機能やデザインを提供するために、頻繁に更新が行われています。その更新を効率的に行うための技術の一つに、動的コードローディングがあります。
動的コードローディングは、アプリの使用中に、必要なプログラムをインターネット上からダウンロードしてくる技術です。この技術により、アプリの開発者は、ユーザーにアプリ全体の再ダウンロードをさせることなく、新しい機能を追加したり、既存の機能を修正したりすることが可能になります。これは、ユーザーにとっても、開発者にとっても、大きなメリットと言えます。
しかし、便利な半面、動的コードローディングは悪意のある攻撃者によって悪用される可能性も秘めています。もし、ダウンロードされてくるプログラムに問題があった場合、携帯電話が正常に動作しなくなったり、個人情報が漏洩したりする危険性があります。
このような危険性から身を守るためには、ユーザーは信頼できる開発元のアプリのみを使用する、アプリの要求する権限をよく確認する、セキュリティソフトを導入するなどの対策が必要です。アプリの開発元も、動的コードローディングを安全に行うために、ダウンロードするプログラムのデジタル署名による検証や、通信の暗号化といったセキュリティ対策を徹底する必要があります。
動的コードローディングは、利便性と危険性を併せ持つ技術です。ユーザーと開発者が共にセキュリティ意識を高め、適切な対策を講じることで、安全で快適な携帯電話の利用が可能になるのです。
項目 | 内容 |
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動的コードローディングとは | アプリ使用中に、必要なプログラムをインターネット上からダウンロードしてくる技術 |
メリット | アプリ全体の再ダウンロードなしに、新機能追加や既存機能の修正が可能 |
危険性 |
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ユーザー側の対策 |
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開発者側の対策 |
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