見落としがちなデータの残留リスク

見落としがちなデータの残留リスク

セキュリティを高めたい

『残留データ』って、何ですか?

情報セキュリティ専門家

簡単に言うと、使わなくなったパソコンやスマホの中にある、消し忘れたデータのことだよ。ゴミ箱に入れたけど、まだゴミ収集車に持っていかれていないゴミみたいに残っているんだ。

セキュリティを高めたい

へえー。でも、ちゃんと消したつもりでも残っていることがあるんですか?

情報セキュリティ専門家

そうなんだ。ゴミ箱を空っぽにしたつもりでも、ゴミが底に張り付いて残っていることがあるだろう? データも、ちゃんと消したつもりでも、特別な方法を使わないと、完全に消えずに残ってしまうことがあるんだよ。

残留データとは。

「残留データ」っていうのは、ハードディスクなんかの記録媒体に残ってしまったデータのことだよ。電子データは、作られてから使われて、捨てられるまでの間、ずっとちゃんと守らないといけないんだ。記録媒体に保存されているデータとか、ネットワーク上を移動しているデータを守るための対策が強くなればなるほど、悪い人は、データにアクセスしやすい、弱いところを狙ってくるようになる。だから、もう使わないし、捨てることにした記録媒体には、ちゃんとデータを消す対策、つまり「サニタイジング」っていうのをやらないといけないんだ。「サニタイジング」っていうのは、データを消す方法で、ちゃんとやらないと、記録媒体に残ってしまったデータが「残留データ」になっちゃって、悪い人に狙われやすくなっちゃう。「残留データ」のリスクを減らす「サニタイジング」の方法については、「NISTSP800-88メディア・サニタイゼーションガイドライン」っていうのがあって、データを消す方法が4つ決められてるんだ。最近は、インフラストラクチャーっていうのを専門の会社に管理してもらうクラウドサービスが広まってるけど、そうすると、「残留データ」の管理が難しくなってくるんだ。捨てられたハードウェアからデータが盗まれる事件は、日本だけじゃなくて、世界中で起きてるんだよ。例えば2022年には、アメリカ軍がアフガニスタンで使ってた、アフガニスタンに住んでる人の個人情報が含まれたデータが、中古品として出回っちゃって、アメリカ軍に協力してくれた人が、そのせいで迫害されちゃうかもしれないって問題になったんだ。

データの残留とは

データの残留とは

– データの残留とは私たちが日々、パソコンやスマートフォンなどで扱うデータは、ハードディスクやUSBメモリといった記憶媒体に保存されます。 データを削除したつもりでも、実際には記憶媒体から完全に消去されたわけではなく、目に見えない形で残っていることがあります。 このような、意図せず残ってしまうデータのことを「残留データ」と呼びます。一体なぜ、削除したはずのデータが残ってしまうのでしょうか?それは、コンピューターがデータを消去する仕組みと関係があります。 コンピューターは、データを消去する際に、データそのものを消すのではなく、データが保存されていた場所を「空き領域」としてマークするだけなのです。 例えば、紙に文字を書いて消しゴムで消したとしても、紙には消し跡が残ってしまいますよね? これと同じように、データが保存されていた場所には、データの痕跡が残ってしまうのです。そして、この「空き領域」としてマークされた場所に、新たなデータが上書きされるまでは、残留データは特別な方法を用いることで復元できてしまう可能性があります。 つまり、一見データが消えてしまったように見えても、実際には復元可能な形で残留データとして残っている可能性があるのです。そのため、不用意に個人情報や機密情報を含むデータを扱ったり、処分したりすると、情報漏えいに繋がる恐れがあり大変危険です。

データの残留とは 残留データの例 残留データが残る理由 残留データの危険性
削除したつもりでも、記憶媒体から完全に消去されたわけではなく、目に見えない形で残っているデータのこと 紙に文字を書いて消しゴムで消した時の消し跡 コンピューターは、データを消去する際に、データそのものを消すのではなく、データが保存されていた場所を「空き領域」としてマークするだけであるため 特別な方法を用いることで復元できてしまう可能性があり、情報漏えいに繋がる恐れがある

残留データのリスク

残留データのリスク

– 残留データのリスク不用意に残されたデータは、企業や個人の重要な情報が外部に漏れてしまう危険性を孕んでいます。例えば、会社で使っていたパソコンを廃棄する際に、顧客の情報を消去し忘れていたとします。このパソコンが第三者の手に渡ってしまった場合、顧客の名前や住所、電話番号といった情報が悪用され、金銭を要求される被害や、会社の信用問題に発展する可能性も否定できません。また、個人が使用していたパソコンでも同様です。プライベートな写真や動画を消去せずにパソコンを売却したり、廃棄したりした場合、それらの情報がインターネット上に流出し、個人のプライバシーが侵害されるかもしれません。一度流出してしまった情報は、完全に削除するのが難しく、拡散してしまうと、取り返しのつかない事態になりかねません。このように、残留データは企業と個人双方にとって、セキュリティ面で大きなリスクとなる可能性があります。不用になった機器は、情報を適切に消去してから廃棄するなど、日頃から情報管理を徹底することが重要です。

主体 リスクの内容 具体的な例 結果
企業 顧客情報等の漏洩 廃棄したパソコンに顧客情報が残っていた 金銭要求、信用問題
個人 プライバシーの侵害 売却したパソコンにプライベートな写真や動画が残っていた 情報流出、拡散

残留データへの対策

残留データへの対策

不用意に残されたデータは、企業にとって大きな脅威となります。情報漏洩は、金銭的な損失だけでなく、信用失墜にもつながりかねません。そのため、データの削除は、情報セキュリティ対策として非常に重要です。

データ削除には、単にファイルを削除するだけでは不十分です。削除したはずのファイルは、復元ソフトを使えば簡単に復元できてしまうことがあります。重要なデータを完全に消去するためには、専用のデータ消去ソフトを使用する必要があります。

データ消去ソフトは、データを何度も上書きしたり、磁気的に破壊したりすることで、復元を不可能にします。上書きの回数や方法はソフトによって異なりますが、一般的には、複数回の上書きを行うことで、より確実にデータを消去できます。

また、ハードディスクやSSDを物理的に破壊することも、データの漏洩を防ぐ有効な手段です。特に、機密情報を取り扱う企業などでは、廃棄前にハードディスクを物理的に破壊することが推奨されます。

ただし、ハードディスクの物理破壊は、専門的な知識や技術が必要となります。そのため、専門業者に依頼し、適切な方法で処理してもらうようにしましょう。

対策 説明 補足
データの削除 情報漏洩対策として非常に重要 単にファイルを削除するだけでは不十分
専用データ消去ソフトの使用 データを完全に消去するために必要 データを何度も上書きしたり、磁気的に破壊したりする
ハードディスクの物理破壊 データ漏洩を防ぐ有効な手段 専門業者に依頼し、適切な方法で処理する

クラウド時代の残留データ

クラウド時代の残留データ

近年、多くの企業が情報管理の効率化や費用削減を目的として、従来型の自社運用サーバーではなく、クラウドサービスを利用するようになっています。クラウドサービスは、インターネット経由でアクセスできる外部のサーバーにデータを保管するため、場所を選ばずに必要な時に情報にアクセスできるという利点があります。
しかし、利便性の高いクラウドサービスですが、一方で、情報管理の新たな課題も浮上しています。それは「残留データ」の問題です。クラウドサービスを利用する場合、自社でサーバーを管理していた時とは異なり、データの保管場所が外部のクラウド事業者のサーバーに移ることになります。そのため、契約終了後やサービス解約時に、意図せずにデータが残ってしまうリスクが高まります。
クラウド上のデータは、目に見えない形で残っている場合があり、情報漏洩のリスクを完全に払拭することは難しいと言えるでしょう。そのため、クラウドサービスの利用にあたっては、契約時にクラウド事業者との間で、データ消去に関する責任範囲や具体的な消去方法などを明確に定めておく必要があります。また、利用者側も、不要になったデータは速やかに削除するなど、残留データが生じない運用体制を整えることが重要です。

項目 内容
クラウドサービスのメリット 情報管理の効率化、費用削減、場所を選ばないアクセス
クラウドサービスの課題 契約終了後やサービス解約時にデータが残ってしまうリスク(残留データ)
対策
  • 契約時にクラウド事業者との間で、データ消去に関する責任範囲や具体的な消去方法などを明確に定める
  • 利用者側も、不要になったデータは速やかに削除するなど、残留データが生じない運用体制を整える

残留データ問題の事例

残留データ問題の事例

– 残留データ問題の事例

現代社会において、情報漏洩は深刻な問題となっており、その中でも「残留データ」に起因する事例は後を絶ちません。2022年には、実際に起きた事件が世界に衝撃を与えました。アフガニスタンから撤退する際、米軍が使用していた機器が適切に処理されないまま現地に残され、そこからアフガニスタン国民の生体認証データが流出したのです。この事件は、残留データの管理体制が不十分であれば、個人のプライバシーを著しく侵害するだけでなく、国家間の関係にも影響を及ぼす可能性を示す象徴的な出来事となりました。

目を海外から国内に向けると、より身近なところで同様の問題が発生しています。中古パソコンやスマートフォンなどに残されたデータが完全に消去されないまま販売され、そこから顧客情報や企業秘密が流出する事件が後を絶ちません。このような事態は、企業にとって信用問題に発展するだけでなく、金銭的な損失や訴訟リスクも伴うため、看過できない問題です。

このように、残留データ問題は、対岸の火事ではなく、私たち一人ひとりが意識し、対策を講じる必要がある問題なのです。

分類 事例 影響
海外事例 米軍の機器からのアフガニスタン国民の生体認証データ流出
  • 個人のプライバシー侵害
  • 国家間の関係悪化
国内事例 中古パソコンやスマートフォンからの顧客情報や企業秘密の流出
  • 企業の信用問題
  • 金銭的損失
  • 訴訟リスク

終わりに

終わりに

現代社会は、あらゆるものがデジタル化していく時代を迎えています。それに伴い、私達の生活や仕事に欠かせないデータの重要性は、かつてないほど高まっています。しかし、便利な時代になった反面、使用済み機器や記憶媒体にデータが残ってしまう「残留データ」の問題も深刻化しています。この残留データが悪意のある第三者に渡ってしまうと、個人情報漏洩や企業秘密の流出といった、取り返しのつかない事態を引き起こす可能性もあるのです。

このような事態を防ぐためには、データ消去ソフトを用いて情報を完全に消去したり、物理的に記憶装置を破壊するといった対策が有効です。しかし、どの方法が最適かは、データの種類や重要度、そして使用していた機器によって異なります。そのため、まずは自らがどのようなデータを持っているのかを把握し、それぞれのデータに適した消去方法を選択することが重要です。

残留データ対策は、決して企業だけの問題ではありません。個人が使用していたスマートフォンやパソコンからも、重要な情報が流出する可能性は十分にあります。 一人ひとりが残留データのリスクを認識し、適切な対策を講じることで、安全なデジタル社会を実現できるのではないでしょうか。

問題 原因 リスク 対策
残留データ問題 使用済み機器や記憶媒体にデータが残ってしまう 個人情報漏洩、企業秘密の流出 データ消去ソフトの使用、物理的な記憶装置の破壊