NIST CSF: サイバーセキュリティ対策の最新ガイドライン

NIST CSF: サイバーセキュリティ対策の最新ガイドライン

セキュリティを高めたい

「情報セキュリティに関連する用語『NIST CSF』って、何ですか?何かの略ですか?」

情報セキュリティ専門家

良い質問ですね。『NIST CSF』は『NIST CyberSecurity Framework』の略で、アメリカの組織が作った、組織のセキュリティ対策を強化するための枠組みのことです。

セキュリティを高めたい

アメリカの組織が作った枠組みということは、日本の会社には関係ないのですか?

情報セキュリティ専門家

そんなことはありません。世界中で広く使われているフレームワークなので、日本の会社でもセキュリティ対策の参考にすることがありますよ。

NIST CSFとは。

「NIST CSF」っていうのは、アメリカの国立標準技術研究所が出してる「重要インフラにおけるサイバーセキュリティを向上させるためのフレームワーク」のことで、サイバーセキュリティ対策の指針みたいなものなんだ。これは、いろんなセキュリティ基準を参考に作られていて、基本的な対策、具体的なやり方、組織ごとの当てはめ方の3つの部分に分かれてるんだ。NIST CSFは、脅威の特定、防御、発見、対応、復旧の5つの分野のセキュリティ対策を網羅してるんだけど、今は2023年版への更新作業中で、新しい要素も追加される予定なんだ。

NIST CSFとは

NIST CSFとは

– NIST CSFとは

NIST CSF(CyberSecurity Framework)は、アメリカの国立標準技術研究所(NIST)が策定した、組織のサイバーセキュリティ対策を強化するための枠組みです。正式名称は「重要インフラにおけるサイバーセキュリティを向上させるためのフレームワーク」と言いますが、重要インフラだけでなく、あらゆる組織のサイバーセキュリティリスク管理に役立つ実践的なガイドラインとして広く活用されています。

NIST CSFは、複雑化するサイバー攻撃から組織を守るために、体系的かつ包括的なアプローチを提供しています。具体的には、「識別」「防御」「検知」「対応」「復旧」という5つの機能分野を軸に構成されています。

まず、「識別」は、組織の資産やシステム、データの流れ、そして潜在的なリスクを把握することから始まります。次に、「防御」では、リスクを軽減するために必要なセキュリティ対策を導入します。これは、アクセス制御や暗号化、セキュリティ意識の向上などを指します。

しかし、すべての攻撃を防ぐことは困難なため、「検知」は重要な要素です。侵入や不正アクセスを迅速に発見するための監視体制や技術の導入が必要です。もし、攻撃が成功してしまった場合でも、被害を最小限に抑えるために、「対応」と「復旧」が求められます。迅速なインシデント対応や、元の状態に復旧するための計画と手順を事前に準備しておくことが重要です。

NIST CSFは、組織が自らのセキュリティ体制を評価し、改善していくための柔軟な枠組みを提供します。組織は、NIST CSFを活用することで、限られた資源を効果的に活用し、サイバーセキュリティリスクを軽減することができます。

機能分野 説明
識別 組織の資産、システム、データの流れ、潜在的なリスクを把握する
防御 リスクを軽減するためのセキュリティ対策を導入する(アクセス制御、暗号化、セキュリティ意識向上など)
検知 侵入や不正アクセスを迅速に発見するための監視体制や技術を導入する
対応 攻撃が成功した場合に被害を最小限に抑えるためのインシデント対応を行う
復旧 元の状態に復旧するための計画と手順に従い、システムを復旧する

三つの構成要素

三つの構成要素

組織が効果的なサイバーセキュリティ対策を実施するためには、段階的な導入と継続的な改善が欠かせません。米国国立標準技術研究所(NIST)が策定したサイバーセキュリティフレームワーク(NIST CSF)は、このプロセスを支援するために、三つの主要な構成要素を提供しています。

まず、NIST CSFの中核をなすのが「コア」です。コアは、組織がサイバーセキュリティ対策全体を把握するための枠組みを提供します。具体的には、特定、防御、検知、対応、復旧という五つの機能と、それらをさらに細分化したカテゴリで構成されています。これらの機能とカテゴリは、組織がサイバーセキュリティリスクを管理するために必要な活動の全体像を示すものです。

次に、「実装ティア」は、組織が自らの状況に合わせて具体的な対策レベルを選択するための指針となります。組織の規模や業種、サイバーセキュリティリスクへの許容度などは一様ではありません。実装ティアは、部分的(Tier 1)から進化的(Tier 4)まで四つのレベルで定義されており、組織は自らの成熟度やリスク許容度に応じて適切なレベルを選択し、段階的にセキュリティ対策の強化を図ることができます。

最後に、「プロファイル」は、組織がCSFを自社の環境やニーズに合わせてカスタマイズするための柔軟性を提供します。組織は、コアで定義された機能やカテゴリの中から、自社の事業目標やリスク許容度に基づいて、優先順位の高いものを選択し、独自のセキュリティ対策プロファイルを策定できます。プロファイルは、組織の現状を把握し、目標とするセキュリティレベルに到達するための具体的なロードマップとして機能します。

構成要素 説明
コア – サイバーセキュリティ対策の全体像を把握するための枠組み
– 特定、防御、検知、対応、復旧の5つの機能と、それらを細分化したカテゴリで構成
実装ティア – 組織が具体的な対策レベルを選択するための指針
– 部分的(Tier 1)から進化的(Tier 4)まで4つのレベル
– 組織の成熟度やリスク許容度に応じて段階的にセキュリティ対策を強化
プロファイル – 組織がCSFを自社の環境やニーズに合わせてカスタマイズするための仕組み
– コアで定義された機能やカテゴリから、優先順位の高いものを選択し、独自のセキュリティ対策プロファイルを策定
– 組織の現状把握と目標達成のためのロードマップ

五つの機能領域

五つの機能領域

– 五つの機能領域でサイバー攻撃から組織を守る情報セキュリティ対策の枠組みとして、「特定」「防御」「検知」「対応」「復旧」の五つの機能領域が重要視されています。これらの領域はそれぞれ独立しているのではなく、互いに連携し、組織全体のセキュリティレベル向上に貢献します。まず、自社の現状を把握するために「特定」のフェーズが欠かせません。これは、組織が保有する重要な情報資産やシステムを洗い出し、それぞれの重要度に応じて適切なリスク評価を行うプロセスです。機密情報や顧客データ、重要な業務システムなどがこの「情報資産」にあたります。次に、「防御」は、特定されたリスクに基づき、事前に対策を講じる段階です。強固なパスワードを設定したり、ファイアウォールやセキュリティソフトを導入したりすることで、外部からの不正アクセスや攻撃を防ぎます。従業員へのセキュリティ意識向上トレーニングも、この「防御」に含まれます。しかし、どれだけ強固な防御を築いても、全ての攻撃を防ぐことは不可能です。そこで重要になるのが、「検知」の仕組みです。侵入検知システムやログ監視システムを導入することで、不正なアクセスや攻撃の兆候をいち早く察知します。早期発見が、被害拡大防止の鍵となります。万が一、セキュリティインシデントが発生した場合には、「対応」フェーズに移行します。影響範囲の特定、攻撃経路の遮断、データ復旧など、迅速かつ適切な対応が求められます。事前に対応手順を策定しておくことで、冷静かつ効率的な対応が可能になります。最後の「復旧」は、インシデントの影響から完全に復旧し、通常の状態にシステムやサービスを戻す段階です。データの復旧やシステムの再構築などを行います。このフェーズでは、教訓を活かし、再発防止策を検討することが重要になります。五つの機能領域をバランスよく強化することで、組織はより強固なセキュリティ体制を構築し、サイバー攻撃の脅威から大切な情報資産を守ることができるのです。

機能領域 説明
特定 – 組織の重要な情報資産やシステムを洗い出し、リスク評価を行う
– 例:機密情報、顧客データ、重要な業務システム
防御 – 特定されたリスクに基づき、事前に対策を講じる
– 例:強固なパスワード設定、ファイアウォール、セキュリティソフト導入、従業員へのセキュリティ意識向上トレーニング
検知 – 不正なアクセスや攻撃の兆候をいち早く察知する
– 例:侵入検知システム、ログ監視システム
対応 – セキュリティインシデント発生時の対応
– 例:影響範囲の特定、攻撃経路の遮断、データ復旧
復旧 – インシデントの影響から完全に復旧し、通常の状態に戻す
– 例:データの復旧、システムの再構築、再発防止策の検討

最新バージョンへの移行

最新バージョンへの移行

現在、アメリカの国立標準技術研究所(NIST)が定めるサイバーセキュリティの枠組みであるNIST CSFは、バージョン1.1が最新版として広く利用されています。しかし、技術の進歩やサイバー攻撃の手口は常に変化しており、最新版への対応が求められています。

そこでNISTは、最新版であるバージョン2.0の策定を進めています。バージョン2.0では、いくつかの重要な変更が加えられる予定です。

まず、昨今、企業活動にとって非常に重要度を増しているサプライチェーン全体におけるセキュリティ対策の強化が盛り込まれる予定です。これは、取引先企業などを経由した攻撃が増加していることを受けたものです。

また、巧妙化し続けるランサムウェア攻撃への対策強化も検討されています。ランサムウェア攻撃は、企業の重要なデータを暗号化し、その復号と引き換えに身代金を要求する攻撃です。近年、その手口は巧妙化しており、企業にとって大きな脅威となっています。

このように、サイバーセキュリティ対策は、常に変化する脅威に対応していく必要があります。組織は、NIST CSFバージョン2.0に関する最新情報を常に確認し、必要に応じて自社のセキュリティ対策を見直していく必要があります。

バージョン 変更点
バージョン2.0 サプライチェーン全体におけるセキュリティ対策の強化
巧妙化するランサムウェア攻撃への対策強化