データの状態に応じたセキュリティ対策

データの状態に応じたセキュリティ対策

セキュリティを高めたい

「データの状態」って、よく聞くけど、具体的にはどんなものがあるのですか?

情報セキュリティ専門家

良い質問ですね。「データの状態」は大きく分けて、「保存データ」「転送中のデータ」「使用中のデータ」の3つがあります。それぞれ、データがどこにあるか、どのように扱われているかによって分類されます。

セキュリティを高めたい

なるほど! データがどこにあるか、で分類されるんですね。具体的に、それぞれの状態って、どんなものですか?

情報セキュリティ専門家

「保存データ」は、例えばパソコンやスマホの中、会社のデータベースなど、保管されている状態のデータです。「転送中のデータ」はインターネットなどでやり取りされている最中のデータです。そして「使用中のデータ」は、パソコンでファイルを開いて作業している時など、実際に使われている状態のデータを指します。

データの状態とは。

「データの状態」という言葉を、情報セキュリティの分野で耳にすることがあります。これは、データがどのような状況にあるのかを表す言葉です。デジタルデータは、大きく分けて以下の3つの状態に分けられます。一つ目は「保存データ」です。これは、データベースや記録装置などに保管されているデータのことです。このようなデータを守るためには、データを暗号化したり、別の場所に複製を作って保管したり、装置自体を保護したり、アクセスできる人を制限したりするなどの方法があります。二つ目は「転送中のデータ」です。これは、ネットワークを通じて別の場所へ移動しているデータのことです。このようなデータを守るためには、通信経路を暗号化する、データの送信元と送信先の間だけで暗号化するなどの方法があります。具体的な例としては、暗号化機能を持つHTTPSやFTPS、SCP、SSH、RDPなどがあります。三つ目は「使用中のデータ」です。これは、実際に処理されているデータのことです。データの処理は通常、暗号化されていない状態で行われるため、処理を行う仕組み自体を隔離したり、暗号化機能を独立した部品にまとめたりするなどの方法で保護します。セキュリティ対策を行う責任者は、データがどのような状態にあるのかによって適切な対策をとる必要があります。日本のサイバーセキュリティ対策の責任機関であるNCSCは、装置のセキュリティ対策に関する指針の中で、保存データと転送中のデータに対する対策のガイドラインを公表しています。

データの状態とは

データの状態とは

– データの状態とは

「データの状態」とは、情報を取り扱う上で、その情報がどのような状況で使用されているかを示す重要な考え方です。 データは、顧客情報や販売記録、メールの内容など、様々な形で存在し、保管場所や用途によって、様々な危険にさらされます。

例えば、顧客情報は、企業のデータベースに保管されている状態では、不正アクセスから守る対策が重要になります。しかし、同じ情報でも、顧客データベースから取り出され、分析のために別のシステムに移動された場合、ネットワークを経由するため、盗聴のリスクが高まります。

このように、データは状態が変わると、危険性も変化します。そのため、データの状態を常に意識し、それぞれの状態に最適な対策を講じる必要があります。

例えば、データベースに保管する際は、強力なパスワードを設定したり、アクセス権限を制限したりすることで、不正アクセスを防ぐことができます。ネットワークを通じてやり取りする際は、情報を暗号化することで、盗聴や改ざんのリスクを低減できます。

データの状態を理解し、適切なセキュリティ対策を実施することで、私たちは機密情報や個人情報を安全に守り、安心して情報社会で生活していくことができます。

データの状態 リスク 対策
企業のデータベースに保管されている状態 不正アクセス – 強力なパスワード設定
– アクセス権限の制限
データベースから取り出され、ネットワーク経由で別のシステムに移動された状態 盗聴 – 情報の暗号化

保存データの保護

保存データの保護

私たちは、日々の業務や生活の中で、様々な情報をデジタルデータとして扱っています。これらのデータは、データベースやストレージといった記憶装置に保存されますが、この「保存データ」と呼ばれるデータは、常に危険にさらされています。外部からの不正アクセスや、悪意を持った内部関係者による情報漏えいなど、その脅威は多岐に渡ります。 保存データの安全を守るためには、多層的な対策を講じることが重要です。

まず、データの内容を暗号化することで、仮に不正アクセスが発生した場合でも、内容を読み解くことを困難にできます。これは、データの内容を第三者には理解できない形式に変換することで、機密性を保持する技術です。

次に、災害やシステム障害に備え、オフライン環境にバックアップを作成しておくことも重要です。これは、万が一、システムが利用不能な状態に陥った場合でも、別の場所からデータ復旧できるようにするための対策です。

さらに、データが保存されている機器自体を物理的に保護することも忘れてはなりません。盗難や破壊から守るために、堅牢な保管庫に設置したり、入退室管理を徹底するなどの対策が必要です。

加えて、アクセス制御を導入し、許可された担当者のみがデータにアクセスできるように制限することも有効です。誰が、いつ、どのデータにアクセスしたのかを記録することで、不正行為の抑止効果も期待できます。

これらの対策を組み合わせることで、保存データに対するセキュリティレベルを向上させ、安心して業務に取り組める環境を構築できます。

対策 内容
暗号化 データの内容を第三者には理解できない形式に変換する
バックアップ 災害やシステム障害に備え、オフライン環境にデータを複製する
物理的保護 機器の盗難や破壊を防ぐための対策(保管庫、入退室管理など)
アクセス制御 許可された担当者のみがデータにアクセスできるように制限する

転送中のデータの保護

転送中のデータの保護

インターネットなどのネットワークを通じて情報を送受信する際、その情報はネットワーク上を移動します。この、ネットワーク上を移動中の情報を「転送中のデータ」と呼びます。例えば、インターネット通販サイトで買い物をした際のクレジットカード情報や、インターネットバンキングで送金する際の口座情報などが、この「転送中のデータ」に該当します。

このような転送中のデータは、第三者に盗み見られたり、悪意のある変更を加えられたりする危険性があります。これを防ぐためには、情報の暗号化が有効です。暗号化とは、情報を第三者に解読できないような形に変換することを指します。暗号化には、大きく分けて二つの方法があります。一つは、通信経路全体を暗号化する「リンク暗号化」と呼ばれる方法です。この方法は、盗み見を防ぐ効果があります。もう一つは、送信者と受信者間だけで情報を暗号化する「エンドツーエンド暗号化」と呼ばれる方法です。この方法は、リンク暗号化よりもさらに強固なセキュリティ対策となります。

具体的な暗号化通信の例としては、ウェブサイトの安全な通信に用いられるHTTPSや、ファイル転送を安全に行うためのFTPS、SCPなどがあります。また、リモートでコンピュータを操作する際に安全性を確保するためのSSHやRDPなども、暗号化通信の一種です。これらの技術は、情報を暗号化することで、安全なデータ通信を実現しています。

項目 説明
転送中のデータ ネットワーク上を移動中の情報。
例:クレジットカード情報、口座情報など
暗号化 情報を第三者に解読できないような形に変換すること
リンク暗号化 通信経路全体を暗号化する方法
効果:盗聴の防止
エンドツーエンド暗号化 送信者と受信者間だけで情報を暗号化する方法
効果:リンク暗号化よりも強固なセキュリティ対策
暗号化通信の例 HTTPS, FTPS, SCP, SSH, RDPなど

使用中のデータの保護

使用中のデータの保護

– 使用中のデータの保護私たちが日々扱うデータは、保管されている時だけでなく、実際に使用されている時にも危険にさらされています。例えば、表計算ソフトで顧客リストを開いて編集している時や、画像編集ソフトで写真に文字入れをしている時などが挙げられます。これらの作業中、データはコンピュータのメモリ上で処理されています。これは、データが暗号化されずに、誰でも読める状態で一時的に保管されている状態を意味します。もし、この時にコンピュータが悪意のあるプログラムに感染していたら、顧客情報や写真などの重要なデータが盗み見られたり、改ざんされたりする危険性があります。使用中のデータを保護することは、保管中のデータ保護に比べて容易ではありません。なぜなら、データを使用するためには、暗号化を解除して、コンピュータが理解できる形に変換する必要があるからです。暗号化を解除した状態では、データは攻撃に対して無防備になってしまいます。そこで、使用中のデータを安全に処理するために、特別な技術が用いられています。その一つが「セキュア・エンクレーブ」と呼ばれる技術です。これは、コンピュータの中に、隔離された安全な領域を作り、その中でデータの処理を行うというものです。外部からのアクセスを遮断することで、使用中のデータへの攻撃を防ぎます。もう一つが「TPM」と呼ばれる技術です。これは、暗号化と復号を行う機能を独立した専用のモジュールに集約することで、データへのアクセスを制限し、安全性を高めます。これらの技術は、使用中のデータに対する脅威から私たちを守り、安全な情報環境を提供してくれる重要な役割を担っています。

使用中のデータの脅威 対策 技術
作業中のデータがメモリ上で暗号化されずに処理されるため、悪意のあるプログラムに盗み見られたり、改ざんされたりする危険性がある。 使用中のデータを安全に処理する。 – セキュア・エンクレーブ
– TPM

データの状態に応じた対策の必要性

データの状態に応じた対策の必要性

今日の情報化社会において、データの適切な保護は企業にとって非常に重要な課題となっています。セキュリティ対策を講じる上で、データの状態に応じて適切な対策を講じることが不可欠です。データは、その状態によって直面するリスクが異なるため、画一的な対策では十分なセキュリティレベルを確保できません。

まず、データが保存されている状態では、不正アクセスや情報漏洩のリスクがあります。この状態のデータに対しては、暗号化やアクセス制御などの対策が有効です。暗号化は、データを第三者に解読できない形式に変換することで、たとえ不正アクセスがあっても情報の漏洩を防ぐことができます。また、アクセス制御は、権限を持つユーザーだけにデータへのアクセスを許可することで、不正なアクセスを防止します。

次に、ネットワークを通じてデータが転送されている状態では、盗聴や改ざんのリスクがあります。この状態のデータに対しては、通信経路の暗号化や改ざん検知などの対策が考えられます。通信経路の暗号化は、データが送受信される際に第三者に内容を見られないようにします。改ざん検知は、データが途中で改ざんされていないかを検知し、データの完全性を確保します。

最後に、プログラムによってデータが使用されている状態では、不正な処理や情報漏洩のリスクがあります。この状態のデータに対しては、アクセス制御やアプリケーションのセキュリティ強化などの対策が有効です。アクセス制御は、保存データと同様に、権限を持つユーザーだけにデータへのアクセスを許可します。アプリケーションのセキュリティ強化は、プログラムの脆弱性を解消することで、不正な処理を防ぎます。

このように、データの状態に応じた適切なセキュリティ対策を講じるためには、各状態におけるリスクと対策の効果を比較検討し、最適なものを選択する必要があります。国立サイバーセキュリティセンター(NCSC)などのセキュリティ機関が公開しているガイドラインを参考に、自組織にとって最適なセキュリティ対策を検討していくことが重要です。

データの状態 リスク 対策
保存されている状態 不正アクセス、情報漏洩 暗号化、アクセス制御
転送されている状態 盗聴、改ざん 通信経路の暗号化、改ざん検知
使用されている状態 不正な処理、情報漏洩 アクセス制御、アプリケーションのセキュリティ強化