標的は機密情報!NTDSを狙った攻撃の脅威

標的は機密情報!NTDSを狙った攻撃の脅威

セキュリティを高めたい

先生、「NTDS」ってセキュリティのニュースでよく聞くんですけど、何のことかよくわからないんです。教えてください。

情報セキュリティ専門家

「NTDS」は、Windowsのネットワークで使われている、大事な情報を管理しているデータベースみたいなものだよ。ユーザー情報やパスワードの情報も入っているんだ。

セキュリティを高めたい

データベースみたいなもの…?重要な情報が入っているなら、しっかり守らないと危ないですね!

情報セキュリティ専門家

その通り!だから「NTDS」を狙った攻撃も多いんだ。セキュリティニュースでよく聞くのは、それだけ狙われやすいってことなんだよ。

NTDSとは。

「NTDS」という言葉を説明します。これは、コンピューターの利用者を管理する仕組みであるActiveDirectoryというものが使うデータベースファイルのことです。このファイルは、ドメインコントローラーという重要なコンピューターに保存されていて、利用者の名前やグループ、そしてパスワードの暗号化された情報などが記録されています。ファイルの名前は「ntds.dit」です。

「NTDS」にはパスワードの暗号化情報が入っているため、悪意のある人がその情報を盗もうとします。彼らは、OSクレデンシャルダンピングやパス・ザ・ハッシュ攻撃といった方法を使って、こっそり情報を盗み見ようとするのです。攻撃者は、動いているドメインコントローラーだけでなく、バックアップとして保存されている「ntds.dit」ファイルを探したり、「ntdsutil.exe」というWindowsの機能を使ってファイルの中身を見ようとしたりします。

実際に、「HAFNIUM」や「MustangPanda」といった国の機関だけでなく、「WizardSpider」や「FIN6」といった犯罪グループもこのファイルを攻撃の対象にしていることが「MITREATT&CK」という情報サイトに載っています。

重要な認証情報データベース:NTDSとは

重要な認証情報データベース:NTDSとは

– 重要な認証情報データベースNTDSとはNTDS(エヌティーディーエス)は、「ネットワークディレクトリサービス」の略称で、Windows Active Directoryと呼ばれる、マイクロソフト社が提供するディレクトリサービスの中核を担う重要なデータベースです。 ディレクトリサービスとは、組織内のユーザーやコンピューター、その他のリソースに関する情報を一元的に管理し、アクセス制御や認証を行うための仕組みです。NTDSは、企業や組織内で利用されるユーザーアカウントやパスワード、所属グループといった機密性の高い情報を格納しています。 これらの情報は、「ドメインコントローラー」と呼ばれる専用のサーバー上に、「ntds.dit」というファイルとして保存されます。 ドメインコントローラーは、組織全体の認証システムを支える重要な役割を担っており、ユーザーがネットワークにログインする際などに、NTDSに格納された情報を利用して認証を行います。NTDSは、組織内のあらゆる情報システムと連携し、一貫したセキュリティポリシーを適用することで、情報資産を保護する役割を担います。 そのため、NTDSはサイバー攻撃の標的となる可能性も高く、適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。 具体的には、ドメインコントローラーへのアクセス制限や、定期的なバックアップ、脆弱性対策などが重要となります。

項目 内容
NTDS ネットワークディレクトリサービスの略称。Windows Active Directoryの中核を担う重要なデータベース
役割 組織内のユーザー、コンピューター、リソース情報を一元管理し、アクセス制御と認証を行う。
格納情報 ユーザーアカウント、パスワード、所属グループなど機密性の高い情報
保存場所 ドメインコントローラー上の「ntds.dit」ファイル
ドメインコントローラーの役割 組織全体の認証システムを支え、NTDSの情報を利用して認証を行う。
NTDSの重要性 組織の情報システムと連携し、一貫したセキュリティポリシー適用により情報資産を保護する。
セキュリティリスク サイバー攻撃の標的となる可能性が高い。
セキュリティ対策例 ドメインコントローラーへのアクセス制限、定期的なバックアップ、脆弱性対策

攻撃者の格好の標的に?

攻撃者の格好の標的に?

残念なことに、組織内の重要な情報が集まるNTDSは、サイバー攻撃者にとって格好の標的となっています。NTDSには、ユーザーのパスワード情報を変換したデータである「パスワードハッシュ」が保管されており、攻撃者はこの情報を不正に入手することで、組織のシステムへの侵入を試みます。

パスワードハッシュは、本来、そのままでは利用できないように複雑な変換が加えられています。しかし、攻撃者は高度な技術やツールを駆使し、入手したパスワードハッシュを解析したり、別のシステムで悪用したりすることで、本来のパスワードを解読しようと試みます。

このような、パスワードハッシュを盗み出す攻撃は、「OSクレデンシャルダンピング」や「パス・ザ・ハッシュ攻撃」などと呼ばれ、近年、その件数は増加傾向にあります。 特に、標的型攻撃などの組織的なサイバー攻撃では、攻撃の初期段階でNTDSからパスワードハッシュを盗み出すケースが多く見られます。もし、攻撃者にパスワードハッシュを盗まれてしまうと、組織全体のシステムが危険にさらされるだけでなく、機密情報が漏洩したり、業務が停止に追い込まれたりするなど、甚大な被害につながる可能性があります。

項目 内容
標的 NTDS (Active Directoryドメインのデータベース)
攻撃者の目的 ユーザーのパスワードハッシュの不正入手
パスワードハッシュの危険性 攻撃者による解析や悪用で、本来のパスワードが解読される可能性あり
代表的な攻撃手法 OSクレデンシャルダンピング、パス・ザ・ハッシュ攻撃
攻撃による被害
  • 組織全体のシステムへの侵入
  • 機密情報の漏洩
  • 業務の停止

攻撃者はあの手この手でNTDSを狙う

攻撃者はあの手この手でNTDSを狙う

企業の機密情報が集まる場所である、Active Directory。その心臓部とも言えるNTDSは、攻撃者にとって格好の標的です。攻撃者はあの手この手でNTDSにアクセスし、機密情報を盗み出そうと企みます。

攻撃者の執念は、稼働中のドメインコントローラに留まりません。バックアップデータであるボリューム・シャドウコピーにも潜み、NTDSのデータベースファイルである「ntds.dit」を狙います。

さらに、攻撃者は正規の管理者ツールを悪用します。Windows標準のコマンドツールである「ntdsutil.exe」を用いて、NTDS内の情報を不正に取得しようと試みるケースも確認されています。これは、正規のツールが悪用されることで、検知がより困難になることを意味します。

このように、攻撃者はあの手この手を用いて機密情報にアクセスしようとします。その執念深さから、企業はNTDSのセキュリティ対策をより一層強化していく必要があると言えるでしょう。

攻撃対象 攻撃手法 備考
稼働中のドメインコントローラ 直接アクセス
バックアップデータ(ボリューム・シャドウコピー) ntds.dit の窃取
NTDS 正規ツール悪用(ntdsutil.exe) 検知が困難

国家レベルの脅威と犯罪集団の暗躍

国家レベルの脅威と犯罪集団の暗躍

近年、国家が後ろ盾となって活動する高度な技術を持つ集団や、金銭を目的とする犯罪集団などが、機密情報を狙った攻撃を仕掛ける事例が増加しています。特に、企業や組織の機密情報や個人情報を狙う攻撃は、その手口が巧妙化しており、大きな脅威となっています。

実際に、機密情報ネットワークを狙った攻撃は、高度な技術と豊富な資金を持つ国家レベルの集団から、金銭目的の犯罪集団まで、様々な攻撃者によって実行されています。例えば、「HAFNIUM」や「MustangPanda」といった国家の支援を受けた攻撃集団は、国家の諜報活動の一環として、機密情報ネットワークへの侵入を試みていると報告されています。彼らは、高度な技術と豊富な資金力を持つため、従来のセキュリティ対策では防ぐことが難しいケースも少なくありません。一方、「WizardSpider」や「FIN6」のような犯罪組織は、盗み出した情報を元に企業を脅迫し、身代金を要求するなどの活動を活発化させています。

このように、機密情報ネットワークを狙った攻撃は、国家レベルの脅威と犯罪集団の暗躍という二つの側面から、私たちの社会や経済に深刻な被害をもたらす可能性を秘めています。そのため、企業や組織は、最新の脅威情報やセキュリティ対策技術に関する情報を常に収集し、自社のシステムやネットワークの脆弱性を解消するための対策を講じることが重要です。

攻撃者タイプ 具体的な集団名 目的 特徴
国家支援型攻撃集団 HAFNIUM
MustangPanda
国家諜報活動、
機密情報入手
高度な技術と資金力
従来のセキュリティ対策が通用しないことも
金銭目的の犯罪集団 WizardSpider
FIN6
金銭
情報窃取による脅迫
盗んだ情報を元に身代金を要求

NTDSを守るための対策とは

NTDSを守るための対策とは

– NTDSを守るための対策とはNTDSは、Windows Active Directoryの中核をなすデータベースであり、ユーザー情報やシステム設定など、組織の重要な情報が格納されています。そのため、サイバー攻撃者にとって格好の標的となっており、NTDSを適切に保護することは、組織全体のセキュリティを確保する上で非常に重要です。NTDSを守るためには、多層的な防御対策を講じる必要があります。まず、ドメインコントローラへのアクセスを厳格に管理することが重要です。ドメインコントローラは、物理的に隔離されたセキュアな場所に設置し、アクセス権を持つ者を必要最小限に限定する必要があります。また、強力なパスワードを設定し、定期的に変更するなど、アクセス制御を強化する必要があります。次に、システムの脆弱性を解消するために、常に最新のセキュリティパッチを適用することが重要です。マイクロソフトは、定期的にセキュリティ更新プログラムを公開しており、これらを適用することで、既知の脆弱性を悪用した攻撃を防ぐことができます。さらに、侵入検知システム(IDS)やセキュリティ情報イベント管理(SIEM)などのセキュリティ対策ソリューションを導入することで、不審なアクセスを早期に検知し、迅速な対応を可能にする体制を整えることが重要です。これらのシステムは、ネットワークやシステムの活動を監視し、疑わしい挙動を検知した場合には、管理者に警告を発します。NTDSを標的とする攻撃は、年々巧妙化しており、これらの攻撃から組織を守るためには、日頃からセキュリティ対策を強化し、最新の情報を入手しておくことが重要です。

対策 詳細
アクセス制御の強化 – ドメインコントローラへのアクセスを厳格に管理する
– ドメインコントローラは物理的に隔離されたセキュアな場所に設置する
– アクセス権を持つ者を必要最小限に限定する
– 強力なパスワードを設定し、定期的に変更する
システムの脆弱性解消 – 常に最新のセキュリティパッチを適用する
– マイクロソフトが定期的に公開するセキュリティ更新プログラムを適用する
セキュリティ対策ソリューションの導入 – 侵入検知システム(IDS)やセキュリティ情報イベント管理(SIEM)などのセキュリティ対策ソリューションを導入する
– ネットワークやシステムの活動を監視し、疑わしい挙動を検知した場合には、管理者に警告を発するシステムを導入する
最新の情報収集 – 日頃からセキュリティ対策を強化し、最新の情報を入手しておく