痕跡を残さない脅威:ファイルレス攻撃とは?
セキュリティを高めたい
「ファイルレス攻撃」って、どんな攻撃なんですか?名前からすると、ファイルを使わない攻撃ってことですか?
情報セキュリティ専門家
いいところに気がつきましたね。その名の通り、ファイルレス攻撃は、コンピューターウイルスのようにファイルの形で悪さをするプログラムを、直接パソコンに保存しません。代わりに、パソコンの動きを一時的に記憶しておく「メモリ」という場所を利用します。
セキュリティを高めたい
メモリを使うと、どうしてファイルを使わないことになるんですか?
情報セキュリティ専門家
メモリはパソコンの電源を切ると、記憶していた内容が消えてしまうからです。ファイルレス攻撃はメモリ上で活動するので、パソコンを再起動すると証拠が残りにくく、発見が難しい攻撃なんです。
ファイルレス攻撃とは。
「ファイルレス攻撃」という言葉を説明します。これは、攻撃されたコンピューターやファイルに、攻撃されたという証拠を残さずに実行されるサイバー攻撃のことです。別名で「メモリ内攻撃」とも呼ばれます。攻撃する者は、悪意のあるプログラムをコンピューターのメモリ上で直接動かしたり、コンピューターの設定を操作したりすることで目的を達成します。例として、「Miraiボットネット」という攻撃があります。これは、ウイルスに感染したインターネットにつながる機器のメモリ上で活動します。また、「WannaCryランサムウェア」という身代金要求ウイルスが利用した「EternalBlue」というハッキング技術も、メモリ上で実行される攻撃の一種です。
見えない攻撃:ファイルレス攻撃の概要
昨今、コンピュータウイルスを使った攻撃や不正なアクセスといった脅威は、日々巧妙さを増しており、企業や組織の安全を守るための対策も新たな局面を迎えています。数ある脅威の中でも、特に警戒すべき攻撃として「ファイルレス攻撃」が挙げられます。
ファイルレス攻撃とは、その名の通り、攻撃者が悪意のあるプログラムを直接実行するのではなく、コンピュータのメモリ上などでプログラムを動作させることで、記録媒体にファイルという形で痕跡を残さない攻撃手法です。従来のセキュリティ対策は、怪しいファイルを見つけて駆除することに重点を置いてきました。しかし、ファイルレス攻撃のようにファイルを使わない攻撃方法の場合、従来の対策だけでは十分に防ぐことが難しく、攻撃を許してしまう可能性があります。
ファイルレス攻撃は、正規のプログラムや機能を悪用するため、発見が非常に困難です。攻撃者は、システムに元から存在するツールやスクリプトを巧みに使い分け、外部から悪意のあるコードを読み込ませることで攻撃を仕掛けてきます。この時、一見すると通常のシステム動作と区別がつかないため、セキュリティ対策ソフトや管理者の目をかいくぐってしまう可能性があります。
このような特性を持つファイルレス攻撃からシステムを守るためには、従来の対策に加え、メモリ上の活動や不審な通信を監視するなど、より多角的な対策が必要となります。
脅威 | 特徴 | 対策 |
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ファイルレス攻撃 |
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メモリのみに潜む脅威
昨今、従来型のセキュリティ対策を潜り抜ける、巧妙なサイバー攻撃が増加しています。その中でも特に脅威として注目されているのが、「ファイルレス攻撃」です。
ファイルレス攻撃の特徴は、その名の通り、攻撃に悪用するプログラムをパソコン内の記憶装置ではなく、一時的にデータを読み書きするメモリ領域上だけで実行するという点にあります。
従来のセキュリティ対策は、主にハードディスクなどの記録装置に保存されたファイルが悪意のあるプログラムかどうかを検査していました。しかし、ファイルレス攻撃は記録装置に痕跡を残さないため、従来のセキュリティ対策では検知が難しく、攻撃を受けていることに気づかないまま被害が拡大する可能性があります。
さらに、仮に攻撃を検知できたとしても、記録装置に証拠が残らないため、誰が、どのように攻撃してきたのかを特定することが非常に困難です。
このような特徴から、ファイルレス攻撃は、特定の組織や企業を狙った高度なサイバー攻撃や、長期にわたって執拗に攻撃を仕掛ける攻撃などで悪用されるケースが増加しており、セキュリティ対策の大きな課題となっています。
項目 | 内容 |
---|---|
攻撃手法 | ファイルレス攻撃 |
特徴 | 悪意のあるプログラムをメモリ領域上だけで実行し、ハードディスクなどの記録装置に痕跡を残さない。 |
従来のセキュリティ対策の課題 | – 検知が難しい – 攻撃者の特定が困難 |
脅威 | – 特定の組織や企業を狙った高度なサイバー攻撃 – 長期にわたる執拗な攻撃 |
レジストリ操作:攻撃の足跡を消す
コンピュータを不正に操作しようとする者が、その痕跡を隠蔽するためにシステムレジストリを悪用するケースが増えています。システムレジストリとは、Windowsなどの基本ソフトの設定や、アプリケーションソフトに関する重要な情報が記録されているデータベースのようなものです。
悪意のある者は、このレジストリを操作することで、本来は実行されるべきではない悪質なプログラムを、コンピュータのメモリ上に展開することが可能になります。
具体的には、システムレジストリの中に、コンピュータ起動時に自動的に特定のプログラムを実行させるための項目があります。攻撃者は、この項目を改ざんし、悪質なプログラムを登録することで、コンピュータ起動と同時に、そのプログラムをひそかに実行させようとします。
このように、システムレジストリを悪用することで、攻撃者は自身の存在を隠蔽し、セキュリティソフトによる検知を回避しながら、悪質な活動を持続させることが可能になります。
攻撃手法 | 目的 | 手法の詳細 | 影響 |
---|---|---|---|
システムレジストリ改ざん | 不正なプログラムの実行、痕跡隠蔽 | コンピュータ起動時に自動実行されるプログラム登録項目を改ざんし、悪質なプログラムを登録する | コンピュータ起動と同時に悪質なプログラムが実行される、セキュリティソフトによる検知回避 |
実例で見るファイルレス攻撃の脅威
近年、従来型のウイルス対策ソフトでは検知が難しい「ファイルレス攻撃」が増加しており、企業や組織は新たな脅威に直面しています。ファイルレス攻撃は、その名の通り、悪意のあるプログラムをハードディスクなどの記憶装置にファイルとして保存するのではなく、コンピューターのメモリ上だけで実行することで、セキュリティ対策をかいくぐります。
具体的な事例として、2016年に大規模なボットネット攻撃を引き起こした「Mirai(ミライ)」が挙げられます。Miraiは、感染したIoT機器のメモリ上で活動し、その痕跡を容易に残さないように設計されていました。この特徴から、従来のセキュリティ対策では検知が困難であり、世界中のインターネットに大きな影響を与えました。
また、2017年に世界中で猛威を振るったランサムウェア「WannaCry(ワナクライ)」も、ファイルレス攻撃の一種と言えるでしょう。WannaCryは、Windowsの脆弱性「EternalBlue(エターナルブルー)」を悪用して拡散しました。EternalBlueはメモリ上で実行されるため、ファイルとして検知することが難しく、多くの企業が被害を受けました。
これらの事例からも分かるように、ファイルレス攻撃は現実の脅威として認識し、対策を講じる必要があります。
攻撃手法 | 概要 | 事例 |
---|---|---|
ファイルレス攻撃 | 悪意のあるプログラムをメモリ上で実行することで、セキュリティ対策を回避する。 | Mirai、WannaCry |
進化する脅威に対抗するために
昨今、コンピューターウイルスなどの悪意のあるプログラムによる攻撃は、日々巧妙化しています。特に、ファイルを使用せずに、コンピューターのメモリ上で直接活動する「ファイルレス攻撃」と呼ばれる攻撃手法が増加しており、従来のセキュリティ対策では検知・防御が困難になっています。
ファイルレス攻撃に対抗するためには、従来のセキュリティ対策に加えて、コンピューターのメモリ上で動作しているプログラムの挙動を監視するなど、多層的なセキュリティ対策を講じることが重要です。
具体的には、怪しいプログラムの動作を検知して通知するセキュリティソフトを導入したり、端末上で動作するプログラムの挙動を監視し、不正な活動を見つけ出して対処するエンドポイントセキュリティ対策を強化したりすることが有効です。
さらに、常に最新のセキュリティ対策プログラムを適用することで、コンピューターの脆弱性を解消し、攻撃のリスクを低減することも重要です。
ファイルレス攻撃は、今後もさらに巧妙化していくと予想されます。最新のセキュリティ情報を入手し続け、自社のコンピューター環境に最適な対策を講じることが重要です。
脅威 | 特徴 | 対策 |
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ファイルレス攻撃 | メモリ上で活動するため、従来のセキュリティ対策では検知・防御が困難 |
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