進化する脅威検知: XDRとは

進化する脅威検知: XDRとは

セキュリティを高めたい

先生、「XDR」って最近よく聞くんですけど、具体的にどんなものなんですか?

情報セキュリティ専門家

良い質問だね!セキュリティの分野も日々進化しているからね。 「XDR」は、会社を守るためのシステムを、もっと強力にして、使いやすくしようという取り組みの一つなんだ。これまでのセキュリティ対策だと、いろいろな製品をバラバラに使っていて、全体像を把握するのが難しかったんだ。

セキュリティを高めたい

なるほど。バラバラだと、全体像を把握するのが難しそうですね…。

情報セキュリティ専門家

そうなんだ。そこで「XDR」は、いろんな場所から集めた情報をまとめて分析してくれる。 例えば、パソコン、サーバー、ネットワーク機器など、それぞれの場所を守るための製品が、バラバラに攻撃を検知していても、「XDR」がそれらをまとめて分析してくれるから、より早く、効果的に攻撃に対応できるようになるんだ。

XDRとは。

「情報セキュリティの分野で『XDR』という言葉を見かけることがありますね。これは『Extended Detection and Response』の頭文字を取ったもので、『X』は『拡張』という意味です。2018年に、パロアルトネットワークス社のニール・ザックさんが作った言葉です。主に、インターネット上の脅威を見つけて、その影響を小さくするための技術全般を指す場合が多いです。有名な調査会社であるガートナー社は、XDRを『インターネット経由でサービスを提供する、特定の会社専用のセキュリティ対策ツール。いろいろなセキュリティ製品を元から繋げて、それぞれの機能をバラバラではなく、ひとまとめにして動かせるようにしたもので、脅威を見つけたり、問題が起きた時に対応したりするものです』と説明しています。XDRを使う主なメリットは、守りが強くなること、怪しい動きを見つけやすくなること、作業効率が上がる事、そして運用コストを減らせることです。今のセキュリティ対策の現場では、集めた情報や、問題が起きた時の対応方法などが、それぞれのシステムでバラバラで、うまく連携できていないことが多いです。また、たくさんの会社からセキュリティツールを買っているので、管理が大変という問題もあります。XDRは、サーバーやメール、パソコン、ネットワークなど、色々な場所から情報を集めてきて、それらを結び付けて分析します。そうすることで、従来よりも早く効率的に、危険な順番を決めて分析することができるようになります。そのため、今後さらに普及していくと期待されています。XDRシステムが持つ主な機能としては、次のようなものがあります。

XDRの概要

XDRの概要

– XDRの概要近年、巧妙化するサイバー攻撃に対抗するために、複数のセキュリティ対策製品を組み合わせ、包括的に脅威に対応する「XDR」という概念が注目を集めています。XDRは、「拡張検知および対応」を意味する「Extended Detection and Response」の略称で、2018年に著名なセキュリティ専門家であるNir Zuk氏によって提唱されました。従来のセキュリティ対策では、それぞれの製品が個別に動作しているため、全体としてどのような脅威が発生しているのかを把握することが難しいという課題がありました。例えば、ある端末で不審な通信が検知されたとしても、それが他の端末やネットワーク機器にも影響を及ぼすものなのか、攻撃の全体像はどうなっているのかを把握することは容易ではありませんでした。XDRは、従来のセキュリティ製品では難しかった、組織全体の脅威情報を統合管理することを可能にします。具体的には、エンドポイントセキュリティ、ネットワークセキュリティ、メールセキュリティなど、様々なセキュリティ製品のログデータを一元的に収集し、相関分析を行うことで、組織全体に対する脅威を可視化します。これにより、これまで見逃していた可能性のある巧妙な攻撃も検知できるようになり、迅速な初動対応が可能になります。また、自動的に脅威を封じ込める機能や、影響範囲を特定する機能なども備えており、セキュリティ担当者の負担軽減にも貢献します。

項目 内容
XDRとは – 複数のセキュリティ対策製品を組み合わせ、包括的に脅威に対応する概念
– Extended Detection and Responseの略称
– 2018年にNir Zuk氏によって提唱
従来のセキュリティ対策の課題 – 各製品が個別に動作するため、全体としてどのような脅威が発生しているのかを把握することが難しい
XDRの特徴 – 組織全体の脅威情報を統合管理
– エンドポイント、ネットワーク、メールなど、様々なセキュリティ製品のログデータを一元的に収集し、相関分析を行うことで、組織全体に対する脅威を可視化
– 巧妙な攻撃の検知、迅速な初動対応が可能
– 自動的な脅威の封じ込め、影響範囲の特定
– セキュリティ担当者の負担軽減

XDRの利点

XDRの利点

近年、企業を狙った巧妙なサイバー攻撃が増加しており、従来のセキュリティ対策だけでは、十分な防御体制を敷くことが難しくなってきています。そこで注目されているのが、XDR(Extended Detection and Response)です。XDRとは、複数のセキュリティ製品から収集したデータを統合的に分析し、迅速な脅威の検知と対応を実現するセキュリティ対策です。

XDRを導入することで、企業は様々な恩恵を受けることができます。まず第一に、従来のセキュリティ対策では困難であった、包括的な脅威の可視化が可能になります。これは、エンドポイント、ネットワーク、クラウドといった様々な場所から収集したセキュリティデータを一元的に管理し、関連性を分析することで、これまで見逃していた可能性のある隠れた脅威を検知できるようになるためです。

第二に、脅威への対応の自動化によるセキュリティ担当者の負担軽減が挙げられます。XDRは、脅威を検知すると、自動的に対応策を実行するため、セキュリティ担当者は、より高度な脅威への対応に集中することができます。これは、セキュリティ人材不足が叫ばれる中で、大きなメリットとなります。

さらに、セキュリティ対策全体の効率化による運用コストの削減も期待できます。XDRは、複数のセキュリティ製品を統合管理するため、従来のような個別の製品管理が不要になり、運用コストを大幅に削減できます。このように、XDRは、企業のセキュリティ体制を強化する上で、非常に有効な手段と言えるでしょう。

XDR導入のメリット 内容
包括的な脅威の可視化 エンドポイント、ネットワーク、クラウドといった様々な場所から収集したセキュリティデータを一元的に管理し、関連性を分析することで、これまで見逃していた可能性のある隠れた脅威を検知できるようになる。
セキュリティ担当者の負担軽減 脅威を検知すると、自動的に対応策を実行するため、セキュリティ担当者は、より高度な脅威への対応に集中することができる。
運用コストの削減 複数のセキュリティ製品を統合管理するため、従来のような個別の製品管理が不要になり、運用コストを大幅に削減できる。

XDRの仕組み

XDRの仕組み

– XDRの仕組み多層防御で脅威を迅速に検知・対応XDRは、従来のセキュリティ対策では検知が難しかった巧妙化するサイバー攻撃から組織を守るため、次世代型のセキュリティ対策として注目されています。組織内の様々な場所に設置されたセキュリティ製品からログやイベントなどのデータを集約し、包括的に分析することで、脅威の兆候をいち早く捉え、迅速な対応を実現します。具体的には、まず組織内の端末、ネットワーク機器、クラウドサービスなど、様々な場所に設置されたセキュリティ製品からログやイベントなどのデータを集めます。これは、従来のセキュリティ対策のように、個々の製品がそれぞれ単独で動くのではなく、XDRという一つのプラットフォーム上で連携して動作することを意味します。次に、集められた膨大なデータは、XDRの中枢にあるAIや機械学習などの高度な分析技術を用いて分析されます。これにより、従来のルールベースのセキュリティ対策では見つけることができなかった、潜伏している脅威や、複数の場所に分散したわずかな兆候から、より高度な攻撃を検知することが可能になります。そして、脅威が検知された場合、XDRは自動的に対応策を実行します。例えば、感染した端末をネットワークから隔離し、他の端末への感染拡大を防ぎます。また、悪意のあるプロセスを停止させたり、不正な通信を遮断したりすることで、被害を最小限に抑えます。さらに、セキュリティ担当者にアラートを送信することで、迅速な状況把握と対応を促します。このように、XDRは多層的な防御迅速な対応により、組織をサイバー攻撃から守る強力な武器となります。

項目 詳細
目的 巧妙化するサイバー攻撃から組織を守る
従来のセキュリティ対策との違い 個々の製品単独ではなく、XDRプラットフォーム上で連携して動作
データ収集源 端末、ネットワーク機器、クラウドサービス等のセキュリティ製品
分析方法 AIや機械学習などの高度な分析技術
対応 感染端末の隔離、悪意のあるプロセスの停止、不正な通信の遮断、セキュリティ担当者へのアラート送信
特徴 多層的な防御と迅速な対応

XDRの主な機能

XDRの主な機能

近年、企業を狙ったサイバー攻撃は増加の一途を辿っており、その手口も巧妙化しています。従来型のセキュリティ対策では、攻撃を検知するのが難しく、被害が拡大する恐れがあります。このような状況に対応するため、複数のセキュリティ製品から収集した情報を統合的に分析し、迅速な脅威の検知と対応を実現する「拡張型脅威検知・対応(XDR)」が注目されています。
XDRは、組織全体のセキュリティ対策を強化するための重要な要素となります。

XDRの主な機能としては、まず、様々な情報源からセキュリティデータを収集する機能が挙げられます。これは、パソコンやサーバーなどの端末、ネットワーク機器、クラウドサービスなど、多岐にわたる情報源からログやイベントなどのデータを収集することで、組織全体のセキュリティ状況を把握することを可能にします。
次に、収集したデータを分析し、脅威を検知する機能があります。XDRは、人工知能(AI)などを用いて、膨大なデータの中から攻撃の兆候をいち早く発見します。
さらに、検知した脅威に自動的に対応する機能も備えています。例えば、感染した端末をネットワークから隔離したり、悪意のあるプロセスを停止したりすることで、被害の拡大を防ぎます。
そして、セキュリティ担当者がインシデント対応を行う際の手順を自動化する機能や、セキュリティの現状を分かりやすく可視化するレポート機能なども、XDRの重要な機能です。

XDRの機能 説明
データ収集 パソコン、サーバー、ネットワーク機器、クラウドサービスなど、様々な情報源からログやイベントなどのデータを収集し、組織全体のセキュリティ状況を把握
脅威検知 収集したデータをAIなどを用いて分析し、攻撃の兆候をいち早く発見
自動対応 感染した端末のネットワークからの隔離、悪意のあるプロセスの停止などを行い、被害の拡大を防止
その他 セキュリティ担当者のインシデント対応の自動化、セキュリティの現状を可視化するレポート機能など

XDRの将来展望

XDRの将来展望

– XDRの将来展望近年、悪意のある攻撃の手口はますます巧妙化しており、企業や組織は保有する重要な情報を守るために、従来以上に高度な対策を求められています。

従来型のセキュリティ対策では、個別のセキュリティ製品がそれぞれで脅威を検知・対処するため、全体を俯瞰した対策が難しく、対応の遅れや見落としによる被害拡大のリスクがありました。このような背景から、複数のセキュリティ製品を統合し、組織全体の脅威情報を一元的に管理・分析することで、より迅速かつ効果的な対策を実現する「XDR」が注目されています。

XDRは、検知と対応を自動化するだけでなく、脅威の発生源や攻撃経路、影響範囲などを可視化することで、セキュリティ担当者の負担を軽減し、より戦略的なセキュリティ対策を可能にします。また、近年急速に進む業務システムのクラウド化にも対応しており、オンプレミス環境とクラウド環境の双方を包括的に保護できる点も大きな強みです。

企業や組織は、デジタルトランスフォーメーションの進展に伴い、ますます複雑化するサイバーセキュリティの脅威から情報資産を守るために、XDR導入を積極的に検討していくべきと言えるでしょう。

従来のセキュリティ対策の課題 XDRのメリット
個別のセキュリティ製品がそれぞれで脅威を検知・対処するため、全体を俯瞰した対策が難しい。 複数のセキュリティ製品を統合し、組織全体の脅威情報を一元的に管理・分析することで、より迅速かつ効果的な対策を実現。
対応の遅れや見落としによる被害拡大のリスクがある。 検知と対応を自動化するだけでなく、脅威の発生源や攻撃経路、影響範囲などを可視化することで、セキュリティ担当者の負担を軽減し、より戦略的なセキュリティ対策が可能。
近年急速に進む業務システムのクラウド化にも対応しており、オンプレミス環境とクラウド環境の双方を包括的に保護できる。