XML外部エンティティー: 知っておくべき脆弱性

XML外部エンティティー: 知っておくべき脆弱性

セキュリティを高めたい

先生、「XML 外部エンティティー」って、セキュリティで問題になるって聞いたんですけど、どういうものなんですか?

情報セキュリティ専門家

よくぞ聞いてくれました! 「XML 外部エンティティー」は、XMLっていうデータ形式の弱点をついた攻撃手法の一つなんだ。 簡単に言うと、悪意のある人が、本来アクセスできないはずのファイルを読み込んだり、システムを乗っ取ったりできてしまう可能性があるんだよ。

セキュリティを高めたい

えー!そんなことができるんですか?! なんでそんなことができてしまうんですか?

情報セキュリティ専門家

XMLは外部のデータを読み込む機能があるんだけど、その設定が甘いと、悪意のあるデータを読み込まされてしまうんだ。 だから、システムを作る人は、外部エンティティーの読み込みを制限するなど、しっかりと対策をする必要があるんだよ。

XML 外部エンティティーとは。

「情報セキュリティの分野で使われる『XML 外部エンティティー』という言葉は、攻撃に使われる方法の一つです。XML文書の中に、外部のファイルや情報を参照する仕組みを悪用した『XML外部エンティティー攻撃』と呼ばれる攻撃があります。この攻撃は、インターネットにつながったサーバーの中にある、本来は守られているはずのファイルにアクセスすることを可能にしてしまう、ウェブサイトによく見られる弱点です。

XML外部エンティティーとは

XML外部エンティティーとは

外部の情報を取り込む仕組み、それがXML外部エンティティー

XML文書を扱う際に、外部のデータを読み込んで利用したい場合があります。そんな時に役立つのが、XML外部エンティティーという仕組みです。これは、XML文書の中に、外部のファイルやリソースへの参照を埋め込むことを可能にします。

例えば、商品カタログのXML文書を作成する際に、価格情報だけを別のファイルに保存しておき、XML文書からそのファイルを参照することで、常に最新の価格情報を反映させることができます。このように、XML外部エンティティーは、文書の柔軟性や再利用性を高める上で非常に便利な機能です。

しかし、便利な反面、この仕組みはセキュリティ上のリスクも孕んでいます。もし、悪意のある第三者によって外部エンティティーの参照先を改ざんされると、機密情報が漏洩したり、システムが不正な操作を実行させられる危険性があります。これが、XML外部エンティティー攻撃(XXE攻撃)と呼ばれるものです。

項目 説明
XML外部エンティティーとは XML文書に外部ファイルやリソースへの参照を埋め込む仕組み
メリット 文書の柔軟性や再利用性を高める
商品カタログのXML文書から価格情報だけを保存した外部ファイルを参照する
セキュリティリスク 外部エンティティーの参照先改ざんによる情報漏洩や不正操作のリスク (XXE攻撃)

XXE攻撃の脅威

XXE攻撃の脅威

– XXE攻撃の脅威-XXE攻撃-は、ウェブアプリケーションのセキュリティ上の弱点をつく攻撃です。この攻撃は、特にシステムが外部から受け取ったデータを適切に処理しない場合に発生しやすく、攻撃者に機密情報へのアクセスを許してしまう可能性があります。XXE攻撃では、攻撃者はアプリケーションに悪意のあるコードを埋め込んだXMLファイルを送り込みます。 アプリケーションがこのコードを適切に処理できない場合、攻撃者はサーバー内のファイルを読み込んだり、内部ネットワークに不正アクセスしたりすることが可能になります。例えば、攻撃者はこの脆弱性を利用して、データベースの接続情報やシステム設定ファイルなどの重要な情報にアクセスする可能性があります。また、XXE攻撃はサービス妨害攻撃にも悪用される可能性があります。 攻撃者は大量のリクエストをサーバーに送り込み、システムリソースを枯渇させることで、サービスを停止させてしまうことがあります。XXE攻撃からシステムを守るためには、アプリケーションが外部から受け取るデータに対して適切な検証を行うことが重要です。特に、XMLデータ処理においては、外部エンティティの参照を無効にする設定や、受け取ったデータのホワイトリストによるチェックなどの対策を講じる必要があります。XXE攻撃は、適切な対策を講じなければ、企業にとって大きな脅威となりえます。 機密情報の漏洩やシステムのダウンタイムは、企業の評判や収益に深刻な影響を与える可能性があります。そのため、開発者やシステム管理者は、XXE攻撃の脅威を認識し、適切なセキュリティ対策を講じることが不可欠です。

脅威 説明 対策
XXE攻撃 ウェブアプリケーションのセキュリティ上の弱点をつく攻撃。悪意のあるXMLファイルを送り込み、サーバー内のファイルを読み込んだり、内部ネットワークに不正アクセスしたりする。 ・外部エンティティの参照を無効にする
・受け取ったデータのホワイトリストによるチェック
情報漏洩 データベースの接続情報やシステム設定ファイルなどの重要な情報にアクセスされる可能性がある。 ・XXE攻撃への対策を行う
・アクセス制御の強化
サービス妨害攻撃 大量のリクエストをサーバーに送り込み、システムリソースを枯渇させることで、サービスを停止させられる可能性がある。 ・XXE攻撃への対策を行う
・DoS/DDoS対策

攻撃の仕組み

攻撃の仕組み

– 攻撃の仕組み

XML外部エンティティ(XXE)攻撃は、その名の通り、XMLデータを扱う仕組みの隙を突く攻撃です。

Webアプリケーションの中には、ユーザーがアップロードしたファイルや入力したデータなどを元にXML文書を作成し、処理するものがあります。この際、外部エンティティという仕組みを悪用されると、攻撃者に機密情報が漏洩したり、システムを不正に操作されたりする危険性があります。

具体的には、攻撃者は悪意のあるXML文書を作成し、アプリケーションに送信します。
この文書には、外部エンティティの参照が含まれており、例えば、サーバー内の重要な設定ファイルを読み込むような命令が埋め込まれている可能性があります。
もし、アプリケーション側で外部エンティティの参照に対する適切なチェックが行われていない場合、攻撃者の意図した通りに設定ファイルが読み込まれ、その内容が攻撃者に漏洩してしまいます。

さらに、外部エンティティの参照を利用して、外部の悪意のあるサーバーへ接続させ、攻撃者の用意したプログラムを実行させることも可能です。
このように、XXE攻撃は、機密情報の漏洩だけでなく、システムの完全な支配を許してしまう可能性もある、非常に危険な攻撃です。

攻撃の種類 XML外部エンティティ(XXE)攻撃
概要 XMLデータ処理の脆弱性を突いた攻撃
攻撃方法 悪意のあるXML文書をアプリケーションに送信し、外部エンティティの参照を悪用
被害
  • 機密情報の漏洩 (例: サーバー内の設定ファイルの読み込み)
  • システムの不正操作 (例: 外部サーバーへの接続、悪意のあるプログラムの実行)
対策 アプリケーション側で外部エンティティの参照に対する適切なチェックを行う

具体的な攻撃例

具体的な攻撃例

例えば、インターネット上で公開されているサービスにおいて、ユーザーが自分の情報を閲覧できる機能があるとします。この機能は、ユーザーが自分のIDを入力すると、それに紐づいた情報のみを表示する仕組みになっています。
しかし、悪意のある攻撃者は、この仕組みにつけ込み、不正な操作を試みます。攻撃者は、IDを入力する箇所に、本来入力されるべきではない特殊な文字列を組み込みます。この特殊な文字列は、システム内部のファイルを読み込むための命令文を含んでいます。
サービス側がこの攻撃に脆弱性を持っている場合、攻撃者が入力した特殊な文字列がそのまま実行されてしまいます。その結果、攻撃者は、本来アクセスできないはずの重要なファイル、例えばユーザー情報を含むファイルを読み込んでしまう可能性があります。これにより、ユーザーの個人情報が漏洩し、悪用されてしまう危険性があります。

項目 内容
サービス機能 ユーザーが自身のIDを入力し、関連情報のみを閲覧できる機能
攻撃手法 ID入力欄に、システム内部のファイルを読み込む特殊な文字列(命令文)を注入する
脆弱性 サービス側が入力内容のチェック・無害化を適切に行っていない場合、攻撃者の入力した文字列が実行される可能性
影響 攻撃者が本来アクセスできないはずのファイル(例:ユーザー情報を含むファイル)を読み込み、情報漏洩に繋がる可能性

XXE攻撃への対策

XXE攻撃への対策

– XXE攻撃への対策外部エンティティ参照(XXE)攻撃は、アプリケーションが外部エンティティを処理する方法の欠陥を突いて、機密データの漏洩やシステムへの不正アクセスを引き起こす可能性があります。そのため、XXE攻撃からシステムを守るためには、多層的な対策を講じることが重要となります。まず、アプリケーション側で外部エンティティの利用を制限する設定を行うことが有効です。XMLパーサーの設定を変更し、外部エンティティの読み込みを無効化することで、攻撃者が悪意のある外部エンティティを参照することを防ぐことができます。次に、送信されるXMLデータの検証を厳格に行う必要があります。アプリケーションが受け取るXMLデータに対して、データ型、データ長、許容される文字範囲などを定義したスキーマに基づいた検証を行うことで、不正な形式のデータや悪意のあるコードの混入を防ぐことができます。さらに、開発者はセキュアなコーディングを実践し、脆弱性を作り込まないよう注意する必要があります。外部エンティティの利用を必要最小限に抑え、信頼できるソースからのデータのみを処理するなど、安全なコーディングの原則に従うことが重要です。XXE攻撃は、適切な対策を講じることで防ぐことができます。アプリケーションの開発から運用までのあらゆる段階において、セキュリティ対策を意識することで、安全なシステムを構築し、利用者の重要な情報を守ることが可能となります。

対策 説明
アプリケーション側で外部エンティティの利用を制限 XMLパーサーの設定を変更し、外部エンティティの読み込みを無効化
送信されるXMLデータの検証を厳格に行う データ型、データ長、許容される文字範囲などを定義したスキーマに基づいた検証
セキュアなコーディングの実践 外部エンティティの利用を必要最小限に抑え、信頼できるソースからのデータのみを処理

まとめ

まとめ

今回のまとめとして、XML外部エンティティーについて解説します。XML外部エンティティーとは、XML文書内で外部の資源を参照する仕組みです。この仕組みは、システム開発の効率化を図る上で便利な反面、悪用されるとセキュリティ上の脅威となります。

XML外部エンティティーを利用することで、開発者はXML文書とは別の場所に保存されているデータを読み込んで、あたかもXML文書の一部であるかのように扱うことができます。これは、例えば、頻繁に変更される情報を外部ファイルに切り出すことで、XML文書本体の修正を最小限に抑えたい場合などに役立ちます。しかし、この便利な機能を悪用した攻撃手法が存在します。それが「XXE攻撃」です。

XXE攻撃は、XMLパーサーの脆弱性を突いて、攻撃者が用意した悪意のある外部エンティティーをサーバーに読み込ませることで、機密情報の窃取やサービス妨害などを引き起こします。具体的には、攻撃者は、外部エンティティーの定義を悪用して、サーバー内部のファイルを読み込んだり、外部のサーバーと不正な通信を行ったりします。このような攻撃を防ぐためには、XMLパーサーの設定を見直し、外部エンティティーの読み込みを制限するなどの対策が必要です。

XML外部エンティティーは、正しく利用すればシステム開発を効率化する便利な機能ですが、その一方で、セキュリティ上のリスクも孕んでいることを忘れてはなりません。XXE攻撃による被害を防ぐためには、開発者だけでなく、利用者もXML外部エンティティーに関する正しい知識を身につけることが重要です。

項目 内容
定義 XML文書内で外部の資源を参照する仕組み
メリット – システム開発の効率化
– XML文書とは別の場所に保存されているデータを読み込み、XML文書の一部であるかのように扱うことができる
デメリット・リスク – XXE攻撃の脅威
– XMLパーサーの脆弱性を突かれ、攻撃者が用意した悪意のある外部エンティティーをサーバーに読み込ませられる可能性がある
– 機密情報の窃取やサービス妨害などが発生するリスク
対策 – XMLパーサーの設定見直し
– 外部エンティティーの読み込み制限