サイバー攻撃にも使われる、身近なツールにご用心

サイバー攻撃にも使われる、身近なツールにご用心

セキュリティを高めたい

「デュアルユース・ツール」って、何ですか?なんだか難しそうな言葉ですね。

情報セキュリティ専門家

「デュアルユース・ツール」は、本来は役に立つ道具だけど、使い方によっては悪いことにも使われちゃうものなんだよ。たとえば、包丁は料理に使う便利な道具だけど、使い方を間違えると人を傷つける凶器になるよね?それと同じだよ。

セキュリティを高めたい

なるほど。じゃあ、コンピューターのソフトにも、便利な機能なのに、悪いことに使われちゃうものがあるんですか?

情報セキュリティ専門家

そうなんだ。例えば、コンピューターの設定変更などに使われる便利なソフトが、攻撃者によって悪用されて、コンピューターウイルスをばらまいたり、情報を盗み見たりするのに使われることがあるんだよ。これが「デュアルユース・ツール」なんだ。

デュアルユース・ツールとは。

「両用ツール」という情報セキュリティ用語があります。これは、本来の目的で使われるだけでなく、サイバー攻撃にも使えてしまうツールのことを指します。このようなツールには、コンピューターを動かすための基本ソフトに最初から入っている「パワシェル」や「プロセスハッカー」「ピーエスエグゼック」「ダブルエムアイ」、セキュリティの専門家も使う「ネットキャット」「ミミキャッツ」などがあります。特に「パワシェル」のように、システム管理者が本来使うツールが悪用されると、攻撃を見つけ出すのが難しく、コンピューターウイルスや身代金要求ウイルスなどのサイバー攻撃でよく使われます。攻撃者が侵入したコンピューターの機能を悪用することを「環境寄生型攻撃」と呼び、特にコンピューターへの侵入後、攻撃を広げる段階でよく見られます。

デュアルユース・ツールとは?

デュアルユース・ツールとは?

– デュアルユース・ツールとは?デュアルユース・ツールとは、本来は業務効率化やシステム管理など、正当な目的のために開発されたツールが、サイバー攻撃にも悪用される可能性を持つものを指します。例えば、システム管理者が日常的に使用するような、ネットワーク上の機器を探索したり、遠隔からコンピュータを操作したりするためのツールなどが挙げられます。これらのツールは、本来はシステムの運用や管理を円滑に行うために欠かせないものです。しかし、もしもこれらのツールが悪意のある攻撃者の手に渡ってしまった場合、大変危険なサイバー攻撃の道具へと変貌を遂げてしまいます。攻撃者はこれらのツールを悪用し、企業のネットワークに侵入したり、重要な情報を盗み出したりする可能性があります。さらに厄介なことに、デュアルユース・ツールは、セキュリティ対策ソフトや侵入検知システムによる検知が困難な場合があります。なぜなら、これらのツールは正規のソフトウェアと区別がつきにくく、悪意のある活動だと判断するのが難しいからです。このように、デュアルユース・ツールは、セキュリティ対策において見過ごされがちですが、企業にとって大きな脅威となる可能性を秘めています。そのため、企業は、デュアルユース・ツールが悪用されるリスクを認識し、適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。

デュアルユース・ツールとは 特徴 リスク
業務効率化やシステム管理など、正当な目的のために開発されたツールが、サイバー攻撃にも悪用される可能性を持つもの – システム管理者が日常的に使用する
– ネットワーク上の機器を探索したり、遠隔からコンピュータを操作したり
– セキュリティ対策ソフトや侵入検知システムによる検知が困難な場合がある
– 悪意のある攻撃者の手に渡ると、サイバー攻撃の道具になる
– 企業のネットワークに侵入、重要な情報の盗み出し
– 企業にとって大きな脅威となる可能性

身近に潜む危険なツール

身近に潜む危険なツール

私たちの身近なところにも、悪用されると危険な道具が存在します。例えば、パソコンを動かすための指示を出す「PowerShell」や、動いているプログラムを管理する「ProcessHacker」、別の機械を遠隔操作する「PsExec」、パソコンの設定情報を操作する「WMI」などが挙げられます。
これらの道具は、本来システム管理者が使う際に便利なようにと作られたものです。しかし、使い方によっては、悪意のあるプログラムを実行したり、重要な情報を盗み出したりするなどの悪用ができてしまうのです。
さらに、セキュリティの専門家が使う「Netcat」や「Mimikatz」といった道具も、攻撃者にとっては有効な武器となりえます。これらの道具は、ネットワークに接続したり、パスワードなどの重要な情報を盗み見たりするために悪用される可能性があります。
このように、便利な道具であっても、使い方によっては危険な道具になりえます。私たちは、このような道具が悪用されないように、常に注意を払う必要があります。

道具 本来の用途 悪用の可能性
PowerShell パソコンを動かすための指示を出す 悪意のあるプログラムの実行
ProcessHacker 動いているプログラムを管理する
PsExec 別の機械を遠隔操作する 重要な情報の窃取
WMI パソコンの設定情報を操作する
Netcat ネットワーク接続ツール(セキュリティ専門家が使用) ネットワークへの不正アクセス
Mimikatz セキュリティテストツール(セキュリティ専門家が使用) パスワードなどの重要情報の盗み見

環境寄生型攻撃との関連性

環境寄生型攻撃との関連性

– 環境寄生型攻撃との関連性近年、企業や組織を狙ったサイバー攻撃は、より巧妙化し、検知が困難なものへと進化を遂げています。その中でも、「環境寄生型攻撃」と呼ばれる攻撃手法は、その巧妙さから、大きな脅威として認識されています。環境寄生型攻撃とは、攻撃対象のシステムに標準搭載されているツールや機能を悪用する攻撃手法を指します。従来の攻撃のように、外部から悪意のあるプログラムを侵入させるのではなく、システムに元から存在するツールを悪用するため、セキュリティ対策ソフトによる検知が難しいという特徴があります。デュアルユース・ツールを用いた攻撃は、この環境寄生型攻撃と密接な関係があります。デュアルユース・ツールとは、本来はシステム管理やデータ分析などの正当な目的のために開発されたツールですが、設定や使用方法によっては、攻撃に悪用できてしまう可能性があります。例えば、システム管理者が日常的に使用するコマンドラインツールやスクリプト言語などは、攻撃者にとってもシステムを操作する強力な武器になりえます。また、データ分析に用いられるツールも、機密情報の探索や不正な目的でのデータ抽出に悪用される可能性があります。このように、デュアルユース・ツールは、使い方次第で攻撃者の強力な武器になり得るため、環境寄生型攻撃の温床になりやすいと言えるでしょう。

攻撃手法 特徴 関連性
環境寄生型攻撃 システム標準のツールや機能を悪用するため、セキュリティ対策ソフトによる検知が難しい。 デュアルユース・ツールを用いた攻撃は、環境寄生型攻撃の一例。
デュアルユース・ツールを用いた攻撃 本来は正当な目的のツールを、悪用する。 システム管理ツールやデータ分析ツールなどが、攻撃に悪用される可能性がある。

侵入後の活動で悪用されるケース

侵入後の活動で悪用されるケース

企業や組織にとって、外部からの不正アクセスを防ぐことは非常に重要です。しかし、侵入を完全に防ぐことが難しいのも現実です。そのため、万が一、不正アクセスを許してしまった場合に備え、侵入後の攻撃者の動きを把握し、被害を最小限に抑える対策も重要となります。

特に、近年増加傾向にあるのが、「環境寄生型攻撃」と呼ばれる攻撃手法です。この攻撃手法は、攻撃者がシステムに侵入した後に、さらに組織内部の他のシステムへのアクセスを試みる「ラテラルムーブメント」と呼ばれる段階でよく用いられます。

攻撃者は、侵入したシステム内で、本来業務で使用されているツールやソフトウェアを悪用します。これらのツールは、組織内部では安全なものとして認識されているため、セキュリティ対策をかいくぐりやすく、攻撃者の活動を検知するのが困難になります。

例えば、攻撃者は、管理者権限を持つアカウントの情報を盗み出し、その権限を悪用して他のシステムにアクセスしたり、機密情報が保存されているサーバーに侵入したりします。このように、環境寄生型攻撃は、組織内部のシステムや情報に対する深刻な脅威となっています。

攻撃手法 特徴 危険性 対策
環境寄生型攻撃 攻撃者が侵入したシステム内で、本来業務で使用されているツールやソフトウェアを悪用する。 組織内部では安全なものとして認識されているツールが悪用されるため、セキュリティ対策をかいくぐりやすく、攻撃者の活動を検知するのが困難。管理者権限の奪取、機密情報へのアクセスなど、組織内部への深刻な脅威となる。 セキュリティツールの導入、アクセス権限の見直し、従業員へのセキュリティ意識向上トレーニングの実施など

デュアルユース・ツールへの対策

デュアルユース・ツールへの対策

– デュアルユース・ツールへの対策近年、攻撃者が悪用可能な、本来は攻撃目的ではないツールがセキュリティの脅威として浮上しています。こうしたツールは、正当な目的にも悪用にも利用できることから「デュアルユース・ツール」と呼ばれ、その対策が急務となっています。デュアルユース・ツールによる攻撃を防ぐためには、まず組織内でどのようなツールが使われているのか、誰が何のために利用しているのかを把握することが重要です。このためには、システム全体の棚卸を行い、使用されているソフトウェアやツールの種類、利用者、利用目的などを明確にする必要があります。把握した上で、不要なツールの利用制限や、ツールの利用状況の監視といった対策を講じることが有効です。例えば、ファイル共有ソフトなど、業務上必要性の低いツールの利用を制限したり、アクセスログを監視して不審なツールの利用がないか確認したりするなどの方法があります。さらに、セキュリティソフトを導入し、常に最新の状態に保つことも重要です。セキュリティソフトは、悪意のあるツールの検知や、不正なアクセスを遮断する役割を担います。また、従業員に対して、セキュリティ意識向上のための研修を定期的に実施することも大切です。デュアルユース・ツールの危険性や、適切な利用方法を理解させ、セキュリティ意識の向上を図ることで、被害を未然に防ぐことができます。

対策 内容
ツールの把握と制限 組織内で使用されているツールを把握し、不要なツールの利用を制限する。
ツールの利用状況の監視 アクセスログなどを監視し、不審なツールの利用がないか確認する。
セキュリティソフトの導入と最新化 悪意のあるツールの検知や不正なアクセスを遮断するために、セキュリティソフトを導入し、常に最新の状態に保つ。
従業員へのセキュリティ研修 デュアルユース・ツールの危険性や適切な利用方法を理解させるための研修を定期的に実施する。