XXE脆弱性:システム保護のために知っておくべきこと
セキュリティを高めたい
「情報セキュリティに関連する用語『XXE』って、何ですか?難しそうな名前でよく分かりません。」
情報セキュリティ専門家
「XXEは、ウェブサイトの仕組みの一部である『XML』というデータ形式の処理に潜む弱点を利用した攻撃のことだよ。ウェブサイトに悪意のあるデータを送信して、本来アクセスできないはずの情報を読み取ったり、システムを不正に操作したりする攻撃なんだ。」
セキュリティを高めたい
「ウェブサイトに悪意のあるデータを送信するって、具体的にどういうことですか?」
情報セキュリティ専門家
「例えば、ウェブサイトの入力フォームに、特別な細工をしたデータを入れることを想像してみて。このデータは、ウェブサイトの裏側で処理される『XML』というデータに紛れ込んで、システムを混乱させる命令に変わるんだ。そうすると、攻撃者の思うがままにウェブサイトを操れてしまう可能性があるんだよ。」
XXEとは。
「情報セキュリティの専門用語で『XXE』という言葉があります。これは、ウェブサイトやアプリが情報を読み込む際に使うXMLという仕組みの弱点をついた攻撃のことです。XMLの外にある情報を不正に読み込ませてしまうため、『外部エンティティ攻撃』とも呼ばれます。
通常、XMLファイルには他のファイルの場所を示す記述を含めることができます。これは本来、ウェブサイトやアプリが正しく動作するために必要な仕組みです。しかし、悪意のある人がこの仕組みを悪用し、本来読み込むべきではないファイルの情報を盗み見たり、システムに誤動作を引き起こしたりすることがあります。これがXXE攻撃です。
XXE攻撃によって、ウェブサイトやアプリの重要な情報が漏洩したり、システム全体が動かなくなったりするなど、大きな被害が発生する可能性があります。
XXE脆弱性とは
– XXE脆弱性とは
XXE(XML External Entity)脆弱性とは、ウェブサイトやウェブサービスにおいて、データのやり取りに使われるXMLという言語の特性を悪用し、攻撃者が本来アクセスできないはずの情報を入手したり、悪意のある操作を実行することを可能にする脆弱性です。
XMLは、データの構造を記述するために広く使われている言語です。このXMLには、外部のデータを読み込む「外部エンティティ」という機能が存在します。
ウェブサイトやウェブサービスが、利用者から受け取ったXMLデータを適切に処理せずに、そのまま外部エンティティの機能を実行してしまう場合、攻撃者は、この脆弱性を突くことができます。
具体的には、攻撃者は、悪意のある外部エンティティ定義を含むXMLデータをウェブサイトに送信します。ウェブサイトがこれを処理してしまうと、攻撃者が指定した外部のファイルが読み込まれたり、内部のシステムに不正な命令が実行されたりする可能性があります。
XXE脆弱性を防ぐためには、ウェブサイトやウェブサービスにおいて、外部エンティティの処理を無効にする設定を行う、または利用者から受け取ったXMLデータの内容を適切に確認するなどの対策が重要となります。
脆弱性 | 概要 | 対策 |
---|---|---|
XXE脆弱性 | ウェブサイトやウェブサービスにおいて、XMLの外部エンティティ機能を悪用し、攻撃者が本来アクセスできない情報を入手したり、悪意のある操作を実行する脆弱性。 | 外部エンティティの処理を無効にする設定を行う、または利用者から受け取ったXMLデータの内容を適切に確認する。 |
攻撃の手口
– 攻撃の手口XXE攻撃は、ウェブページやウェブサービスにおいて、悪意のある細工を施したXMLデータを送信することによって実行されます。XMLはデータの構造を記述するために広く使われている言語であり、多くのウェブアプリケーションがデータのやり取りにXMLを利用しています。攻撃者は、このXMLデータの中に「外部エンティティ定義」と呼ばれる特殊な記述を埋め込みます。外部エンティティ定義は、外部のデータを参照するための仕組みですが、XXE攻撃ではこれを悪用し、アプリケーションに意図しない動作をさせることが可能です。例えば、外部エンティティ定義を介して、本来アクセスできないはずのサーバー内部の重要なファイルを読み取らせることが可能です。パスワードファイルや設定ファイルなどが攻撃者の手に渡れば、システム全体のセキュリティが危険にさらされます。さらに、外部エンティティ定義を悪用することで、外部の悪意のあるサーバーとの通信を強制することもできます。これにより、攻撃者はサーバーに不正な命令を送信し、情報を盗んだり、システムを改ざんしたりする可能性があります。XXE攻撃は、外部エンティティ定義の利用を適切に制限していないウェブアプリケーションに対して非常に有効な攻撃手法であるため、開発者はその脅威と対策について十分に理解しておく必要があります。
攻撃手法 | 詳細 | 例 |
---|---|---|
XXE攻撃 | 悪意のあるXMLデータを送信し、外部エンティティ定義を悪用して、本来アクセスできないデータを読み取ったり、外部サーバーと通信したりする。 | – サーバー内部の重要なファイルの読み取り – 外部の悪意のあるサーバーとの通信 |
具体的な脅威
– 具体的な脅威外部エンティティ参照(XXE)攻撃は、その名の通り、外部の要素を参照することで実行されます。 攻撃者は、この仕組みを悪用し、本来アクセスできないはずの内部システムやファイルにアクセスを試みます。 具体的には、以下のような脅威が考えられます。-# 機密情報の漏洩XXE攻撃によって、攻撃者はパスワードファイルやデータベースの内容など、重要な情報を盗み見ることが可能になります。 例えば、システムの設定ファイルにアクセスされ、データベースの接続情報が漏洩した場合、攻撃者はデータベースに直接アクセスし、顧客情報や企業秘密などを盗み出す可能性があります。-# システムへの不正アクセスXXE攻撃を足掛かりに、攻撃者は内部システムに侵入を試みることがあります。 内部システムへのアクセス権限を奪取された場合、攻撃者はさらに機密性の高い情報にアクセスしたり、システムの改ざんや破壊活動を行ったりする可能性があります。 また、マルウェアを埋め込むことで、より長期的な攻撃の基盤を築くことも考えられます。-# サービス妨害攻撃(DoS攻撃)XXE攻撃は、システムに過剰な負荷をかけることで、サービスを停止に追い込むサービス妨害攻撃(DoS攻撃)にも利用されます。 攻撃者は、大量の外部エンティティ参照を含むリクエストを送信することで、システムのリソースを枯渇させ、サービスの応答速度を極端に遅くしたり、完全に停止させたりすることが可能です。 これにより、企業は事業活動の停止や顧客からの信頼を失墜といった深刻な被害を受ける可能性があります。
脅威 | 説明 |
---|---|
機密情報の漏洩 | 攻撃者が、パスワードファイルやデータベースの内容など、重要な情報を盗み見ることが可能になります。例えば、システムの設定ファイルにアクセスされ、データベースの接続情報が漏洩した場合、攻撃者はデータベースに直接アクセスし、顧客情報や企業秘密などを盗み出す可能性があります。 |
システムへの不正アクセス | 攻撃者が、XXE攻撃を足掛かりに、内部システムに侵入を試みることがあります。内部システムへのアクセス権限を奪取された場合、攻撃者はさらに機密性の高い情報にアクセスしたり、システムの改ざんや破壊活動を行ったりする可能性があります。また、マルウェアを埋め込むことで、より長期的な攻撃の基盤を築くことも考えられます。 |
サービス妨害攻撃(DoS攻撃) | XXE攻撃は、システムに過剰な負荷をかけることで、サービスを停止に追い込むサービス妨害攻撃(DoS攻撃)にも利用されます。攻撃者は、大量の外部エンティティ参照を含むリクエストを送信することで、システムのリソースを枯渇させ、サービスの応答速度を極端に遅くしたり、完全に停止させたりすることが可能です。これにより、企業は事業活動の停止や顧客からの信頼を失墜といった深刻な被害を受ける可能性があります。 |
対策方法
– 対策方法外部からのデータを利用して文書を操作できてしまうXXE脆弱性への対策は、アプリケーションと開発者の両方がそれぞれ適切な対策を行うことが重要です。アプリケーション側では、まずXMLパーサーの設定を見直しましょう。XMLパーサーは外部から読み込む設定を許可していますが、外部エンティティの参照を無効にする設定にすることで、外部コンテンツの読み込みを防ぎ、攻撃のリスクを減らすことが可能です。また、外部からのXMLデータは、その内容を適切に検証することが重要です。データを受け取る際に、悪意のあるデータが含まれていないかを確認する仕組みを設けることで、攻撃を未然に防ぐことができます。開発者側は、セキュアコーディングの原則を念頭に置いて、外部エンティティを適切に処理するコードを作成する必要があります。外部から入力されたデータは、常に適切に無害化処理を行い、特殊文字を安全な形式に変換するエスケープ処理を行うことで、XXE攻撃のリスクを大幅に減らすことができます。開発段階からセキュリティに配慮したコーディングを心がけることが重要です。
対策対象 | 対策内容 |
---|---|
アプリケーション |
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開発者 |
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まとめ
近年、ウェブアプリケーションに対する攻撃が増加する中で、「XXE脆弱性」は開発者やシステム管理者にとって看過できない脅威として浮上しています。XXE脆弱性とは、アプリケーションが外部から読み込むデータを適切に処理できない場合に悪用され、攻撃者に機密情報へのアクセスを許してしまう可能性があります。具体的には、攻撃者は細工を施した悪意のあるデータをアプリケーションに送信することで、本来アクセスできないはずのファイルを読み込んだり、システムコマンドを実行したりすることができてしまいます。
このような攻撃からシステムを守るためには、多層的な対策が必要です。まず、外部エンティティを無効化する設定をアプリケーションに施すことが有効です。外部エンティティとは、外部のデータを参照するための仕組みですが、これを悪用して攻撃者は不正なデータを読み込もうとします。次に、アプリケーションに入力されるデータの検証を厳格に行う必要があります。データの種類や形式、文字数などをチェックすることで、不正なデータの侵入を防ぐことができます。そして、セキュアコーディングの原則に基づいた開発を行うことが重要です。これは、セキュリティを考慮したプログラミングを行うことで、脆弱性を作り込まないようにするだけでなく、万が一脆弱性が発見された場合でも影響を最小限に抑えることを目指します。
XXE攻撃は、適切な対策を怠ると、機密情報の漏洩やシステムの乗っ取りなど、深刻な被害をもたらす可能性があります。開発者とシステム管理者は協力し、XXE攻撃のリスクを正しく理解した上で、多層的な対策を講じることが重要です。
XXE脆弱性とは | 対策 |
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アプリケーションが外部から読み込むデータを適切に処理できない場合に悪用される脆弱性。攻撃者は悪意のあるデータを送信することで、本来アクセスできないファイルの読み込みやシステムコマンドの実行が可能になる。 |
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