進化するサイバー攻撃から企業を守るEDRとは

進化するサイバー攻撃から企業を守るEDRとは

セキュリティを高めたい

先生、「EDR」ってなんですか?セキュリティ対策でよく聞くんですけど、よくわからないんです。

情報セキュリティ専門家

「EDR」は、パソコンやサーバーを守るための仕組みの一つだよ。最近増えている、ウィルス対策ソフトでは防ぎきれない巧妙な攻撃から守ってくれるんだ。

セキュリティを高めたい

ウィルス対策ソフトでダメなら、EDRはどうやって守ってくれるんですか?

情報セキュリティ専門家

EDRは、パソコンやサーバーの様子を常に監視していて、怪しい動きを見つけたらすぐに教えてくれるんだ。そして、攻撃だとわかったら、その攻撃をブロックして被害が広がるのを防いでくれるんだよ。

EDRとは。

パソコンやサーバーを守るための「エンドポイントセキュリティ」には、大きく分けて二つの方法があります。一つは、有害なソフトの侵入を未然に防ぐ「EPP」という方法です。もう一つは、「EDR」という方法で、こちらは、パソコンやサーバーに危険が迫ったときに、それをいち早く見つけて対処するものです。EDRは、パソコンやサーバーで起きている怪しい動きをすべて記録し、危険を感知すると、すぐにそれを私たちに知らせ、被害を最小限に食い止めるための対策をとってくれます。なぜこのような方法が必要になったかというと、最近では、有害なソフトを使わずに、パソコンに元々備わっている機能を悪用した攻撃が増えているからです。例えば、「PowerShell」というWindowsに標準で搭載されている機能を悪用した攻撃があります。このような攻撃では、従来のEPPでは検知が難しいため、攻撃を受けた後に迅速に対応し、被害を最小限に抑えるEDRの重要性が高まっているのです。

エンドポイントセキュリティの重要性

エンドポイントセキュリティの重要性

近年、企業が扱う情報の中でも特に重要な顧客情報や企業秘密情報などを狙ったサイバー攻撃が増加しています。これらの攻撃から貴重な情報を守るためには、コンピューターやサーバーなどの端末、いわゆるエンドポイントのセキュリティ対策が非常に重要です。
従来は、ウイルス対策ソフトを導入することで、ある程度のセキュリティ対策ができていました。しかし、近年では、ウイルス対策ソフトでは対処できない、より巧妙化したサイバー攻撃が増えています。
例えば、標的型攻撃メールなどによって、特定の個人や組織を狙ってマルウェアに感染させ、情報を盗み出す攻撃などが挙げられます。このような攻撃は、従来のウイルス対策ソフトでは検知することが難しく、エンドポイントセキュリティ対策の重要性がますます高まっています。
エンドポイントセキュリティ対策としては、従来のウイルス対策ソフトに加えて、ファイアウォールや不正侵入検知システムなどを導入することが有効です。また、従業員に対して、セキュリティに関する教育を実施し、セキュリティ意識を高めることも重要です。

重要性 具体的な対策
近年、顧客情報や企業秘密を狙ったサイバー攻撃が増加しており、端末のセキュリティ対策が重要。 従来のウイルス対策ソフトに加えて、ファイアウォールや不正侵入検知システムの導入。従業員へのセキュリティ教育。

EDRとは

EDRとは

– EDRとはEDR(Endpoint Detection and Response)は、パソコンやサーバー、スマートフォンといった端末上で発生するサイバー攻撃の兆候をいち早く発見し、素早く対処するためのセキュリティ対策のことです。従来のウイルス対策ソフトは、既に知られているウイルスのパターンと照合することで、攻撃を防いでいました。しかし、近年では、パターンに合致しない未知のウイルスや、正規のソフトウェアを悪用した攻撃など、より巧妙な手法が増加しています。EDRは、従来型のウイルス対策ソフトでは防ぐことが難しい、複雑化したサイバー攻撃に対応するために開発されました。端末上で起こっている様々な活動を常に監視し、怪しいプログラムの実行や、不審な通信の発生などを検知します。 例えば、普段使わないアプリケーションが起動されたり、見慣れないファイルが作成されたりした場合、EDRはそれを異常と判断し、管理者に警告を発します。さらに、EDRは攻撃の拡大を防ぐ機能も備えています。感染した端末をネットワークから隔離したり、悪意のあるプログラムを停止させたりすることで、被害を最小限に抑えられます。 EDRは、企業の重要な情報資産を守る上で、非常に重要な役割を担うセキュリティ対策と言えるでしょう。

項目 内容
EDRの定義 パソコン、サーバー、スマートフォン等の端末上で発生するサイバー攻撃の兆候をいち早く発見し、対処するためのセキュリティ対策
従来のウイルス対策との違い 既知のウイルスパターンとの照合ではなく、端末上の様々な活動を監視し、不審なプログラムの実行や通信を検知
EDRの機能 – 不審なプログラムの実行やファイル作成などを検知
– 感染した端末のネットワーク隔離
– 悪意のあるプログラムの停止
EDRの役割 企業の重要な情報資産を守る上で非常に重要なセキュリティ対策

EPPとEDRの違い

EPPとEDRの違い

近年、企業の機密情報や顧客情報などを狙ったサイバー攻撃の脅威が増大しており、その対策は急務となっています。企業ネットワークの末端であるエンドポイント(PCやサーバーなど)を守るエンドポイントセキュリティは、今や企業にとって必要不可欠なものです。
エンドポイントセキュリティ製品として、EPP(Endpoint Protection Platform)EDR(Endpoint Detection and Response)の二つがよく挙げられます。
EPPは、従来型のセキュリティ対策製品を統合したプラットフォームです。具体的には、ファイアウォールやウイルス対策ソフトなどが含まれます。EPPは、既知の脅威の侵入を防ぐことを目的としており、未然に攻撃を防ぐという点で有効です。
一方、EDRは、脅威が侵入してしまった後の対策に焦点を当てています。EDRは、エンドポイントの挙動を監視し、脅威の侵入を検知すると、管理者に通知します。さらに、EDRは、脅威の侵入経路や攻撃の影響範囲を特定し、再発防止策を検討することを支援します。つまり、EDRは、侵入した脅威を迅速に把握し、被害を最小限に抑えることを目的としています。
昨今のサイバー攻撃は、日々巧妙化しており、EPPだけでは防ぎきれないケースも少なくありません。そのため、EPPとEDRを併用し、多層的な防御体制を構築することが重要となっています。

項目 EPP (Endpoint Protection Platform) EDR (Endpoint Detection and Response)
概要 従来型のセキュリティ対策製品を統合したプラットフォーム 脅威の侵入を検知し、対応するためのソリューション
目的 既知の脅威の侵入を防ぐ (未然の攻撃を防ぐ) 侵入した脅威を迅速に把握し、被害を最小限に抑える
機能 ファイアウォール、ウイルス対策ソフトなど エンドポイントの挙動監視、脅威の検知・通知、侵入経路や影響範囲の特定
対策 既知の脅威 未知の脅威、ゼロデイ攻撃

EDRが注目される背景

EDRが注目される背景

近年、企業や組織を狙ったサイバー攻撃は、より巧妙化し、複雑化しています。従来型のセキュリティ対策は、既知の脅威を防ぐことは得意としていましたが、未知の攻撃や、OSに標準搭載されているツールを悪用する攻撃に対しては、有効な対策が難しい状況でした。

例えば、「Living Off The Land」と呼ばれる攻撃手法は、外部からマルウェアをダウンロードするのではなく、Windowsに標準搭載されているPowerShellなどの正規のツールを悪用します。このような攻撃は、一見すると通常のシステム運用と区別がつかず、従来のセキュリティ対策では検知が困難でした。

このような背景から、EDR(Endpoint Detection and Response)と呼ばれるセキュリティ対策が注目を集めています。EDRは、端末の挙動を監視し、不審な動きを検知するだけでなく、攻撃を受けた後の調査や復旧作業を支援する機能も備えています。EDRは、従来型のセキュリティ対策では防ぐことが難しかった、未知の脅威や巧妙化する攻撃から、企業の重要な情報資産を守るための有効な手段として期待されています。

従来のセキュリティ対策の課題 新たな脅威 対策
既知の脅威を防ぐことに特化しており、未知の攻撃やOS標準ツールの悪用への対策が難しい。
  • 未知の攻撃
  • OS標準ツールを悪用する攻撃(例:Living Off The Land – PowerShellなど)
  • EDR(Endpoint Detection and Response)
    • 端末の挙動監視
    • 不審な動きの検知
    • 攻撃後の調査・復旧作業の支援

EDRの主な機能

EDRの主な機能

EDR(Endpoint Detection and Response)は、組織の端末で発生するセキュリティ脅威を迅速に発見し、対応するためのツールです。従来のウイルス対策ソフトでは防ぎきれなかった、巧妙化するサイバー攻撃から組織の重要な情報を守るために、近年注目を集めています。

EDRの主な機能としては、まず、端末の挙動を常に監視し、怪しい兆候をいち早く察知する機能が挙げられます。これは、端末上で実行されるプログラムやファイルのアクセス履歴、ネットワーク通信などを記録し、過去のデータと照らし合わせて不審な点がないかをチェックすることで実現されます。

次に、脅威を検知した場合、その詳細な情報を収集し、分析する機能があります。具体的には、攻撃者がどのようにして端末に侵入し、どのような操作を行ったのかを時系列に沿って把握することができます。この情報は、インシデントの原因究明や再発防止策の検討に役立ちます。

さらに、EDRは脅威を検知した場合、感染端末をネットワークから隔離したり、悪意のあるプロセスを停止したりする機能も備えています。これにより、被害の拡大を最小限に抑え、迅速な復旧を支援します。また、EDRは被害を受けたシステムを復旧するための機能も備えています。例えば、感染したファイルを削除したり、システムを以前の状態に復元したりすることができます。

EDRの機能 説明
常時監視と脅威検知 端末の挙動(プログラム実行、ファイルアクセス、ネットワーク通信など)を監視し、過去のデータと照らし合わせて不審な点を検知する。
脅威情報の収集と分析 攻撃者の侵入経路、操作内容を時系列で把握し、インシデントの原因究明や再発防止策の検討に役立てる。
脅威の封じ込めと被害拡大の防止 感染端末のネットワーク隔離、悪意のあるプロセスの停止により、被害の拡大を最小限に抑え、迅速な復旧を支援する。
システムの復旧 感染ファイルの削除、システムの復元などを行い、被害を受けたシステムを復旧する。

EDR導入のメリット

EDR導入のメリット

– EDR導入のメリット近年のサイバー攻撃は、巧妙化・複雑化の一途を辿っており、従来型のセキュリティ対策では、水際で食い止めることが困難になりつつあります。このような状況下において、EDR(Endpoint Detection and Response)は、企業を守るための最後の砦として、注目を集めています。EDRを導入する最大のメリットは、従来型のセキュリティ対策では検知できなかった攻撃を、リアルタイムで検知・防御できる点にあります。例えば、標的型攻撃のように、組織の特定の個人や部門を狙った巧妙な攻撃や、未知の脆弱性を突くゼロデイ攻撃などにも対応できます。さらに、EDRは、万が一、攻撃が成功した場合でも、被害の拡大を最小限に抑え、迅速な復旧を支援します。EDRは、端末の挙動を常時監視しているため、不審な挙動を検知した場合、即座に隔離・遮断などの対応が可能となります。これにより、被害を受ける端末数を減らし、業務への影響を最小限に抑えることができます。EDRは、インシデントの発生原因や攻撃経路、被害状況などの情報を収集し、攻撃の全体像を把握することも可能です。この情報は、再発防止策の検討に役立ち、セキュリティ対策の強化に繋がります。このように、EDRは、高度化するサイバー攻撃から企業を守るために、必要不可欠なセキュリティ対策と言えるでしょう。

EDR導入のメリット 詳細
リアルタイムな攻撃検知・防御 従来型のセキュリティ対策では検知できなかった、標的型攻撃やゼロデイ攻撃などにも対応可能
被害の拡大防止と迅速な復旧 端末の挙動を常時監視し、不審な挙動を検知した場合、即座に隔離・遮断などの対応が可能
攻撃の全体像把握 インシデントの発生原因や攻撃経路、被害状況などの情報を収集し、再発防止策の検討に活用可能