見えない脅威から情報を守る!EMSECとは?

見えない脅威から情報を守る!EMSECとは?

セキュリティを高めたい

先生、「EMSEC」ってなんですか?セキュリティの本で見かけたんですけど、よく分からなくて。

情報セキュリティ専門家

「EMSEC」は、電磁波を使った情報の漏えいを防ぐための対策のことだよ。例えば、パソコンやスマホから出ている電磁波を特殊な機械で盗み見られる可能性があるんだ。それを防ぐために、色々な対策をするんだよ。

セキュリティを高めたい

へえー、電磁波で情報が盗み見られるなんて、知らなかったです!具体的にはどんな対策をするんですか?

情報セキュリティ専門家

電磁波を遮断する部屋を使ったり、電磁波の出にくい機器を使ったりするんだ。他にも、重要な情報を扱う部屋は、他の部屋から離して電磁波が届きにくくしたりもするんだよ。

EMSECとは。

「情報セキュリティ」の分野で使われる言葉に「EMSEC」があります。これは、「放射保全」や「排出保全」を省略したもので、情報システムや暗号装置から出てしまう電磁波などを分析したり、捕まえたりすることで、第三者に情報を盗み見られるのを防ぐための対策全体を指します。この「EMSEC」は、「通信保全(COMSEC)」の一部に含まれます。例えば、軍隊などで、情報システムや情報機器を使って機密情報を取り扱う場合は、情報を守る専門部署と相談して、そのシステムや機器が「EMSEC」の基準を満たしているか調査します。そして、電磁波が漏れないようにしたり、周りのものと物理的な距離を十分に取ったりするなど、必要な対策を講じます。同じような言葉に「TEMPEST」があります。

EMSECの概要

EMSECの概要

– EMSECの概要EMSECとは、*Emission Security(放射保全・排出保全)*の略称です。現代社会において、パソコン、スマートフォン、サーバーなど、あらゆる電子機器が情報を処理し、通信を行うために電磁波を発生させています。しかし、これらの電磁波は、時に意図せず情報漏えいのリスクとなりえます。EMSECは、このような電子機器から発生する電磁波を悪用した盗聴や情報窃取から、重要な情報資産を守るための対策を指します。例えば、パソコンやスマートフォンから発せられる電磁波を特殊な装置で傍受することで、画面に表示されている情報やキーボード入力の内容を盗み見ることが技術的に可能です。また、通信ケーブルから漏洩する電磁波を解析することでも、同様の情報漏えいが発生する可能性があります。このような電磁波による情報漏えいは、一般的には気づかれにくいため、企業や組織は、特に機密情報を取り扱う場合は、EMSEC対策を講じる必要があります。具体的な対策としては、電磁波の発生源となる機器を電磁波シールドで覆ったり、電磁波の強度を減衰させるフィルターを装着するなどの物理的な対策があります。また、重要な情報を扱う空間全体を電磁波シールドで囲ってしまう対策も有効です。さらに、ソフトウェアの利用状況やデータの暗号化など、情報そのものへのアクセス制御を厳格化することで、情報漏えいのリスクを軽減することも重要です。

対策項目 対策内容
物理的対策
  • 電磁波シールドで機器を覆う
  • 電磁波強度を減衰させるフィルター装着
  • 重要情報を取り扱う空間全体を電磁波シールドで囲う
ソフトウェア・アクセス制御
  • ソフトウェアの利用状況の制御
  • データの暗号化

EMSECの対象範囲

EMSECの対象範囲

– 電磁波からの情報漏えい対策の対象範囲

電磁波からの情報漏えい対策(EMSEC)は、機密情報や個人情報など、重要な情報を扱うあらゆる組織にとって欠かせないものです。政府機関や軍事組織のように、国家機密や安全保障に関わる情報を扱う組織では、特に高度なEMSEC対策が求められます。このような組織では、情報漏えいが国家の安全を脅かすだけでなく、国際的な信頼関係にも影響を与える可能性があるためです。

金融機関もまた、顧客の資産情報や取引情報など、極めて機密性の高い情報を扱っています。金融機関における情報漏えいは、顧客に深刻な経済的損失をもたらすだけでなく、金融システム全体の信頼性を揺るがす事態になりかねません。そのため、金融機関もEMSEC対策に多大な投資を行っています。

近年では、企業における情報漏えいリスクも高まっています。企業は、顧客情報や技術情報、財務情報など、様々な重要な情報を保有しており、これらの情報が漏えいした場合、企業の信用が失墜するだけでなく、多額の損害賠償を請求される可能性もあります。 特に、近年はインターネット接続機器の普及やテレワークの拡大により、企業外部からのサイバー攻撃のリスクが高まっており、企業においてもEMSECの重要性がますます高まっています。

EMSEC対策は、もはや特定の組織だけの問題ではなく、あらゆる組織にとって必須の取り組みになりつつあります。

組織の種類 情報漏えいのリスク EMSECの必要性
政府機関・軍事組織 国家機密や安全保障に関わる情報漏えい
国際的な信頼関係への影響
特に高度なEMSEC対策が必須
金融機関 顧客の資産情報や取引情報の漏えい
金融システム全体の信頼性失墜の可能性
多大な投資によるEMSEC対策が必要
企業 顧客情報、技術情報、財務情報などの漏えい
企業の信用失墜、損害賠償請求の可能性
サイバー攻撃リスクの高まり
EMSECの重要性が増加

EMSECとTEMPEST

EMSECとTEMPEST

– EMSECとTEMPESTEMSEC(電磁セキュリティ)とは、機器やシステムから放射される電磁波による情報漏洩を防ぎ、情報の機密性、完全性、可用性を確保するための対策全般を指します。簡単に言えば、電子機器から意図せず漏れてしまう電磁波を制御し、情報漏洩を防ぐための取り組みと言えるでしょう。TEMPEST(電磁波盗聴)は、EMSECを実現するための具体的な技術標準や規格を指します。主にアメリカ国家安全保障局(NSA)によって開発され、電磁波の漏洩を最小限に抑えるための機器設計や施設設計に関するガイドラインを提供しています。TEMPESTは、盗聴者が電磁波を受信して機密情報を入手することを防ぐための実践的な対策と言えます。TEMPESTでは、機器やシステムから放射される電磁波を「不要輻射」と呼び、この不要輻射から情報を抽出することを「不要輻射盗聴」と呼びます。TEMPESTの対策としては、機器の設計段階で不要輻射を抑制する技術を採用したり、施設の壁や床に電磁波遮蔽材を使用したり、不要輻射を発生させる機器を電磁波遮蔽性の高い部屋に設置するなどの方法があります。TEMPESTは、軍事施設や政府機関など、特に機密性の高い情報を扱う環境において重要視されていますが、近年では、企業の知的財産や個人のプライバシー保護の観点からも注目されています。

項目 説明
EMSEC (電磁セキュリティ) 電子機器やシステムから放射される電磁波による情報漏洩を防ぎ、情報の機密性、完全性、可用性を確保するための対策全般。
TEMPEST (電磁波盗聴) EMSECを実現するための具体的な技術標準や規格。主にNSAによって開発され、電磁波の漏洩を最小限に抑えるための機器設計や施設設計に関するガイドラインを提供。
不要輻射 機器やシステムから放射される電磁波。
不要輻射盗聴 不要輻射から情報を抽出すること。

具体的な対策例

具体的な対策例

– 具体的な対策例昨今、高度化するサイバー攻撃の中でも、装置から漏洩する電磁波を悪用した情報窃取が大きな脅威となっています。このような攻撃から重要な情報を守るためには、具体的な対策を講じる必要があります。最も効果的な対策の一つとして、電磁波を遮断する特殊な部屋である「電磁波シールドルーム」の設置が挙げられます。この部屋は、壁や天井に特殊な金属膜を施すことで、外部からの電磁波の侵入を防ぐとともに、内部から発生する電磁波の漏洩も抑制します。機密性の高い情報を取り扱う部屋に設置することで、情報漏えいのリスクを大幅に低減できます。また、すべての機器をシールドルームに収容することが難しい場合でも、電磁波ノイズフィルターを利用することで、特定の周波数の電磁波を遮断できます。これは、情報機器から発生する電磁波を減衰させる効果があり、低コストで導入しやすい利点があります。さらに、壁や床に電磁波吸収材を貼り付けることも有効な対策です。電磁波吸収材は、電磁波を吸収し、熱エネルギーに変換することで、反射や透過を抑える効果があります。これらの対策を組み合わせることで、多層的な防御策を構築し、より強固な情報漏えい対策を実現できます。対策の効果を最大限に引き出すためには、情報機器の設置場所も重要な要素となります。外部からの電磁波の影響を受けにくい場所を選ぶとともに、物理的なセキュリティ対策と併せて実施することで、より強固な情報保護体制を構築できます。

対策 説明
電磁波シールドルームの設置 特殊な金属膜を壁や天井に施した部屋で、外部からの電磁波の侵入と内部からの漏洩を遮断します。
電磁波ノイズフィルターの利用 特定の周波数の電磁波を遮断し、情報機器からの電磁波の発生を抑制します。低コストで導入しやすいです。
電磁波吸収材の貼り付け 電磁波を吸収し、熱エネルギーに変換することで、反射や透過を抑えます。

EMSECの重要性の高まり

EMSECの重要性の高まり

近年、あらゆるモノがインターネットにつながる「モノのインターネット(IoT)」時代が到来し、私たちの身の回りにはインターネットに接続された機器があふれています。このような状況下、機器から発生する電磁波を通じて情報が漏えいするリスクが高まっています。

従来の情報セキュリティ対策では、主にネットワークやソフトウェアの脆弱性を突いたサイバー攻撃から情報を守ることに重点が置かれてきました。しかし、電磁波による情報漏えいは、ネットワークに接続されていない機器からも発生する可能性があり、従来の対策では防ぐことができません。

そこで重要になるのが、電磁波による情報漏えい対策(EMSEC Electromagnetic Security)です。EMSECは、機器から発生する電磁波を制御したり、外部からの電磁波の影響を遮断したりすることで、情報漏えいを防ぐための対策です。具体的には、電磁波を遮断する特殊な素材で機器を覆ったり、電磁波の発生源となる機器を専用の部屋に設置したりするなどの方法があります。

IoT時代がますます進展し、私たちの生活がインターネットと密接に結びつくにつれて、EMSECの重要性はますます高まっています。 EMSECは、私たちの重要な情報資産である個人情報や企業秘密などを守るために、今後ますます欠かせないものとなるでしょう。