ESXiArgsランサムウェア:仮想環境を狙う脅威
セキュリティを高めたい
先生、「ESXiArgs」って最近ニュースでよく聞くんですけど、どんなものなんですか?
情報セキュリティ専門家
「ESXiArgs」は、企業などで使われているコンピューターのデータを勝手に暗号化して使えなくしてしまう悪質なプログラムだよ。そして、データを使えるようにする代わりに、お金を要求するんだ。
セキュリティを高めたい
データを勝手に暗号化してしまうんですか?!それは大変ですね!具体的にはどんな被害があったんですか?
情報セキュリティ専門家
世界中のたくさんの会社が被害にあっているんだ。このプログラムは、コンピューターの古い弱点をつくものだったから、被害が拡大してしまったんだよ。
ESXiArgsとは。
「ESXiArgs」という言葉を、情報の安全を守る分野で使います。これは、2023年2月に広範囲に被害をもたらした、コンピューター内のファイルを勝手に暗号化して、元に戻すことと引き換えに金銭を要求する、悪意のあるプログラムです。フランスの、インターネット上の事件を扱う専門機関であるCERT-FRは、このプログラムが「VMWareESXiサーバー」という種類のコンピューターを狙っていると注意を呼びかけました。さらに、アメリカのCISAは、世界中で3800以上の組織が被害を受けたと推測しています。
この「ESXiArgs」は、情報の安全を守るニュースサイトなどで話題になりました。専門家たちがその動きを調べたところ、「ESXiボリュームファイル」と同じ場所に、「.args」という拡張子がついたファイルを作る特徴があったため、「ESXiArgs」と名付けられました。
この悪意のあるプログラムは、「VMWareESXi」の、2021年に見つかった弱点(CVE-2021-21974)を突き、攻撃を行います。ファイルを暗号化する際には「Sosemanukストリーム暗号」を、鍵の暗号化には「RSA暗号」を使っており、過去に設計図が流出した「Babukランサムウェア」との関連性が疑われています。
2023年2月7日、アメリカのCISAは、「ESXiArgs」の被害を受けたコンピューターを回復させるための道具を公開しました。CISAによると、この道具を使うことで、お金を払わずに済んだ組織もあったそうです。しかしその後、この悪意のあるプログラムの暗号化の方法が変わり、回復させる道具が使えなくなったという情報もあります。
大規模攻撃の発生
– 大規模攻撃の発生
2023年2月、世界規模で甚大な被害をもたらす大規模なサイバー攻撃が発生しました。この攻撃は「ESXiArgsランサムウェア」と呼ばれる悪意のあるプログラムを用いたもので、仮想化ソフト「VMware ESXi」を搭載したサーバーが標的となりました。
フランスのサイバーセキュリティ機関であるCERT-FRは、今回の攻撃に関する注意喚起を発令し、注意を呼びかけました。これは、攻撃が世界中に広がりを見せており、その深刻度が非常に高いことを示しています。アメリカのサイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)は、被害を受けた組織の数が3800を超えると推測しており、その被害の大きさには世界中が震撼しました。
ESXiArgsランサムウェアは、感染したサーバーに保存されている重要なデータなどを暗号化し、その復号と引き換えに身代金を要求します。企業や組織にとっては、業務に不可欠なデータが人質に取られる形となり、業務の継続が困難になるなど、その影響は計り知れません。
今回の大規模攻撃は、サイバー攻撃が高度化し、その脅威が現実のものとなっていることを改めて突きつけました。セキュリティ対策の重要性を再認識し、最新のセキュリティパッチの適用や、不審なアクセスを検知するシステムの導入など、早急な対策が求められます。
攻撃名 | 標的 | 被害規模 | 攻撃手法 | 対策 |
---|---|---|---|---|
ESXiArgsランサムウェア攻撃 | 仮想化ソフト「VMware ESXi」を搭載したサーバー | 3800以上の組織が被害(CISA推測) | サーバーに保存されたデータを暗号化し、身代金を要求 | – 最新のセキュリティパッチの適用 – 不審なアクセスを検知するシステムの導入 |
ESXiArgsランサムウェアの特徴
– ESXiArgsランサムウェアの特徴ESXiArgsは、仮想化ソフトウェアであるVMWare ESXiサーバーを狙ったランサムウェアです。その名前の由来は、感染したESXiサーバー上のESXiボリュームファイルと同じ場所に、「.args」という拡張子を持つファイルを作成することに由来します。このファイルには、身代金の要求やファイルの復号方法に関する情報が含まれています。ESXiArgsは、ESXiに存在していた脆弱性(CVE-2021-21974)を悪用してサーバーに侵入します。この脆弱性は2021年に発見され、修正プログラムも公開されていましたが、適用していないサーバーが攻撃の対象となりました。ESXiArgsは、データを暗号化する際に「Sosemanukストリーム暗号」と「RSA暗号」という2つの強力な暗号化方式を組み合わせていることが特徴です。この複雑な暗号化により、被害者が自身でデータを復号することは非常に困難になっています。さらに、ESXiArgsは、過去にソースコードが流出した「Babukランサムウェア」との関連性が指摘されています。これは、ESXiArgsの開発者がBabukランサムウェアのコードを流用したか、その設計に影響を受けている可能性を示唆しています。もしそうであれば、ESXiArgsは、過去のランサムウェアの攻撃手法や技術を継承し、さらに進化した脅威となっている可能性があります。
項目 | 内容 |
---|---|
ランサムウェア名 | ESXiArgs |
標的 | VMware ESXiサーバー |
由来 | 感染したESXiサーバー上のESXiボリュームファイルと同じ場所に、”.args”という拡張子を持つファイルを作成することに由来 |
悪用する脆弱性 | CVE-2021-21974 (2021年に発見、修正プログラム公開済み) |
暗号化方式 | Sosemanukストリーム暗号とRSA暗号 |
関連する過去のランサムウェア | Babukランサムウェア (ソースコード流出) |
復旧ツールの登場と無効化
近年、企業活動にとって必要不可欠な情報システムに対し、身代金を要求する攻撃が深刻化しています。仮想環境を標的とする「ESXiArgsランサムウェア」もその一つで、感染するとデータが暗号化され、復旧と見返りに金銭を要求されます。
こうした被害の拡大を受け、アメリカのサイバーセキュリティ・インフラストラクチャ・セキュリティ庁(CISA)は、2023年2月7日にESXiArgsランサムウェアの被害を受けた仮想マシン向けの復旧ツールを公開しました。このツールは、暗号化されたデータを人質に取られた組織にとって福音となり、実際に身代金を支払うことなくシステムを回復できたという報告も上がっています。
しかし、サイバー攻撃者の活動は止まりません。復旧ツールの公開後、ESXiArgsランサムウェアの暗号化方式が変更され、提供された復旧ツールが使用できなくなるという事態も発生しました。これは、攻撃者がセキュリティ対策の進化に対応し、常に新たな手段を講じていることを如実に示しています。
今回の事例は、サイバー攻撃に対する備えがいかに重要であるかを改めて認識させるものです。企業は、セキュリティ対策ソフトの導入や最新状態への更新、従業員へのセキュリティ意識向上研修など、多層的な対策を講じる必要があります。また、万が一攻撃を受けた場合でも被害を最小限に抑えられるよう、データのバックアップ体制の構築や、インシデント発生時の対応手順を整備しておくことが重要です。
脅威 | 対策 |
---|---|
ESXiArgsランサムウェアによる仮想環境への攻撃 – データの暗号化 – 身代金要求 |
– セキュリティ対策ソフトの導入と最新状態への更新 – 従業員へのセキュリティ意識向上研修 – データのバックアップ体制の構築 – インシデント発生時の対応手順の整備 |
攻撃者の進化(復旧ツール公開後の暗号化方式変更など) | – 最新の脅威情報と対策の継続的な学習 – セキュリティ対策の継続的な見直しと改善 |
仮想環境におけるセキュリティ対策の重要性
昨今、仮想環境を標的とした攻撃が増加しており、その脅威は深刻さを増しています。特に、先日発生したESXiArgsによる攻撃は、多くの企業に衝撃を与え、仮想環境におけるセキュリティ対策の重要性を改めて認識させる出来事となりました。仮想環境は、従来の物理環境と比較して、柔軟性や拡張性に優れている一方で、セキュリティ上のリスクも潜在しています。そのため、企業は仮想環境特有のリスクを理解し、適切な対策を講じる必要があります。
まず、仮想環境においても、物理環境と同様に、システムの脆弱性を把握し、常に最新の状態に保つことが重要です。これは、仮想化ソフトウェアやハイパーバイザー、仮想マシン上のOSやアプリケーションなど、あらゆる要素において実施する必要があります。また、定期的なセキュリティ診断や脆弱性検査を行い、潜在的な脅威を早期に発見することも重要です。
さらに、万が一、攻撃を受けた場合に備え、データの損失やサービスの停止を最小限に抑えるための対策も重要です。具体的には、仮想マシンやデータの定期的なバックアップを取得すること、そして、バックアップデータの保管場所を分散させるなどの対策が有効です。
加えて、ファイアウォールや侵入検知システムなどのセキュリティソフトを導入し、不正アクセスやマルウェアの侵入を阻止することも重要です。特に、仮想環境専用のセキュリティ対策製品も多数存在するため、導入を検討する必要があります。
仮想環境のセキュリティ対策は、一過性の対策ではなく、継続的に改善していくべき重要な取り組みです。企業は、セキュリティ対策の重要性を認識し、適切な対策を実施することで、安全な仮想環境を構築・運用していくことが求められています。
仮想環境の脅威 | 対策 |
---|---|
システムの脆弱性 | – 仮想化ソフトウェア、ハイパーバイザー、仮想マシン上のOSやアプリケーションの脆弱性を最新の状態に保つ – 定期的なセキュリティ診断や脆弱性検査の実施 |
攻撃による被害 | – 仮想マシンやデータの定期的なバックアップ – バックアップデータの分散保管 |
不正アクセスやマルウェア | – ファイアウォールや侵入検知システムなどのセキュリティソフトの導入 – 仮想環境専用のセキュリティ対策製品の導入検討 |
今後の脅威と対策
昨今、企業の重要な情報を暗号化し、その復号と引き換えに身代金を要求する「身代金要求型ウイルス」による攻撃が、深刻な脅威となっています。攻撃の手口は巧妙化の一途を辿っており、今後さらに被害が拡大することが懸念されています。
企業は、このような脅威から自社を守るために、常に最新の脅威に関する情報収集に努め、自社のセキュリティ対策が見劣りしていないか、定期的に点検・改善していく必要があります。具体的には、外部からの不正アクセスを防ぐためのファイアウォールやウイルス対策ソフトの導入・最新化はもちろんのこと、従業員に対するセキュリティ意識向上のための教育も重要です。
また、万が一、攻撃を受けてしまった場合に備え、被害を最小限に抑え、速やかに事業を復旧するための手順を事前に定めておくことが重要です。具体的には、データのバックアップ方法や復旧手順、関係部署や関係者への連絡体制などを明確化しておく必要があります。
昨今では、多くの企業で業務効率化やコスト削減のために、コンピューターの処理をサーバーに集約し、複数の利用者がそのサーバーの資源を共有する仕組みが導入されています。しかし、この仕組みは、セキュリティ対策が不十分な場合、ひとたび攻撃を受けると、企業全体のシステムが麻痺し、事業継続が困難になるリスクも孕んでいることを忘れてはなりません。
このように、企業がサイバー攻撃から身を守り、事業継続性を確保するためには、仮想環境も含めたセキュリティ対策の強化が不可欠と言えるでしょう。
脅威 | 対策 |
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身代金要求型ウイルスによる攻撃 |
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サーバー集約型システムにおけるセキュリティリスク |
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