ハッシュ関数とその役割:データセキュリティの基礎
セキュリティを高めたい
「ハッシュ」って、情報セキュリティでよく聞くけど、どんなものですか?
情報セキュリティ専門家
「ハッシュ」は、あるデータから、指紋のような unique な値を生成することだよ。例えば、この教科書の文章全体からハッシュ値を作るとしよう。すると、教科書の内容が少しでも変われば、全く違うハッシュ値になるんだ。
セキュリティを高めたい
へえー、まるで指紋みたいですね。それで、情報セキュリティにはどう役立つのかな?
情報セキュリティ専門家
そうだね。例えば、パスワードをハッシュ化して保存しておけば、もし誰かがデータを見ても、元のパスワードはわからない。本人確認の時だけ、入力されたパスワードをハッシュ化して、保存されているハッシュ値と比較すれば安全なんだよ。
ハッシュとは。
「ハッシュ」は、情報セキュリティでよく使われる言葉で、あるデータから特別な計算方法を使って作られた、そのデータだけにしかない値のことを指します。この計算方法を「ハッシュアルゴリズム」と呼びます。ファイルなどのデータから決まった長さの値を作るため、「メッセージダイジェスト」と呼ばれることもあります。
ハッシュを作るための計算を行う部分を「ハッシュ関数」あるいは「要約関数」と呼びます。この関数は、どんなデータを入力しても、決まった長さの値を出力します。その出力された値、つまりハッシュ値は、以下の二つの特徴を持ちます。一つは、入力データごとに異なる値になること。もう一つは、ハッシュ値から元のデータを知ることはできないということです。
この仕組みは、デジタル署名やパスワードの確認、データが同じかどうかを比べる作業、データが改ざんされていないかを調べる作業、セキュリティツールで使う指標の作成など、様々な場面で役立ちます。
ハッシュは、あらゆるデータに対して、そのデータだけにしかないハッシュ値が作られるという前提に基づいています。しかし、SHA-1やMD5など、一部のハッシュ関数は、ハッシュ値の衝突を利用した攻撃や、元のデータを探し出す攻撃に対して弱いという指摘があります。アメリカでは、メッセージダイジェストを作るための公式なハッシュアルゴリズムは、「FIPS180-4」と「FIPS202」という規格で定められています。
ハッシュ値とは
– ハッシュ値とは
ハッシュ値とは、あるデータが入力されると、決まった手順で計算を行い、そのデータを表す短い文字列を生成する技術です。この技術は「ハッシュ関数」と呼ばれ、計算の結果得られる文字列が「ハッシュ値」です。
ハッシュ値は、元のデータが少しでも違えば全く異なる値になるという特徴があります。例えば、「こんにちは」という文章と「こんにちわ」という文章では、たった一文字違うだけで全く異なるハッシュ値が生成されます。
この特徴から、ハッシュ値はデジタルデータの「指紋」のようなものと考えることができます。指紋が一人一人異なるように、ハッシュ値もデータ一つ一つで異なるため、データの改ざん検知などに役立ちます。
例えば、パスワードを保存する際に、パスワードそのものを保存するのではなく、パスワードのハッシュ値を保存する方法があります。こうすることで、万が一データ漏洩が発生した場合でも、ハッシュ値から元のパスワードを推測することは非常に困難になります。
このように、ハッシュ値はセキュリティの分野で重要な役割を担っています。
項目 | 説明 |
---|---|
ハッシュ値とは | データを入力すると、決まった手順で計算し、そのデータを表す短い文字列(ハッシュ値)を生成する技術 |
ハッシュ関数の特徴 | 元のデータが少しでも違えば、全く異なるハッシュ値が生成される |
ハッシュ値の利用例 | データの改ざん検知、パスワードの保存など |
メリット | データ漏洩が発生した場合でも、ハッシュ値から元のデータを推測することは非常に困難 |
ハッシュ関数の働き
私たちは日々、インターネット上で様々な情報をやり取りしています。これらの情報を安全に守るためには、情報を特定の規則に従って変換する技術が欠かせません。その技術の一つに、「ハッシュ関数」があります。
ハッシュ関数は、文章や画像、動画など、あらゆる種類のデータを一定の手順で計算し、元のデータとは全く異なる見た目の文字列に変換します。この文字列を「ハッシュ値」と呼びます。
ハッシュ関数の最大の特徴は、同じデータを入力すれば、常に同じハッシュ値が得られるという点です。これは、まるで、膨大な情報の中から目的のデータを見つけ出す「デジタル指紋」のようなものです。仮にデータが少しでも改ざんされると、ハッシュ値は全く異なるものになるため、データの integrity を保証することができます。
また、ハッシュ関数は、入力されたデータの内容を推測することが極めて難しいという特性も持ち合わせています。このため、パスワードをハッシュ値に変換して保存しておけば、第三者にパスワードが漏洩するリスクを大幅に減らすことができます。
このように、ハッシュ関数は、インターネットにおける security を支える重要な技術の一つとして、幅広い場面で活躍しています。
ハッシュ関数の特徴 | 説明 |
---|---|
一貫性 | 同じデータを入力すれば、常に同じハッシュ値が得られる。 データのintegrity保証に役立つ。 |
不可逆性 | 入力されたデータの内容をハッシュ値から推測することが極めて難しい。 パスワードの保護などに役立つ。 |
データの整合性確認
情報の正当性を保つことは、情報を取り扱う上で非常に大切です。情報の正当性を保つことを「データの整合性」と呼びますが、その中でも今回は「データの改ざん」を検知する方法について解説します。
データの改ざんを検知する方法として、ハッシュ関数と呼ばれる技術が用いられます。ハッシュ関数は、入力されたデータを特定のアルゴリズムに基づいて計算し、元のデータとは全く異なる見た目の短いデータに変換します。この短いデータのことを「ハッシュ値」と呼びます。
ハッシュ関数の特徴として、たとえほんの少しだけ元のデータが改ざんされた場合でも、全く異なるハッシュ値が生成されるという点が挙げられます。この性質を利用して、データの改ざんを検知することができます。
具体的には、まず元のデータからハッシュ値を計算し、そのハッシュ値を元のデータと一緒に保管しておきます。そして、データが改ざんされたかどうかを確認したい場合は、再度データからハッシュ値を計算し、先に保管しておいたハッシュ値と比較します。もしデータが少しでも改ざんされていれば、計算されたハッシュ値は先に保管しておいたハッシュ値とは一致しなくなります。このように、ハッシュ値を比較することによって、容易にデータが改ざんされたかどうかを確認することができるのです。
項目 | 内容 |
---|---|
目的 | データの改ざん検知 |
技術 | ハッシュ関数 |
ハッシュ関数の機能 | 入力データを基に計算し、異なる見た目の短いデータ(ハッシュ値)に変換する。 |
ハッシュ関数の特徴 | 元のデータが少しでも改ざんされると、全く異なるハッシュ値が生成される。 |
改ざん検知方法 | 1. 元のデータからハッシュ値を計算し、元のデータと共に保管する。 2. データ改ざんの確認時に、再度データからハッシュ値を計算する。 3. 保管したハッシュ値と計算したハッシュ値を比較する。一致しなければ改ざんされている。 |
パスワードの保護
インターネット上の様々なサービスを利用する際に、欠かせないのがパスワードです。パスワードは、不正なアクセスから個人情報や大切なデータを守るための重要な役割を担っています。しかし、その保管方法を誤ると、セキュリティ上の大きなリスクを抱えることになります。
多くのウェブサイトやサービスでは、利用者のパスワードをそのままの形でデータベースに保存することはありません。パスワードをそのまま保存してしまうと、万が一データベースが不正アクセスによって盗み見られてしまった場合、すべての利用者のパスワードが漏洩してしまう危険性があるからです。
そこで採用されているのが、パスワードを「ハッシュ化」して保存する方法です。ハッシュ化とは、あるデータから、元のデータには戻せないような複雑な文字列を生成することです。この複雑な文字列を「ハッシュ値」と呼びます。パスワードをハッシュ化して保存しておけば、たとえデータベースが漏洩したとしても、ハッシュ値から元のパスワードを推測することは非常に困難です。
利用者がログインする際には、入力されたパスワードを同じ方法でハッシュ化し、データベースに保存されているハッシュ値と比較します。両者が一致した場合にのみ、正しいパスワードと判断し、ログインが許可されます。このように、ハッシュ化は、パスワードを安全に保管し、不正アクセスから守るための有効な手段と言えるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
パスワードの重要性 | インターネット上のサービス利用に不可欠 不正アクセスから個人情報やデータを保護 |
パスワードの保存方法 | パスワードをそのままの形でデータベースに保存することは危険 |
ハッシュ化 | パスワードをハッシュ化して保存 ハッシュ化とは、元のデータには戻せないような複雑な文字列を生成すること ハッシュ値から元のパスワードを推測することは非常に困難 |
ログイン時の動作 | 入力されたパスワードをハッシュ化 データベースに保存されているハッシュ値と比較 両者が一致した場合にのみ、ログインが許可 |
ハッシュ関数の安全性
データの改ざん検知やパスワード保護など、情報セキュリティの様々な場面で重要な役割を担うハッシュ関数。その安全性は、異なるデータから生成されるハッシュ値が出来る限り一意であること、つまり「衝突」と呼ばれる現象が発生する確率が極めて低いという性質によって保たれています。
しかし、過去に広く利用されていたSHA-1など、一部のハッシュ関数において、この衝突を意図的に発生させる攻撃手法が発見されました。もし、悪意のある第三者がこの攻撃を成功させた場合、本来異なるデータに見せかけて、重要な情報を盗み見たり、改ざんしたりすることが可能になります。
このような事態を防ぐため、現在ではより安全性の高いハッシュ関数への移行が推奨されています。例えば、SHA-256やSHA-3などは、SHA-1と比較して衝突耐性が高く、現時点では有効な攻撃方法は知られていません。
情報セキュリティ対策においては、常に最新の技術動向に注意を払い、状況に応じて適切なハッシュ関数を選択することが極めて重要と言えるでしょう。
ハッシュ関数 | 安全性 | 備考 |
---|---|---|
SHA-1 | 低い | 衝突発生攻撃が発見されているため、使用は非推奨 |
SHA-256 | 高い | 現時点で有効な攻撃方法は知られていない |
SHA-3 | 高い | 現時点で有効な攻撃方法は知られていない |