潜む影:BYODならぬBYOVD攻撃とは?
- デバイスの脆弱性を利用した新たな脅威近年、多くの企業で、従業員の利便性向上と業務効率化のために、私物のパソコンやスマートフォンなどを業務に利用することを許可するBYOD(Bring Your Own Device)が導入されています。このBYODは、従業員にとって柔軟な働き方を促進するメリットがある一方で、企業のセキュリティ対策担当者にとって頭を悩ませる新たなリスクをもたらす可能性も孕んでいます。その新たな脅威の一つとして、「BYOVD攻撃」が近年、注目されています。BYOVD攻撃とは、「Bring Your Own Vulnerable Driver攻撃」の略で、攻撃者が標的のデバイスに潜む脆弱性を持つデバイスドライバを悪用して、企業のシステムへの侵入を試みる攻撃手法です。デバイスドライバとは、パソコンやスマートフォンなどの機器に接続された周辺機器(プリンターやカメラなど)と、機器本体のOS(オペレーティングシステム)との間でデータのやり取りを仲介するソフトウェアのことです。このBYOVD攻撃では、攻撃者はまず、標的となる企業の従業員が業務で使用しているデバイスに、脆弱性を持つデバイスドライバが存在するかどうかを調べます。そして、脆弱性が見つかった場合、その脆弱性を突くように細工された悪意のあるプログラムを送り込みます。このプログラムを通じて、攻撃者は、本来アクセスできないはずの企業システムに不正に侵入し、機密情報窃取やシステムの破壊といった深刻な被害を与える可能性があります。BYODの導入が進む一方で、従業員が業務で使用するデバイスのセキュリティ対策は企業にとって大きな課題となっています。BYOVD攻撃のような巧妙化する脅威から企業システムを守るためには、従業員へのセキュリティ意識向上のための教育や、デバイスの脆弱性を定期的に検出して修正する対策など、多層的なセキュリティ対策を講じることが重要です。