フォレンジック

セキュリティ評価

デジタル鑑識の強力な味方:SANS SIFT Workstation

近年、企業活動や個人の生活において、パソコン、スマートフォン、タブレット端末などのデジタル機器が広く普及し、それに伴い様々な情報がデジタルデータとして扱われるようになりました。一方で、これらのデジタル機器を利用した犯罪も増加しており、不正アクセスや情報漏洩、詐欺などの事件が後を絶ちません。こうした犯罪を解決するためには、デジタル機器に残された電子データから証拠を見つけ出し、事件の真相を解明することが重要になります。 デジタル鑑識とは、パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器から、犯罪の証拠となる電子データを見つけ出し、収集、解析する一連の作業のことを指します。具体的には、デジタル機器本体やUSBメモリ、ハードディスクなどの記録媒体から、電子メール、文書ファイル、画像データ、閲覧履歴、アクセスログなどの情報を収集し、専用のソフトウェアを用いて解析を行います。 デジタル鑑識で得られた証拠は、裁判で採用されるためには、客観性や信頼性が求められます。そのため、データの改ざんや消去を防ぎ、証拠の真正性を保つための厳密な手順と技術が不可欠です。近年では、サイバー犯罪の巧妙化に伴い、デジタル鑑識の重要性はますます高まっています。
その他

仮想メモリ:コンピュータのメモリ管理の仕組み

コンピュータを動かすには、プログラムやデータを一時的に記憶しておく場所が必要です。これが主記憶装置、一般的には「RAM」と呼ばれるものです。しかし、RAMは容量が限られており、多くのプログラムを同時に動かしたり、大規模なデータを取り扱う際には不足してしまうことがあります。 そこで登場するのが「仮想メモリ」です。仮想メモリは、補助記憶装置(ハードディスクやSSDなど)の一部を、あたかもRAMであるかのように見せかける技術です。ハードディスクなどはRAMに比べて処理速度は遅いものの、大容量のデータを格納できます。 仮想メモリを使うと、プログラムは実際のRAM容量を超えてメモリ空間を使うことができるようになります。もしプログラムが必要とするデータがRAM上にない場合は、ハードディスクから必要なデータを読み込み、RAM上にコピーします。このとき、RAM上にあった不要なデータはハードディスクに書き戻されます。 このように、仮想メモリはハードディスクの一部を一時的な記憶領域として活用することで、実質的なメモリ容量を拡張し、多くのプログラムを同時に動作させることを可能にしています。ただし、ハードディスクの読み書きはRAMに比べて遅いため、仮想メモリの使用頻度が高くなると、コンピュータ全体の処理速度が低下する可能性があります。
その他

ファイルコピーの雄!robocopyコマンドのスゴイところ

- robocopyコマンドとは?robocopyコマンドは、Windowsパソコンに標準で搭載されている便利なコマンドです。コマンドプロンプトと呼ばれる黒い画面に、決められた文字列を入力して使うことで、ファイルやフォルダを丸ごとコピーすることができます。 robocopyは「Robust File Copy」の略で、日本語に訳すと「堅牢なファイルコピー」という意味です。これは、単なるファイルコピーを超えた信頼性の高いファイルコピー機能を提供することを表しています。一般的なファイルコピーとrobocopyコマンドの大きな違いは、コピー処理の途中でエラーが発生した場合の挙動です。通常のファイルコピーでは、エラーが発生するとそこで処理が中断されてしまいます。しかし、robocopyコマンドはエラーが発生しても処理を中断せずに、エラーが発生したファイルだけをスキップしてコピーを継続することができます。また、robocopyコマンドは、コピー先に既に同じファイルが存在する場合でも、タイムスタンプを比較して新しいファイルだけを上書きする機能や、フォルダのアクセス権限などもコピーする機能など、さまざまなオプションが用意されています。これらのオプションを活用することで、より安全かつ効率的にファイルやフォルダをコピーすることができます。Windowsユーザーにとって、robocopyコマンドは非常に強力な味方と言えるでしょう。
セキュリティ評価

デジタルフォレンジック:犯罪捜査を支えるデジタル技術

- フォレンジックとは元々は、犯罪捜査や法医学の分野で、事件現場に残された証拠を科学的に分析し、犯罪の真相を解明するための鑑識や科学捜査を指す言葉でした。 近年、この「フォレンジック」という言葉は、ITの分野にも広く用いられるようになりました。 デジタル社会の到来とともに、コンピュータやスマートフォン、サーバーなどの記録媒体には、膨大な量のデジタルデータが蓄積されるようになりました。 これらのデータは、個人情報や企業秘密、犯罪の証拠など、重要な情報を含む場合があり、サイバー攻撃や情報漏えいなどの事件やトラブルが発生した場合、原因究明や損害の復旧のために、これらのデジタルデータが重要な証拠となります。ITフォレンジックは、まさにこのデジタルデータに着目し、専用の技術やツールを用いて、デジタルデータから証拠となる情報を抽出、分析、復元する技術や手法を指します。 具体的には、不正アクセスや情報漏えい、データ改ざんなどの事件が発生した場合、フォレンジックの専門家が、コンピュータやサーバーなどの記録媒体を調査し、いつ、誰が、どのような操作を行ったのか、などを詳細に分析します。 フォレンジックによって得られた分析結果は、事件の真相解明や犯人特定、再発防止策の検討などに活用されるだけでなく、裁判などの法的な場においても、重要な証拠として採用されることがあります。
その他

デジタル証拠の宝: フォレンジックアーティファクト

- デジタルの世界の証拠品、フォレンジックアーティファクト 犯罪が起きた時、警察は現場に残された指紋や足跡を手がかりに、事件の真相解明を目指します。同じように、コンピュータやスマートフォンなどのデジタル機器が関わる犯罪やトラブルにおいても、証拠となる情報が存在します。これをフォレンジックアーティファクトと呼びます。 フォレンジックアーティファクトは、デジタルの世界で起きた出来事を解明するための重要な鍵となります。例えば、いつ、誰が、どのファイルにアクセスし、どのような操作を行ったのかといった情報が、デジタル機器の中に記録として残されていることがあります。これらの記録は、まるでデジタルの足跡のように、犯人の行動や事件の真相を明らかにする手がかりとなります。 デジタルフォレンジックの専門家は、特殊な技術やツールを使って、コンピュータやスマートフォンからフォレンジックアーティファクトを収集し、分析します。そして、得られた情報を元に、事件の真相を解明したり、不正アクセスの有無を明らかにしたりします。このように、フォレンジックアーティファクトは、デジタル時代の犯罪捜査やセキュリティ対策において、非常に重要な役割を担っているのです。
セキュリティ評価

マルウェア解析の強力な味方:Radare2入門

- リバースエンジニアリングとは製品やソフトウェアを分解して、その構造や仕組みを解析することを-リバースエンジニアリング-と呼びます。これは、まるで完成したパズルをバラバラにして、それぞれのピースがどのように組み合わさって全体が成り立っているのかを調べるようなものです。リバースエンジニアリングでは、設計図やソースコードといった製品の内部情報がなくても、その動作原理を理解することができます。製品を構成する部品やソフトウェアのコードを一つずつ丁寧に調べていくことで、開発者がどのような意図で設計したのか、どのような技術が使われているのかを推察していくのです。この技術は、様々な分野で応用されています。例えば、ソフトウェア開発の現場では、セキュリティ上の欠陥を見つけるために利用されます。悪意のある者がソフトウェアの脆弱性を突いて攻撃を仕掛けてくる可能性がありますが、リバースエンジニアリングによってその仕組みを事前に解明することで、対策を立てることができるのです。また、コンピュータウイルスなどの悪意のあるプログラムを解析するためにも、リバースエンジニアリングは欠かせません。プログラムのコードを解析することで、そのプログラムがどのような動作をするのか、どのような情報を盗み出すのかを突き止め、被害の拡大を防ぐことができます。このようにリバースエンジニアリングは、製品やソフトウェアの安全性を高め、私たちを守るために重要な役割を担っている技術と言えるでしょう。
障害対策

イメージファイル:デジタル forensic とセキュリティの基礎

- イメージファイルとはイメージファイルとは、パソコンやスマートフォンなどに搭載されている記憶装置の中身を、まるごとそっくり写し取ったファイルのことです。例えるなら、紙に書かれた情報を写真で撮って保存するようなものです。写真を見れば、いつでも元の情報を確認できますよね。イメージファイルも同じように、記憶装置の状態をそのまま保存し、後から確認できるようにする役割があります。イメージファイルは、記憶装置に保存されているデータの内容だけでなく、データがどのように配置されているかといった構造まで、完全に複製します。そのため、単にファイルをコピーするよりも多くの情報を含んでおり、特に犯罪捜査などの場面で重要な役割を果たします。例えば、サイバー犯罪の捜査では、証拠となるデータが保存されているパソコンからイメージファイルを作成します。もし、パソコンから直接データを抜き出すと、その操作自体が証拠のデータを改ざんしてしまう可能性があります。しかし、イメージファイルを作成すれば、元の記憶装置には一切手を加えずに、複製したデータから安全に情報を確認できます。このように、イメージファイルは証拠の保全や解析に非常に役立つため、デジタル forensic の分野で欠かせない技術となっています。
セキュリティ評価

デジタル捜査の必需品:Volatility入門

- 揮発性メモリとデジタル捜査 コンピュータが動作する際には、様々な情報が一時的に記憶領域に保存されます。この記憶領域の一つに揮発性メモリ、いわゆるRAM(Random Access Memory)があります。 RAMは処理中のデータやプログラムを高速に読み書きできるため、コンピュータの性能に大きく影響します。しかし、RAMに保存されたデータは電源を切ると消えてしまうという特徴があります。 この「消えてしまう」という性質が、デジタル捜査においては重要な意味を持ちます。なぜなら、RAMにはまさに「現在」のコンピュータの状態が記録されているからです。例えば、犯人が使用していたパスワードや、アクセスしていたウェブサイトの履歴、マルウェアが活動していた痕跡など、重要な情報がRAMに残されている可能性があります。 揮発性メモリの内容を解析することで、犯罪の証拠を見つけたり、事件の真相解明に繋がる手がかりを得たりすることができます。しかし、RAMのデータは電源を切ると失われてしまうため、迅速かつ適切な手順でデータを保存する必要があります。この揮発性メモリの解析に特化したツールの一つに「Volatility」があります。Volatilityは、取得したRAMイメージから情報を抽出・解析する機能を持つ強力なツールであり、デジタル捜査の現場で広く活用されています。
ネットワークセキュリティ

ネットワークフォレンジック:インシデントの真相究明

- ネットワークフォレンジックとは情報社会の進展に伴い、企業や組織にとって、情報セキュリティは事業継続のために不可欠な要素となっています。しかし、サイバー攻撃の手口は日々巧妙化しており、セキュリティ対策を講じていても、完全に防ぐことは困難なのが現状です。もしもの事態に備え、インシデント発生時の迅速な対応と再発防止策の策定が重要となります。そこで注目されているのが「ネットワークフォレンジック」です。ネットワークフォレンジックとは、ネットワーク機器やセキュリティ装置に残された通信記録などのデータ(ログ)を収集・分析し、サイバー攻撃などのセキュリティインシデントの原因究明や被害状況の把握を行う技術です。具体的には、いつ、どこから、どのような経路で、どのような攻撃が行われたのかを特定します。これにより、インシデントの影響範囲の特定、攻撃者の特定、攻撃手法の分析などが可能となり、再発防止策の検討や、より強固なセキュリティ対策の実装に役立てることができます。近年では、標的型攻撃など、巧妙化・複雑化するサイバー攻撃が増加傾向にあり、ネットワークフォレンジックの重要性はますます高まっています。
セキュリティ評価

デジタルフォレンジックにおけるハイバネーションファイル

パソコンを長時間使わない時に、電力を節約するためにスリープや休止といった機能を使うことがあります。スリープは短時間の休憩に適していますが、休止はそれよりもさらに電力消費を抑えたい時に役立ちます。休止を使うと、作業中の情報は一旦ハードディスクに保存され、パソコンの電源は完全に切られた状態になります。この時、消費電力はほぼゼロに近くなります。 ハードディスクに保存される情報のことを「ハイバネーションファイル」と呼びます。このファイルには、休止直前まで開いていた文書やアプリケーションの状態などが記録されています。パソコンを再び起動すると、このファイルから情報が読み込まれ、休止前の状態にスムーズに戻ることができます。 つまり、ハイバネーションファイルは、パソコンの状態を一時的に保存しておくための重要な役割を果たしているのです。 休止を使うことで、作業を中断することなく、かつ無駄な電力消費を抑えることができます。長時間パソコンを使わない場合は、ぜひ休止機能を活用してみましょう。
セキュリティ評価

デジタル証拠の守護者:EnCaseとは?

「エンケース」という言葉を耳にしたことはありますか?これは、デジタルの世界を探る「フォレンジック調査」において、なくてはならない道具です。まるで名探偵の持ち物のように、コンピューターやスマートフォン、企業の心臓部であるサーバーなどに残されたデジタルの痕跡を、見つけ出し、集め、そして解き明かす力を持っています。 エンケースは、犯罪捜査の現場で威力を発揮します。事件の真相を明らかにするために、パソコンや携帯電話に残されたデータから、犯行の証拠を見つけ出すのです。また、企業では、不正行為が行われていないかを調べる際にも活躍します。社員の行動履歴をたどり、不正の有無を突き止めることができるのです。 エンケースは、デジタルデータの専門家ともいえるでしょう。削除されたはずの情報も、エンケースにかかれば復元できることがあります。まるで、失われた記憶を呼び覚ますかのように、事件の重要な手がかりとなる情報を発見するのです。 このように、エンケースは、デジタル社会の様々な場面で、真実を明らかにするために欠かせない存在となっています。デジタル化が進む現代において、その重要性はますます高まっていると言えるでしょう。
マルウェア対策

マルウェア解析におけるPEB構造体の重要性

コンピューター上でプログラムを動かす際、Windowsは「プロセス」と呼ばれる単位でプログラムを管理します。このプロセス一つ一つに、必要な情報や設定をまとめた「プロセス環境ブロック」、略してPEBと呼ばれる領域が用意されています。PEBは、プログラムの実行に必要な様々な情報を一箇所に集約し、OSとプログラムの間の情報伝達をスムーズに行うための重要な役割を担っています。 PEBには、プログラムが読み込まれている場所や、使用できるメモリの範囲、コマンドライン引数、環境変数など、プログラムの実行に欠かせない情報が格納されています。例えば、プログラムが外部のファイルを開きたい場合、ファイルの場所をOSに伝える必要がありますが、この際にPEBに格納された情報が参照されます。 PEBはOSの内部構造を理解する上で欠かせない要素の一つです。セキュリティの観点からも、PEBは攻撃者にとって格好の標的となります。なぜなら、PEBの情報を改ざんすることで、プログラムの動作を改変したり、悪意のあるコードを実行させたりすることが可能になるからです。そのため、PEBの構造や役割を理解することは、システムのセキュリティ対策を考える上でも非常に重要です。
クラウドサービス

Purview監査で強化するMicrosoft 365のセキュリティ

- はじめにより近年、企業において顧客情報や社外秘の技術情報などの漏えい、あるいはコンピューターウイルスによるシステムへの不正侵入といった、企業活動に大きな損害を与えるセキュリティ上の問題が増加しています。特に、インターネットを通じて様々なサービスを利用できるクラウドサービスの普及に伴い、これらのサービスにおけるセキュリティ対策は企業にとって避けては通れない課題となっています。 Microsoft 365は、メールやスケジュール管理、ファイル共有など、多くの便利な機能を備えたクラウドサービスとして広く利用されています。しかし、その利便性の裏側では、適切なセキュリティ対策を怠ると、情報漏えいなどのセキュリティ事故を引き起こすリスクがあります。 そこで、本稿では、Microsoft 365のセキュリティ強化に有効な機能である「Purview監査」について詳しく解説します。 「Purview監査」は、Microsoft 365のサービス上でいつ、誰が、どのような操作を行ったかを記録し、後から確認できる機能です。この機能を利用することで、不正アクセスの早期発見や、情報漏えい発生時の原因究明を迅速に行うことが可能となります。 本稿では、「Purview監査」の機能や設定方法、具体的な活用例などを紹介することで、Microsoft 365を利用する企業のセキュリティ担当者が、より安全な環境を構築するための情報を提供します。
その他

デジタル証拠の宝庫?Prefetchファイルとは

皆さんが普段何気なく使っているパソコンですが、快適に使えるように、裏側では様々な工夫が凝らされています。今回は、WindowsOSに搭載されている、アプリケーションの起動を高速化する仕組みについて解説します。 アプリケーションを起動する際、OSはまず、そのアプリケーションの実行に必要なプログラムやデータなどの情報を読み込む必要があります。これらの情報は、ハードディスクやSSDなどの記憶装置に保存されていますが、これらの記憶装置から情報を読み込む速度は、メモリと比べて非常に遅いという特徴があります。そのため、もしも必要な情報を毎回記憶装置から読み込んでいたら、アプリケーションの起動に時間がかかってしまい、快適に作業できません。 そこでWindowsOSは、Prefetchと呼ばれる仕組みを使って、この問題を解決しています。Prefetchとは、アプリケーションがメモリ上でどのように動作するかの情報を含むキャッシュファイルのことです。アプリケーションが初めて起動する際には、OSはアプリケーションが必要とする情報を記憶装置から読み込み、メモリ上に展開するのと同時に、その情報へのアクセス順序などをPrefetchファイルに記録します。 そして、アプリケーションを再び起動する際には、OSはこのPrefetchファイルを参照します。Prefetchファイルには、前回起動時にアプリケーションが必要とした情報へのアクセス順序が記録されているため、OSは必要な情報を効率的にメモリに配置することができます。その結果、記憶装置からの読み込みが減り、アプリケーションの起動時間を大幅に短縮することができるのです。
セキュリティ評価

デジタルフォレンジックの標準ツールFTK

- 電子記録の鑑定技術 - デジタルフォレンジックとは近年、パソコンやスマートフォンといった電子機器が広く普及し、私達の生活に欠かせないものとなりました。それと同時に、これらの機器を用いた犯罪も増加しており、その手口も巧妙化しています。このような状況下において、電子機器に残された記録を収集・分析し、犯罪捜査や裁判での証拠として活用する技術が「デジタルフォレンジック」です。デジタルフォレンジックでは、電子機器内のデータの復元、アクセス履歴の解析、データの改竄の痕跡の発見など、様々な技術を用いて、電子記録から事件の真相を解き明かす手がかりを探します。例えば、削除されたファイルの復元や、いつ、どのファイルにアクセスしたのかといった履歴の解析を行うことで、犯行の動機や犯行の手口を明らかにすることができます。デジタルフォレンジックは、不正アクセスや情報漏洩といったサイバー犯罪だけでなく、殺人や詐欺といった従来型の犯罪の捜査においても重要な役割を担っています。例えば、容疑者のパソコンから犯行計画を記した文書が見つかったり、スマートフォンの位置情報から犯行現場にいたことが証明されたりするケースもあります。また、企業においても、情報漏洩事件の発生原因の究明や、従業員による不正行為の調査など、様々な場面でデジタルフォレンジックが活用されています。企業は、デジタルフォレンジックを活用することで、再発防止策の策定や、企業の信用回復、法的責任の明確化などを図ることができます。このように、デジタルフォレンジックは、現代社会において、安全・安心な社会を実現するために必要不可欠な技術と言えるでしょう。
その他

訴訟に備える!ESIとその重要性

- 電子的に保存された情報、ESIとは「電子的に保存された情報」、英語でElectronically Stored Information、略してESIとは、一見すると私たちの身の回りにあるデジタルデータ全てを指す言葉のように思えます。しかし、ESIはアメリカの法律用語であり、連邦民事訴訟規則(FRCP)という規則の中で明確に定義されています。そのため、この言葉は日本国内で起こったトラブルに適用されるものではありません。では、なぜ日本の私たちがESIについて知る必要があるのでしょうか。それは、グローバル化が進む現代社会において、海外企業とのビジネスは増加傾向にあり、訴訟に発展する可能性も考えられるからです。もし、アメリカの裁判所による訴訟になった場合、企業はFRCPに従ってESIを適切に管理・開示する義務を負います。FRCPでは、ESIの範囲を広く定義しており、電子メールや文書ファイルにとどまりません。例えば、画像データや音声データ、データベース、さらにはウェブサイトのアクセスログなどもESIに含まれます。近年では、ソーシャルメディアの投稿やクラウド上に保存されたデータなどもESIとみなされる傾向にあり、その範囲はますます広がりを見せています。ESIは、訴訟における重要な証拠となり得る情報です。そのため、日頃から適切な情報管理体制を構築しておくことが、企業のリスク管理として重要と言えるでしょう。