情報セキュリティ

組織・期間

サーベンス・オクスリー法:企業不正を防ぐための重要な法律

- サーベンス・オクスリー法とは2002年にアメリカで成立したサーベンス・オクスリー法(SOX法)は、企業の会計処理を厳格化し、投資家を守ることを目的とした法律です。この法律が制定された背景には、1990年代後半に起こったドットコム・バブルの崩壊と、それに伴う大企業の不正会計問題がありました。当時、エンロンやワールドコムといった誰もが知る巨大企業が、利益を水増しするなどの粉飾決算を行っていたことが発覚し、世界中に衝撃が走りました。 これらの不正会計は、株価の暴落を引き起こし、多くの投資家に莫大な損失を与えただけでなく、企業の信頼性を大きく損ないました。このような事態を二度と起こさないために、アメリカ政府は抜本的な対策に乗り出しました。それがサーベンス・オクスリー法の制定です。この法律では、企業の経営者に対して、財務報告の信頼性を保証することや、社内の内部統制システムを構築・維持することが義務付けられました。また、監査法人の監査体制の強化や、会計不正に対する罰則の強化なども盛り込まれました。 サーベンス・オクスリー法は、成立当初こそ、その厳格さから企業に大きな負担を強いると批判する声もありました。しかし、その後、企業会計の透明性が向上し、投資家の信頼回復に繋がったと評価されています。 現在では、アメリカのみならず、世界中の企業が、サーベンス・オクスリー法を参考に内部統制の強化に取り組んでいます。
マルウェア対策

二重恐喝型ランサムウェアBlackByteの脅威

- BlackByteとはBlackByteは、2021年10月頃から活動が確認されている、比較的新しいランサムウェアです。ランサムウェアは、企業のコンピュータシステムに侵入し、保存されているファイルを暗号化して使えなくしてしまいます。そして、暗号化を解除してファイルを取り戻したければ、「身代金」を支払うよう要求してきます。従来のランサムウェアは、この身代金の支払いを拒否すると、ファイルが使えなくなるだけで、業務が完全に停止してしまうなどの被害に遭っていました。しかし、BlackByteは従来のランサムウェアよりもさらに悪質な手口を用います。BlackByteは暗号化に加えて、盗み出したデータをインターネット上に公開すると脅迫するのです。これは「二重恐喝」と呼ばれる手口です。身代金を支払わなければ、業務に必要なファイルが使えなくなるだけでなく、顧客情報や企業秘密などの重要なデータが世界中に公開されてしまう危険性があります。もし情報が流出してしまえば、企業は業務の停止に追い込まれるだけでなく、社会的信用の失墜や顧客の流出といった、金銭では解決できない深刻な被害を受ける可能性があります。BlackByteは従来型のランサムウェアと比べて、企業にとってより大きな脅威となっていると言えるでしょう。
マルウェア対策

二重恐喝型ランサムウェア「Bloody」の脅威

- BloodyとはBloodyは、2022年頃から活動を始めた、比較的新しいランサムウェアです。その名前はあまり知られていませんが、巧妙な手口を用いるため、企業にとっては深刻な脅威となっています。Bloodyは、二重恐喝型ランサムウェアと呼ばれる種類に分類されます。従来のランサムウェアは、企業の重要なデータを見つけ出し、暗号化することで使用できない状態にし、その復号と引き換えに身代金を要求するものでした。しかしBloodyは、従来のデータの暗号化に加えて、攻撃前に機密情報を盗み出し、身代金の支払いを拒否した場合にそのデータを公開すると脅迫します。この二重の脅迫は、企業にとって非常に大きな圧力となります。身代金を支払えば経済的な損失を被りますが、支払いを拒否した場合には、盗まれた機密情報の漏洩によって、顧客や取引先からの信頼を失い、事業活動に大きな支障をきたす可能性があります。さらに、情報漏洩による風評被害は長期に渡って企業に付きまとうことになり、その回復には多大な時間と労力を要することになります。このように、Bloodyは従来のランサムウェアと比べて、企業に与える被害がより深刻となる可能性があります。
攻撃方法について知る

ScanBox:長期に渡り使われるサイバースパイ活動の脅威

- ScanBoxとはScanBoxは、特定の集団がインターネット上で諜報活動を行うために開発した、特殊なソフトウェアです。まるで職人が道具箱を持ち歩くように、ScanBoxは様々な機能を持つ小さなプログラムを複数組み合わせることで、標的のコンピュータに侵入し、機密情報や個人情報を盗み出すことができます。ScanBoxの特徴は、その柔軟性と拡張性の高さにあります。必要な機能を持つプログラムだけを選択して組み合わせることで、標的に合わせてその姿を変え、従来のセキュリティ対策をかいくぐる能力を持っています。ScanBoxは、主に以下の機能を持つプログラムを組み合わせて使用されます。* -標的の探索- インターネット上で、攻撃対象となるコンピュータを探し出すプログラム* -脆弱性の発見- 標的のコンピュータの弱点を見つけ出すプログラム* -侵入と制御- 標的のコンピュータに侵入し、遠隔操作を可能にするプログラム* -情報収集- 標的のコンピュータから機密情報や個人情報などを盗み出すプログラムScanBoxを用いた攻撃は、その隠密性の高さから発見が非常に困難です。そのため、普段からセキュリティ対策ソフトを最新の状態に保つだけでなく、不審なメールやウェブサイトにアクセスしないなど、利用者自身のセキュリティ意識を高めることが重要です。
組織・期間

日本のサイバーセキュリティの守護者:JPCERT/CCとは

日本における情報セキュリティを担う中核的な組織として、一般社団法人JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)は、日本の情報システムをサイバー攻撃の脅威から守るために活動しています。1996年、インターネットの普及に伴い、新たな脅威としてサイバー攻撃が顕在化してきました。このような背景を受けて、JPCERT/CCは、国内におけるサイバーセキュリティ対策の必要性が高まったことを受け設立されました。 JPCERT/CCは、国内外の関係機関と連携し、サイバー攻撃に関する情報収集や分析、インシデント対応支援、脆弱性情報の収集・分析、注意喚起などの活動を行っています。具体的には、企業や組織がサイバー攻撃を受けた際に、その被害状況の把握や復旧に向けた支援、また、サイバー攻撃の手口や対策に関する情報を提供することで、国内全体のセキュリティレベル向上に貢献しています。 JPCERT/CCは、設立以来、日本のサイバーセキュリティを支える重要な役割を果たしており、その活動は、インターネットを安全に利用できる環境を守る上で、不可欠なものとなっています。
組織・期間

ドイツの情報セキュリティを守るBSIの役割

- BSIとはBSIは「Bundesamt für Sicherheit in der Informationstechnik」を短くしたもので、日本語では情報セキュリティ庁という意味です。ドイツにある連邦内務省という所の傘下にある機関で、ITのセキュリティに関するありとあらゆる業務を担っています。日本で似たような役割を担う機関を挙げるとすれば、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が挙げられるでしょう。BSIは、ドイツ国内の政府機関や企業、国民に対して、ITセキュリティに関する幅広いサービスを提供しています。具体的には、最新のサイバー攻撃の脅威に関する情報の収集や分析、それに基づいた対策の推奨、ITシステムのセキュリティ評価や認証、セキュリティに関する教育や訓練などを行っています。BSIは、国際的にも高い評価を受けており、国際的な標準化活動にも積極的に貢献しています。また、日本を含む多くの国と協力関係を築き、サイバーセキュリティ分野における国際協力にも積極的に取り組んでいます。
マルウェア対策

二重脅迫を武器に進化するランサムウェアBabukの脅威

- BabukとはBabukは、2021年に初めて確認された、二重恐喝型のランサムウェアです。従来型のランサムウェアは、標的の組織に侵入し、重要なデータを暗号化します。そして、その暗号化を解除し、データを取り戻したければ「身代金」を支払うよう要求していました。しかし、Babukはさらに巧妙な手口を用います。Babukは、データを暗号化する前に、組織のシステムから重要なデータを盗み出すのです。そして、身代金を支払わなければ、盗んだデータをインターネット上で公開すると脅迫してきます。こうすることで、たとえ暗号化されたデータを復元できたとしても、組織に大きな被害を与える可能性があります。Babukは、特に医療機関や教育機関など、社会的影響が大きく、セキュリティ対策が比較的脆弱になりがちな組織を標的にしてきました。これらの組織は、人々の生活や安全に関わる重要な情報を扱っていることが多く、Babukによる攻撃は、社会全体に深刻な影響を与える可能性があります。Babukによる攻撃から組織を守るためには、従来型のランサムウェアへの対策に加え、データの窃取を防止するための対策を強化する必要があります。具体的には、アクセス制御の強化や、データの暗号化、セキュリティソフトの導入などが有効です。さらに、万が一攻撃を受けた場合に備え、データのバックアップを定期的に取得しておくことも重要です。
マルウェア対策

見えない脅威:マルウェアの多様な手口と対策

- マルウェアとは何かマルウェアは、私たちの身近にあるコンピュータやスマートフォン、そしてそれらを繋ぐネットワークに侵入し、悪意のある動作を引き起こすソフトウェアやコードです。まるで悪意を持った誰かが密かに仕掛けた罠のように、知らないうちにコンピュータやスマートフォンに入り込み、様々な問題を引き起こします。マルウェアは、その名の通り、「悪意のある」ソフトウェアです。 個人情報や企業秘密など、重要な情報を盗み見たり、保存されているファイルを勝手に消去したり、さらにはコンピュータを乗っ取って、他のコンピュータへ攻撃するなど、様々な被害をもたらします。マルウェアは、まるで忍び寄る影のように、私たちの知らない間にシステムに潜み、情報を盗み見たり、機器を操作したりする可能性があります。その影響は個人レベルにとどまらず、企業や組織の機密情報漏洩、サービスの妨害など、社会全体に大きな混乱をもたらす可能性も孕んでいます。例えば、インターネットバンキングの利用中に、マルウェアによってパスワードを盗み取られ、預金を不正に送金されてしまうかもしれません。あるいは、重要なファイルが暗号化され、身代金を要求されるかもしれません。このように、マルウェアは私たちの生活に大きな影響を与える可能性があります。マルウェアから身を守るためには、セキュリティソフトの導入や、怪しいウェブサイトへのアクセスを控えるなど、日々の心掛けが重要です。
ネットワークセキュリティ

機密情報保護の要: ベル・ラパドゥラ・モデル

- 機密情報へのアクセスを制限 組織が保有する重要な情報へのアクセスは、厳格に管理される必要があります。これは、業務上、情報へのアクセスが必要な人と、アクセスする必要がない人を明確に区別することで実現できます。このような情報管理の考え方を「知る必要性」の原則と呼びます。ベル・ラパドゥラ・モデルは、この原則を適用して、機密情報へのアクセスを適切に管理するための枠組みを提供するセキュリティモデルです。 特に、政府機関や軍隊など、機密性の高い情報を扱う組織において、ベル・ラパドゥラ・モデルは重要な役割を果たします。このモデルでは、情報資産にセキュリティ分類を適用し、それに応じてアクセス権を設定します。セキュリティ分類は、情報の機密性に基づいて、「極秘」「秘」「公開」といったレベルに分けられます。 アクセス権は、それぞれのセキュリティ分類レベルに対して、誰が情報にアクセスできるかを明確に定義します。例えば、「極秘」レベルの情報にアクセスできるのは、セキュリティクリアランスを受けた特定の人員だけに限定されます。一方、「公開」レベルの情報は、組織内の誰でもアクセスできるかもしれません。 ベル・ラパドゥラ・モデルを採用することで、組織は情報の漏洩や不正アクセスといったセキュリティリスクを大幅に軽減できます。情報へのアクセスが制限されることで、たとえ一部の情報が漏洩したとしても、被害を最小限に抑えることができます。また、アクセス権が明確に定義されていることで、責任の所在が明確になり、セキュリティに関する監査も容易になります。
情報漏洩対策

データ消去の基礎知識:クリアリングとは?

- クリアリングとは クリアリングとは、パソコンやスマートフォンなど、デジタル機器に保存されている不要になったデータを安全に消去するための技術の一つです。 この技術では、データを完全に消し去るのではなく、既存のデータ領域に対して「0」やランダムなデータで上書きします。こうすることで、データを読み取ろうとしても、元のデータではなく、上書きされた「0」やランダムなデータしか読み取ることができなくなります。 例えるなら、黒板に書かれた文字を消すために、黒板消しで何度もこすって文字を判別できないようにするイメージです。完全に消し去るわけではないものの、元の情報を復元することは非常に難しくなります。 クリアリングは、一般的なファイル復元ソフトでは復元がほぼ不可能なレベルまでデータを隠蔽することができます。そのため、情報漏洩のリスクを大幅に減らすことができ、重要なデータを扱う企業や組織などで広く利用されています。
セキュリティを高める

SECURITY ACTION: 中小企業の情報セキュリティ対策を促進する制度

- セキュリティ対策への取り組み宣言SECURITY ACTION 「SECURITY ACTION」とは、中小企業が情報セキュリティ対策に自発的に取り組むことを公に表明する制度です。これは、2017年2月に独立行政法人情報処理推進機構(IPA)と中小企業関連団体が共同で発表した「中小企業における情報セキュリティの普及促進に関する共同宣言」をきっかけに創設されました。 この制度の特徴は、IPAが提供する「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」を参考に、段階的に目標を設定していく点にあります。これにより、中小企業は自社のセキュリティレベルや状況に合わせて、無理なく取り組みを進めることができます。 具体的には、「SECURITY ACTION」に参加を希望する企業は、IPAのウェブサイトから自己宣言書を提出します。この自己宣言書には、情報セキュリティ対策に関する取り組み状況や、今後の目標などが記載されています。 自己宣言を行うことで、企業は対外的にセキュリティ対策への意識の高さを示すことができます。また、「SECURITY ACTION」参加企業として、IPAのウェブサイトに企業情報が掲載されるため、取引先などからの信頼獲得にも繋がります。 このように、「SECURITY ACTION」は、中小企業が情報セキュリティ対策に取り組むための、実践的な枠組みを提供しています。
セキュリティを高める

企業を守る!情報セキュリティの国際標準規格、ISO27001とは?

現代社会において、企業にとって情報はまさに生命線と言えるでしょう。顧客情報、技術資料、財務データなど、企業が保有する情報は多岐に渡り、その重要性は増すばかりです。これらの情報は、企業の競争優位性を築き、顧客との信頼関係を構築し、円滑な事業運営を行う上で欠かせないものです。 しかし、情報技術の発展と普及は、企業にとって大きな恩恵をもたらす一方で、新たな脅威も生み出しました。サイバー攻撃の手口は日々巧妙化しており、標的型攻撃やランサムウェアなど、企業活動に深刻な被害をもたらす事例が後を絶ちません。また、内部不正による情報漏えいのリスクも増加しており、企業はかつてないほど深刻な情報セキュリティの脅威に直面しています。 このような状況下、企業は自社の情報資産の重要性を再認識し、情報セキュリティ対策を経営の重要課題として位置付ける必要があります。具体的には、最新の脅威情報に基づいたセキュリティ対策の実施、従業員へのセキュリティ意識向上教育、セキュリティポリシーの策定と運用など、多岐にわたる取り組みが必要となります。 情報セキュリティへの投資は、単なるコストではなく、企業の持続的な成長と発展を支えるための重要な投資と言えるでしょう。
情報漏洩対策

IRM:機密情報を守るための技術

- 情報資産の保護壁となるIRMとはIRMとは、"Information Rights Management"の略称で、日本語では"情報権限管理"と訳されます。企業にとって、顧客情報や財務情報、技術情報といった機密情報は、まさに生命線とも言える重要な資産です。もしもこれらの情報が外部に漏洩してしまうと、企業は信用を失墜し、多大な損害を被ることになりかねません。IRMは、このような事態を防ぐために、情報資産に対するアクセス権限を厳密に管理する技術です。 従来の情報セキュリティ対策では、ファイアウォールやウイルス対策ソフトなどを用いて、外部からの不正アクセスを遮断することに重点が置かれていました。しかし、近年では、従業員による情報漏洩や、悪意を持った内部者による情報持ち出しといった、内部からの脅威が増加しています。IRMは、こうした内部からの脅威にも対応できる点が大きな特徴です。 具体的には、IRMを導入することにより、文書やファイルなどの電子データに対して、閲覧、編集、印刷、複製といった操作を制限することができます。例えば、特定の部署の担当者にのみ閲覧を許可したり、編集はできないが閲覧は可能な状態に設定したりすることが可能です。また、アクセスログを記録することで、誰がいつどの情報にアクセスしたのかを把握することもできます。このように、IRMは、情報へのアクセスを制限し、追跡可能にすることで、情報漏洩のリスクを大幅に低減します。
マルウェア対策

サイバー空間の犯罪兵器:クライムウェア

インターネットが生活に欠かせないものとなり、情報社会の恩恵を享受する一方で、目に見えない脅威もまた、静かに広がっています。巧妙化を続けるサイバー犯罪は、私たちの身近に潜み、金銭や個人情報を狙っています。 中でも「クライムウェア」は、その名の通り犯罪を目的とした悪質なソフトウェアです。ひそかにパソコンやスマートフォンに侵入し、気づかぬうちに情報を盗み取ったり、データを人質に金銭を要求したりします。 例えば、インターネット広告をクリックした途端に感染するケースや、偽のセキュリティ警告に騙されて、偽のセキュリティソフトをインストールしてしまうケースなどが挙げられます。また、メールに添付されたファイルを開いただけで感染してしまうケースも後を絶ちません。 これらの脅威から身を守るためには、セキュリティソフトの導入はもちろんのこと、ソフトウェアの最新状態を保つなど、日頃からの対策が重要となります。怪しいウェブサイトへのアクセスを控えたり、不審なメールに添付されたファイルを開かないなど、一人ひとりがセキュリティ意識を高めることが重要です。
セキュリティ評価

政府機関のクラウド調達におけるセキュリティ担保:ISMAPとは

近年、多くの企業や組織で、業務の効率化や経費削減を目的として、情報をインターネット上のサービスを通じて管理・運用するクラウドサービスの導入が進んでいます。この流れは、行政機関においても例外ではありません。行政機関でも、クラウドサービスの活用によって、国民へのサービス向上や事務処理の簡素化などが期待されています。 しかし、クラウドサービスの利用には、重要な情報が外部のサーバーに保管されるという性質上、セキュリティの確保が極めて重要な課題となります。特に、国民の個人情報や国家機密など、特に重要な情報を扱う行政機関にとっては、セキュリティ対策は最優先事項と言えます。 そこで、行政機関が安心してクラウドサービスを利用できる環境を整備するために、セキュリティの評価・登録制度である「ISMAP(Information-technology Security Management and Assessment Program政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)」が導入されました。ISMAPは、クラウドサービスを提供する事業者に対して、セキュリティに関する一定の基準を設け、その基準を満たしていることを評価・登録する制度です。 この制度によって、行政機関は、ISMAPに登録されたクラウドサービスを安心して利用できるようになり、国民にとっても、行政機関が取り扱う情報の安全性がより一層確保されることが期待されます。
ソーシャルハッキング対策

スマホ決済の落とし穴?:クイッシングの脅威

近年、スマートフォン決済やクーポン取得、情報閲覧など、QRコードは私たちの生活に欠かせない技術となっています。街中のポスターや広告、商品パッケージなど、至る所で目にする機会が増えました。 しかし、この利便性の高い技術を逆手に取った、新たな脅威が出現しています。悪意のある者が作成した不正なQRコードをスキャンしてしまうことで、個人情報や金銭を盗み取られる危険性があるのです。 このような攻撃は「クイッシング」と呼ばれ、偽のQRコードを本物と誤認させることで、利用者を騙し、情報を盗み取ります。例えば、正規の支払い用QRコードに似た偽のコードを掲示し、金銭をだまし取ったり、偽のウェブサイトに誘導して個人情報を入力させたりするケースが報告されています。 利便性が高い一方で、QRコードはセキュリティ面でのリスクも抱えていることを認識し、利用する際には十分な注意を払う必要があります。信頼できる提供元が発行したものかどうかを確認する、安易に個人情報を入力しないなど、自衛策を講じることが重要です。
マルウェア対策

猛威を振るうAkiraランサムウェアの脅威

- Akiraランサムウェアの概要Akiraランサムウェアは、2023年に初めてその活動が確認された比較的新しいランサムウェアです。確認されてから日が浅いにも関わらず、その脅威は深刻で、多くのセキュリティ専門家が注目しています。Akiraは、他のランサムウェアと同様に、感染したコンピュータ上のファイルを暗号化します。そして、暗号化を解除して元のファイルを取り戻したい場合や、盗んだデータを外部に漏洩されたくない場合は、身代金を支払うように要求してきます。Akiraが特に恐ろしい点は、暗号化とデータ漏洩という二重の脅迫を仕掛けてくるところです。まず、Akiraは感染したコンピュータ上の重要なファイルを見つけ出し、それらを暗号化します。暗号化されたファイルは使用することができなくなるため、業務に支障が出てしまいます。次に、Akiraは暗号化する前に、その重要なファイルのコピーを外部のサーバーに送信してしまいます。そして、身代金を支払わなければ、盗み出したデータをインターネット上に公開すると脅迫してくるのです。このような二重の脅迫は、情報漏洩による信用失墜や経済的損失を恐れる企業にとって、非常に効果的な脅迫となっています。そのため、Akiraは多くの企業にとって、大きな脅威となっているのです。
データベースセキュリティ

クラーク・ウィルソン・モデル:企業データを守る仕組み

- データの完全性を守る仕組み企業が扱う情報には、顧客情報や財務データなど、非常に重要なものが多く存在します。これらの情報は、外部からの不正アクセスから守られるだけでなく、内容が正しい状態を保たれていることも非常に重要です。もしもこれらの情報が、悪意のある第三者によって改ざんされてしまったら、企業は大きな損害を被ることになりかねません。情報の安全性において、「機密性」と並んで重要な要素である「完全性」。この完全性を確保するために考案されたセキュリティモデルの一つに、クラーク・ウィルソンモデルがあります。従来のアクセス制御モデルでは、あくまでも「誰がデータにアクセスできるか」を制御するだけでした。しかし、クラーク・ウィルソンモデルでは、「誰がどのような操作をデータに対して行えるか」を厳密に制御するという点が大きく異なります。例えば、顧客情報データベースへのアクセス権限を持つ従業員がいたとしても、クラーク・ウィルソンモデルでは、その従業員が顧客情報を見ることができる権限、情報を変更できる権限、新しい情報を追加できる権限などを個別に設定できます。この仕組みにより、仮に一人の従業員のアカウントが不正利用されたとしても、そのアカウントが持つ権限の範囲内での操作しかできなくなるため、被害を最小限に抑えることが可能になります。このように、クラーク・ウィルソンモデルは、データの完全性を高いレベルで保護できるという点で、企業にとって非常に有効なセキュリティモデルと言えるでしょう。
データベースセキュリティ

情報セキュリティにおけるチャイニーズ・ウォール:ブルーワ・ナッシュ・モデルとは

現代社会において、情報セキュリティは非常に重要な要素となっており、特に顧客の機密情報や企業の取引情報など、非常にデリケートな情報を扱う金融機関にとっては、その重要性は言葉では言い表せません。従来の情報セキュリティ対策は、主に政府や軍の情報システムを想定して構築されてきたため、金融機関特有のニーズに完全に合致しているとは言えない状況でした。 しかし、近年、金融機関を狙ったサイバー攻撃の増加や手口の巧妙化に伴い、より強固で、かつ金融機関の業務に最適化されたセキュリティ対策が求められるようになっています。具体的には、顧客情報の暗号化やアクセス制御の強化といった従来型の対策に加え、人工知能(AI)を用いた不正取引の検知システムや、多要素認証によるシステムへのアクセス制限など、最新の技術を活用した対策が導入され始めています。 また、セキュリティ対策は技術的な側面だけでなく、従業員一人ひとりのセキュリティ意識の向上が不可欠です。そのため、金融機関では、定期的なセキュリティ研修の実施や、セキュリティに関するガイドラインの策定など、従業員への教育にも力を入れています。 金融機関は、社会インフラストラクチャーとしての役割を担っており、その安定的な運営は、経済活動全体に大きな影響を与えます。そのため、金融機関は、常に最新の脅威情報やセキュリティ対策技術に関する情報を収集し、変化するリスクに対応できるよう、セキュリティ対策の継続的な改善に取り組んでいく必要があります。
脆弱性

ゼロデイ: 知られざる脅威とその影響

- 知られざる脅威ゼロデイ脆弱性セキュリティ対策において、最も恐ろしい脅威の一つに「ゼロデイ脆弱性」が挙げられます。これは、ソフトウェアやシステムに潜む欠陥の中で、開発者を含む誰もその存在に気付いていないものを指します。例えるならば、自宅の鍵が壊れていることに住人が全く気付かず、侵入者だけがその事実を知っている状態と言えるでしょう。このような脆弱性が悪用されると、ユーザーは自分が危険にさらされていることを知らずに、重要なデータが盗まれたり、システムを乗っ取られたりする可能性があります。しかも、開発元も問題の存在を把握していないため、対策が遅れてしまうことが多く、被害が拡大する傾向にあります。ゼロデイ脆弱性は、その発見の困難さから、サイバー攻撃者にとって強力な武器となりえます。彼らは、この脆弱性を悪用した攻撃ツールを開発し、闇市場で高値で取引したり、実際に攻撃を仕掛けてきたりするのです。このような脅威から身を守るためには、常に最新の情報を入手し、セキュリティ対策ソフトを最新の状態に保つことが重要です。また、怪しいウェブサイトへのアクセスや、不審なメールの添付ファイルを開封しないなど、基本的なセキュリティ対策を徹底することも大切です。
マルウェア対策

ViceSociety:進化を続ける二重恐喝ランサムウェア

- ViceSocietyの概要ViceSocietyは、二重の脅迫を行うことで金銭を要求する悪質なプログラムとして知られています。標的となるのは主に企業や団体です。まず、対象の組織のコンピュータシステムに侵入し、重要なファイルやデータを暗号化します。暗号化されると、本来アクセスできるはずのデータにアクセスできなくなり、業務が麻痺状態に陥ります。ViceSocietyは、データを人質に金銭を要求するだけではありません。盗み出したデータを、インターネットの闇市場に公開すると脅迫することで、更なる圧力をかけてきます。企業や団体にとって、顧客情報や企業秘密といった重要なデータが流出することは、金銭的な損失だけでなく、社会的信用を失墜させることにも繋がりかねません。このような状況に追い込まれた被害者は、ViceSocietyの要求に応じざるを得ない状況に追い込まれてしまうのです。ViceSocietyの恐ろしい点は、Windowsを搭載したコンピュータだけでなく、Linuxを搭載したコンピュータも標的にする点です。異なるシステムに対応することで、より広範囲の組織を攻撃することが可能になります。実際、教育機関や医療機関など、様々な組織がViceSocietyの被害に遭っています。
情報漏洩対策

データの信頼性を守る「完全性」とは?

- 完全性の基礎知識 「完全性」とは、データの信頼性を示す言葉であり、データが全て揃っているだけでなく、内容も正しい状態を保っていることを指します。 例えば、銀行の預金残高が誰かの操作によって勝手に変更されたり、インターネット通販で購入した商品の履歴の一部が消えてしまったりするような状況は、データの完全性が損なわれていると言えます。 完全性が損なわれる原因は様々です。例えば、悪意のある第三者による不正アクセスや、コンピューターウィルスによるデータの書き換え、システムの故障によるデータの消失、さらには担当者による誤ったデータ入力などが考えられます。 企業における情報システムにおいては、顧客情報や売上情報、技術情報など、様々な重要なデータが扱われています。もしこれらのデータの完全性が損なわれてしまうと、企業は大きな損害を被る可能性があります。 例えば、顧客情報の漏洩は、企業の信用を失墜させ、顧客離れを引き起こす可能性があります。また、売上情報の改ざんは、企業の経営判断を誤らせ、大きな損失につながる可能性があります。 このように、ITシステムにおいては、データの保管から処理、伝達といったあらゆる段階において、その完全性を維持することが非常に重要となります。そのため、アクセス制御や暗号化などのセキュリティ対策を適切に実施することで、データの完全性を確保する必要があります。
マルウェア対策

Ryuk:医療機関を狙う脅威

- RyukとはRyukは、2018年から活動を始めたとされる、コンピュータウイルスの一種です。このウイルスは、パソコンの中の大切なファイルを勝手に暗号化してしまい、元に戻せなくしてしまいます。そして、ファイルを取り戻したければ、「お金を払いなさい」と要求してくるのです。このような身代金目的のウイルスは、「ランサムウェア」と呼ばれ、Ryukはその一種です。Ryukは、特に病院や医療機関を狙う傾向があります。病院は、患者さんの命に関わる大切な情報をたくさん持っています。そのため、Ryukに感染してしまうと、病院のシステムが動かなくなり、手術や治療ができなくなるなど、患者さんに大変な危険が及ぶ可能性があります。Ryukによる被害は世界中で報告されており、その深刻さは増すばかりです。そのため、Ryukからパソコンや病院のシステムを守るためには、ウイルス対策ソフトを最新の状態に保つ、怪しいメールやウェブサイトを開かないなど、一人ひとりが注意することが大切です。
マルウェア対策

二重恐喝の脅威:Hiveランサムウェアの手口と対策

- HiveランサムウェアとはHiveは、近年、世界中で猛威を振るっているランサムウェアの一種です。ランサムウェアとは、コンピュータウイルスの一種で、感染した機器内のファイルを暗号化し、その解除と引き換えに金銭を要求するものです。従来のランサムウェアは、この身代金目的の暗号化が主流でした。しかし、Hiveは従来のランサムウェアと比べて、より悪質な手口を用います。Hiveは、ファイルを暗号化するだけでなく、機密情報も同時に盗み出すという特徴があります。そして、身代金の支払いを拒否した場合、盗み出した情報を闇サイトで公開すると脅迫してきます。このように、Hiveはファイルの暗号化と情報公開という二重の脅迫を行うことから、「二重恐喝型ランサムウェア」と呼ばれています。企業にとっては、業務データが暗号化され使用できなくなるだけでなく、顧客情報や企業秘密などの重要な情報が流出する危険性もあり、甚大な被害をもたらす可能性があります。