認証

攻撃方法について知る

ゴールデンSAML:見えない鍵で開く不正アクセスの脅威

昨今、様々なサービスがネットワーク上で提供され、利用者は複数のサービスを組み合わせて利用することが当たり前になっています。このような状況下において、サービスごとに異なるIDやパスワードを入力する手間を省き、利便性を向上させる仕組みが求められています。その解決策として注目されているのがシングルサインオンです。 シングルサインオンを実現する上で重要な役割を担うのが、認証情報の連携です。異なるサービス間で認証情報を安全にやり取りすることで、一度の認証操作ですべてのサービスを利用できるようになります。 この認証情報の連携を支える規格の一つがSAML(セキュリティアサーションマークアップランゲージ)です。SAMLは、XMLベースのマークアップ言語を用いて、ユーザーの認証情報を標準化された形式で表現します。 具体的には、ユーザーがサービスにアクセスしようとすると、サービスプロバイダと呼ばれるサービス提供側は、認証をアイデンティティプロバイダと呼ばれる認証サーバーに依頼します。アイデンティティプロバイダは、ユーザーの認証情報を検証し、その結果をサービスプロバイダに安全に送信します。 このように、SAMLは異なるサービス間で認証情報を安全かつ円滑に連携させることで、シングルサインオンを実現し、ユーザーの利便性向上に貢献しています。
ネットワークセキュリティ

ウェブサイトの信頼性を守る!サーバ証明書とは

インターネットの世界では、日々膨大な量のデータが行き交っており、その中には個人情報や企業秘密など、重要な情報も含まれています。そのため、情報をやり取りする相手が信頼できるかどうかを確認することが非常に重要になります。 ウェブサイトにアクセスする際も同様です。アクセスしようとしているウェブサイトが、本当にその企業や組織が運営している公式なサイトなのか、あるいは情報を盗み取ろうとする悪意のある偽サイトではないのかを見極める必要があります。 このような場面で重要な役割を果たすのが「サーバ証明書」です。サーバ証明書は、ウェブサイトの運営者情報と公開鍵を結び付けた電子証明書で、信頼のおける第三者機関である認証局が発行しています。 ユーザーがウェブサイトにアクセスすると、ブラウザはウェブサイトからサーバ証明書を受け取り、その内容を確認します。サーバ証明書が信頼できる認証局によって発行されており、かつアクセスしようとしているウェブサイトの情報と一致している場合、ブラウザは表示されているウェブサイトが正しい運営者によって管理されていると判断し、安全な通信を提供していることを保証します。 このように、サーバ証明書はインターネット上で安全に情報をやり取りするために欠かせない仕組みの一つとなっています。
認証技術

安全なデータ送信の要:JWTとは?

近年、ウェブサイトやアプリケーション開発の現場で、「JWT」という言葉を耳にする機会が増えてきました。JWTは"JSON Web Token"の略称で、JSONというデータ形式を使って安全に情報をやり取りするための仕組みです。従来広く使われてきたCookieによる認証方式と比べて、より安全性を高め、柔軟なデータ送信を実現できる技術として注目されています。 JWTは、ヘッダー・ペイロード・署名の3つの部分から構成されています。ヘッダーにはトークンの種類や暗号化アルゴリズムといった情報が、ペイロードにはユーザーIDや有効期限などの実際のデータが格納されます。そして、署名は改ざん防止のために、ヘッダーとペイロードの内容に基づいて生成されます。 JWTは、従来のCookie認証よりも安全性が高い点が大きなメリットです。Cookieはブラウザ側に保存されるため、クロスサイトスクリプティングなどの攻撃を受ける可能性がありました。一方、JWTはトークン自体に署名が含まれているため、改ざんを検知することができます。また、JWTは自己完結型であるため、認証サーバーに状態を持たせる必要がなく、スケーラビリティにも優れています。 JWTは、インターネット標準化団体IETFによって標準化が進められており、オープンな技術として広く普及が進んでいます。今後、ウェブサイトやアプリケーション開発において、JWTはますます重要な技術となるでしょう。
認証技術

SPNEGO NEGOEX: 認証をもっと柔軟に

今日のインターネット社会において、ネットワーク上の通信の安全性を確保することは必要不可欠です。しかし、安全性を担保するために様々な認証方法が存在するため、システムの管理者や開発者は頭を悩ませてきました。 SPNEGO(簡易かつ保護されたGSS-APIネゴシエーション機構)は、このような認証に関する複雑さを解消するために開発された手順です。この手順を用いることで、クライアントとサーバー間で、最適な認証方法を自動的に決定することができます。その結果、開発者の負担を減らし、より安全な通信を実現できるようになります。 たとえば、ユーザーが社内ネットワークにアクセスする場合、従来であれば、それぞれのサービスごとにユーザー名とパスワードを入力する必要がありました。しかしSPNEGOを利用すれば、一度の認証操作だけで、様々なサービスにアクセスすることが可能になります。これは、SPNEGOが、クライアントとサーバー間で、あらかじめ決められた手順に従って、最適な認証方法を自動的に選択するためです。 このように、SPNEGOは、認証の複雑さを解消することで、システム管理者や開発者の負担を軽減するだけでなく、ユーザーにとっても利便性の高い、安全なネットワーク環境を実現する上で、重要な役割を担っています。
認証技術

Windowsの認証を支えるSSPIとは

- SSPIとはSSPIは「Security Support Provider Interface」の頭文字をとったもので、Windowsのアプリケーションに対して、認証やセキュリティ機能を提供するための接続口の役割を担います。Windows環境において、アプリケーション同士が安全に情報をやり取りするには、強固なセキュリティ対策が欠かせません。SSPIは、アプリケーションがWindowsの持つ高度な認証機能を容易に利用できるようにすることで、安全なデータの送受信を実現する上で重要な役割を担っています。例えるならば、SSPIはアプリケーションとWindowsのセキュリティシステムをつなぐ「橋」のようなものです。アプリケーションはSSPIという橋を渡ることで、Windowsのセキュリティシステムが提供する様々な機能を利用することができます。これにより、アプリケーション自身で複雑なセキュリティ対策を実装する必要がなくなり、開発者はアプリケーション本来の機能開発に集中することができます。SSPIが提供するセキュリティ機能は多岐に渡り、代表的なものとしては、ユーザー認証、データの暗号化、データの整合性確認などが挙げられます。これらの機能は、機密性の高い情報や個人情報を取り扱うアプリケーションにおいて特に重要となります。SSPIは、Windows環境におけるセキュリティの根幹を支える重要な技術の一つと言えるでしょう。
認証技術

SPNEGO認証の仕組みと注意点:安全なシステム接続のために

- SPNEGO認証とはSPNEGO認証は、「Simple and Protected GSSAPI Negotiation Mechanism」の略称で、RFC2478という規格で定められた認証の仕組みです。これは、クライアントがサーバーに接続を試みる際に、クライアントとサーバーの双方にとって最適な認証方式を、互いにやり取りしながらスムーズに決定するためのものです。通常、クライアントは接続前にサーバーが対応する認証方式を把握している必要があります。しかし、様々なシステムが複雑に連携する現代のネットワーク環境では、事前に適切な認証方式を特定することが困難な場合があります。そこでSPNEGO認証が活躍します。SPNEGO認証では、クライアントとサーバーが互いに対応している認証方式のリストを交換します。そして、その中から共通して利用できる最適な認証方式を自動的に選択し、接続を確立します。これにより、クライアントは事前に接続先の認証方式を把握する必要がなくなり、円滑な接続が可能となります。例えば、社内システムへのアクセスにおいて、ユーザー名とパスワードによる認証、ICカード認証、生体認証など、様々な認証方式が考えられます。SPNEGO認証を用いることで、クライアントはどの認証方式が利用できるかを意識することなく、システムに安全にアクセスすることができます。
認証技術

サイバー攻撃からクレデンシャルを守る!

- クレデンシャルとは インターネット上のサービスや会社のシステムなど、様々な場所で使われているコンピュータは、許可された人だけが使えるように、アクセスを制限する仕組みが必要です。その際に利用されるのが「クレデンシャル」です。 クレデンシャルとは、簡単に言うと、コンピュータが「この人はアクセスを許可された人ですよ」と認識するために必要な情報のことです。 例えば、インターネット上のサービスを利用する際に、アカウントとパスワードを入力することがよくあります。このアカウント名とパスワードの組み合わせがクレデンシャルにあたります。銀行のATMを利用する際にキャッシュカードと暗証番号が必要なのも、同じように本人確認のためのクレデンシャルと言えます。 クレデンシャルには、アカウント名やパスワード以外にも、様々な種類があります。指紋や顔、声紋などの体の一部の特徴を使った「生体認証」や、スマートフォンに表示される確認コードのような「ワンタイムパスワード」なども、高度なセキュリティを実現するクレデンシャルとして利用されています。 クレデンシャルは、私たちのデジタル社会において、本人確認やアクセス管理を行うための重要な役割を担っています。しかし、その一方で、悪意のある第三者に盗み取られたり、不正利用されてしまうリスクも孕んでいます。セキュリティ対策をしっかり行い、自分のクレデンシャルを適切に管理することが大切です。
認証技術

ベーシック認証:仕組みと安全な利用方法

- ベーシック認証とはベーシック認証は、ウェブサイトやサービスを利用する際に、ユーザーが誰かを確かめるための手軽な方法です。この方法では、ユーザーはサービスを使う時、まず名前と合言葉を聞かれます。そして、その情報が正しいかどうかを、サービスを提供している側が調べます。これは、鍵を使って家を守る仕組みに似ています。正しい鍵を持っている人だけが家に入れるように、正しい名前と合言葉を知っているユーザーだけがサービスを利用できます。ただし、ベーシック認証は仕組みが単純なため、セキュリティの面ではいくつか弱点があります。 例えば、通信経路が暗号化されていない場合、ユーザーの名前と合言葉が盗み見される可能性があります。また、悪意のある第三者に名前と合言葉を盗まれてしまうと、なりすましによって不正にサービスにアクセスされてしまう可能性もあります。そのため、ベーシック認証は、セキュリティレベルがそれほど高くない場合や、簡易的なセキュリティ対策として用いられることが多いです。 より強固なセキュリティが必要な場合は、他の認証方式を検討する必要があります。例えば、二段階認証などは、ベーシック認証よりも安全性を高めることができます。
認証技術

WindowsのSAM:セキュリティの心臓部

- SAMとは SAMは「Security Account Manager(セキュリティアカウントマネージャー)」の略称で、Windows operating systemにおいて、システムの安全性を保つ上で欠かせない重要な役割を担っています。例えるなら、SAMはWindowsという建物に入るための鍵を厳重に管理している「鍵管理室」のようなものです。 この「鍵管理室」には、建物に入るために必要な「鍵」の情報、つまり、ユーザーアカウントやパスワード、そしてセキュリティポリシーなど、システムへのアクセスを制御するための重要な情報がデータベースとして保管されています。 Windowsが起動すると、SAMも同時に始動し、「鍵」を持っている人だけに「鍵」を渡すように、ユーザーのログインを制御します。さらに、ファイルやフォルダへのアクセス権なども管理することで、許可されたユーザーだけが適切な情報にアクセスできるようにしています。このように、SAMはWindowsシステム全体を不正アクセスや脅威から保護する、いわば「門番」のような役割を担っているのです。 もし、SAMが適切に機能しないと、不正なユーザーがシステムに侵入し、重要な情報を盗み出したり、システムを破壊したりする可能性があります。そのため、SAMはWindowsの心臓部とも言える重要なセキュリティ機能と言えるでしょう。
攻撃方法について知る

総当たり攻撃から身を守る!

- ブルートフォースとはブルートフォース攻撃は、別名『総当たり攻撃』とも呼ばれ、不正にシステムに侵入したり、暗号を解読したりする目的で行われます。この攻撃の特徴は、その名の通り、力任せにあらゆる可能性を試すという、非常に単純な方法を用いる点にあります。攻撃者は、パスワードや暗号キーなど、解読したい対象に対して、考えられる組み合わせを一つずつ順番に試していきます。 例えば、パスワードが数字4桁の場合、0000から9999まで、全ての組み合わせを総当たりで試行します。この地道な作業を続けることで、いつかは正しいパスワードにたどり着き、システムへの侵入や情報の不正取得が可能になるのです。ブルートフォース攻撃は、その単純さ故に防御策を講じにくいという側面があります。しかし、パスワードの桁数を増やしたり、複雑な文字列を使用したりすることで、攻撃に要する時間や労力を飛躍的に増大させることが可能です。また、不正アクセスを検知するシステムを導入するなど、多層的なセキュリティ対策を講じることで、被害を未然に防ぐことが重要となります。
ネットワークセキュリティ

ゼロトラストで変わる情報セキュリティ

- 信頼から検証へ、ゼロトラストとは従来の情報セキュリティ対策では、社内ネットワークと外部ネットワークの境界を明確化し、外部からのアクセスを厳重に監視する一方、内部からのアクセスは比較的緩やかに制限することが一般的でした。これは、一度社内ネットワークに接続すれば、ユーザーやデバイスは信頼できるという前提に基づいています。しかし、近年では、テレワークの普及やクラウドサービスの利用拡大など、働く場所やアクセスする情報資源が多様化しています。それに伴い、従来の境界型のセキュリティ対策では、複雑化するサイバー攻撃から組織の重要な情報資産を十分に守ることが難しくなってきています。そこで登場したのが「ゼロトラスト」という考え方です。ゼロトラストは、社内ネットワークに接続しているかどうかに関わらず、全てのアクセスを信頼せず、常に検証と認可を行うというセキュリティモデルです。ユーザーやデバイスのアクセス権限を最小限に制限し、アクセス要求が発生するたびに、その都度認証と認可を行います。このように、ゼロトラストは、従来の「信頼」を前提としたセキュリティ対策から、「検証」を前提としたセキュリティ対策への転換を促すものであり、より強固なセキュリティ体制を構築するための重要な概念と言えるでしょう。
クラウドサービス

IDaaSで変わるアクセス管理

- IDaaSとは「IDaaS」とは、「Identity as a Service(アイデンティティ・アズ・ア・サービス)」の略語で、ID管理サービスをインターネット上で提供する形態を指します。従来のID管理は、企業内のシステムに利用者を登録し、それぞれのシステムにアクセスする際にIDとパスワードを入力するのが一般的でした。しかし、近年、様々な業務システムやアプリケーションがインターネット上で提供されるようになり、従来型のID管理では、利用者、管理者共に負担が増大していました。IDaaSは、このような課題を解決するサービスとして注目されています。IDaaSを利用することで、利用者は、一つのIDとパスワードで、複数のサービスにアクセスすることが可能になります。これは、サービス毎に異なるIDとパスワードを管理する必要がなくなり、利便性が大幅に向上することを意味します。一方、管理者の立場でも、IDaaSは多くのメリットをもたらします。IDaaSでは、利用者のアカウントを一元管理することができるため、アクセス権限の付与や削除などの作業を効率的に行うことが可能になります。また、不正アクセスを防止するための多要素認証などのセキュリティ対策も容易に導入できるため、セキュリティ強化にも役立ちます。このように、IDaaSは、利用者と管理者の双方にとって多くのメリットを提供するサービスであり、今後もますます普及していくことが予想されます。
ネットワークセキュリティ

IEEE 802.1x入門:ネットワーク認証の基礎

- IEEE 802.1xとは IEEE 802.1xは、有線LANや無線LANといったネットワークに接続しようとする機器を認証するためのプロトコルです。 現代社会において、企業や組織にとってネットワークのセキュリティは非常に重要となっています。許可されていない機器がネットワークに接続すると、情報漏洩や不正アクセスといった深刻なセキュリティリスクが生じる可能性があります。 IEEE 802.1xは、このようなリスクを軽減するために、ネットワークに接続しようとする機器を厳格に認証します。具体的には、ネットワークの入り口に認証ゲートウェイを設置し、接続を要求してきた機器に対して適切な資格情報を持っているかを検証します。 この認証ゲートウェイは、接続要求をしてきた機器に対して、ユーザー名やパスワードといった資格情報の入力を求めます。そして、入力された情報が、あらかじめ設定されたデータベースと一致するかを確認します。 データベースと一致した場合のみ、接続が許可され、ネットワークへのアクセスが認められます。逆に、一致しない場合は接続が拒否され、ネットワークにアクセスすることはできません。 このように、IEEE 802.1xは、許可されたユーザーやデバイスだけがネットワークにアクセスできるようになり、セキュリティを強化します。
認証技術

Active Directoryとそのセキュリティ対策について

- Active DirectoryとはActive Directory(AD)は、マイクロソフト社が提供するWindows Serverに搭載されている、いわば「組織の情報管理システム」です。 社員や部署、使用するコンピュータ、共有ファイルなど、組織内の様々な情報を一元的に管理し、誰がどの情報にアクセスできるかを細かく設定することができます。従来のシステムでは、個々のコンピュータやサービスごとに利用者情報やアクセス権を設定する必要があり、管理が煩雑になる傾向がありました。しかし、Active Directoryを導入することで、管理者は組織全体の利用者情報やアクセス権を一括で管理できるようになり、管理コストの大幅な削減とセキュリティの強化を実現できます。利用者にとっても、Active Directoryは利便性を高めるものです。Active Directoryに一度ログインするだけで、社内の様々なシステムやサービスに、パスワードの再入力なしでアクセスできるようになります。これはシングルサインオンと呼ばれ、業務効率の向上に大きく貢献します。このように、Active Directoryは組織全体の情報管理とセキュリティ対策、そして利用者の利便性向上を実現する重要なシステムと言えます。
認証技術

知っておきたいカード認証:セキュリティと利便性の両立

- カード認証とはカード認証とは、ICチップが埋め込まれたカードや、電波で情報のやり取りを行う非接触型のカードを使って、本人であることを確かめる仕組みのことです。この技術は、銀行の現金自動預払機(ATM)でお金を引き出す時や、会社の入退室の管理、会社のパソコンにログインする時など、様々な場面で利用されています。従来の、磁気ストライプのカードに比べて、カード認証は偽造されにくいという特徴があります。そのため、セキュリティの強化を目的として、多くの企業が導入を進めています。近年では、クレジットカードや電車に乗る際に使用するICカードにも、この認証機能が搭載されるようになりました。例えば、インターネットで買い物をする際に、クレジットカードの情報に加えて、カードに設定したパスワードを入力することで、より安全に決済を行うことができます。また、会社のIDカードをオフィスの入り口でタッチするだけで、出入りを記録することができ、セキュリティの向上と同時に、勤怠管理の手間を省くことも可能です。このように、カード認証は私たちの生活において、安全性を高め、利便性を向上させる技術として、ますます欠かせないものとなっています。
認証技術

ICカード:小さなチップに秘められた大きな可能性

- ICカードとはICカードは、みなさんの財布やパスケースに入っていることも多い、プラスチック製のカードです。しかし、ただプラスチックでできているのではありません。このカードの小さな体に、コンピューターの頭脳である「集積回路(IC)」という小さなチップが埋め込まれているのです。このICチップのおかげで、ICカードは従来の磁気ストライプカードよりも多くの情報を、安全に保存し、管理することができます。では、ICカードは私たちの生活の中でどのように役立っているのでしょうか?例えば、買い物の際に利用するクレジットカードやプリペイド式の電子マネー、毎日の通勤通学に欠かせない電車の乗車券など、様々な場面でICカードが使われています。ICカードは、単に情報を記録するだけでなく、記録された情報を読み取って処理する機能も備えています。そのため、例えば電子マネーとして使う場合には、ICカードを読み取り機にタッチするだけで、瞬時に支払いを済ませることができます。このように、ICカードは私たちの生活をより便利で快適にするために、幅広く利用されているのです。
認証技術

情報セキュリティの基礎: IAMとは

- 情報資産へのアクセスを適切に管理する「IAM」とは 「IAM(アイデンティティ・アクセス・マネジメント)」とは、組織内にある重要な情報資産に対して、アクセスできる人を適切に管理し、許可された人だけが利用できるように制限する仕組みのことです。 近年、企業活動において、コンピューターシステムやネットワークへの依存度が高まっています。それに伴い、情報漏えいや不正アクセスといったセキュリティ上の問題も増加しており、企業にとって大きな課題となっています。このような状況下において、IAMは重要な情報を守るための対策として、ますます必要性が高まっています。 IAMを導入する主な目的は、以下の点が挙げられます。 * -不正アクセスからの防御- 関係者以外によるアクセスを防ぎ、情報の機密性を保ちます。 * -内部不正の抑制- 権限を持つ社員による不正行為を制限し、健全な組織運営を支援します。 * -業務効率の向上- 適切なアクセス管理により、業務に必要な情報へのアクセスをスムーズにし、業務効率の改善を図ります。 * -法令遵守の強化- 個人情報保護法など、関連法令に準拠した情報管理を実現します。 IAMは、アクセス権の設定、ユーザー認証、アクセスログの記録などの機能を持ち合わせています。これらの機能を組み合わせることで、組織はより強固な情報セキュリティ体制を構築することができます。
認証技術

APIキー:システム連携の鍵

- APIキーとは APIキーは、例えるなら自宅の鍵のようなものです。自宅の鍵を持っている人だけが家に入ることができるように、APIキーを持っているアプリケーションだけが、特定のサービスにアクセスしてその機能を利用したり、データを取得したりすることができます。 例えば、ある天気予報サービスがAPIを公開しているとします。このAPIを利用すれば、天気予報サービスが持っている天気情報を、自分のウェブサイトやアプリケーションに表示させることができます。しかし、誰でも自由にAPIにアクセスできてしまうと、悪意のある利用によってサービスが不安定になったり、情報が漏洩したりする恐れがあります。 そこで、APIキーを用いることで、誰がAPIにアクセスしているのかを識別し、許可された利用者だけがサービスを利用できるようにするのです。APIキーは、通常、英数字をランダムに組み合わせた文字列で、開発者がAPIを利用する際に、サービスに提示する必要があります。サービス側はこのAPIキーを確認することで、アクセスしてきたのが許可された利用者かどうかを判断します。 APIキーは、セキュリティの観点から、厳重に管理する必要があります。もし、APIキーが漏洩してしまうと、第三者に不正利用され、サービスに不正アクセスされる可能性があります。そのため、APIキーは、安全な場所に保管し、不用意に公開しないように注意することが重要です。
認証技術

二段階認証でアカウントをより安全に

- 二段階認証とは近年、インターネットの普及に伴い、様々なサービスがオンラインで利用できるようになりました。それに伴い、不正アクセスによる被害も増加しており、アカウントのセキュリティ対策がますます重要になっています。その対策の一つとして有効なのが二段階認証です。従来の認証方法では、アカウントにログインする際に、IDとパスワードのみが要求されていました。しかし、この方法では、パスワードが第三者に知られてしまうと、簡単にアカウントを乗っ取られてしまう危険性がありました。そこで、セキュリティを強化するために考案されたのが二段階認証です。二段階認証では、パスワードに加えて、もう一つの要素を要求します。この要素は、大きく分けて「知識情報」「所持情報」「生体情報」の3種類に分類されます。「知識情報」は、例えば母親の旧姓や、小学校時代のあだ名など、本人しか知り得ない情報のことです。「所持情報」は、スマートフォンに配信される認証コードや、専用の端末に表示される数字など、物理的に何かを持っていることを証明する情報のことです。そして「生体情報」は、指紋認証や顔認証など、身体的な特徴を利用した認証方法のことです。二段階認証を導入することで、たとえパスワードが漏洩してしまった場合でも、もう一つの要素を突破しなければアカウントにアクセスできなくなります。つまり、アカウントのセキュリティが大幅に向上するのです。
認証技術

パスワードレス認証:未来のセキュリティ

- パスワードレス認証とは従来の本人確認といえば、パスワードの入力でした。しかし、このパスワードを使った認証方式には、重大な欠陥がありました。それは、パスワードの流出や不正に入手される危険性が常に付きまとうという点です。パスワードが漏れてしまえば、悪意のある第三者にアカウントを乗っ取られ、個人情報や重要なデータが盗まれてしまうかもしれません。そこで登場したのが、パスワードを使わずに本人確認を行う「パスワードレス認証」です。パスワードレス認証では、そもそもパスワードを使用しないため、パスワードの流出によるリスクを根本から絶つことができます。では、パスワードの代わりに何を使って本人確認を行うのでしょうか? 代表的な方法としては、二つあります。一つは、スマートフォンなどに登録されている指紋や顔などの生体情報を利用する方法です。もう一つは、毎回異なる使い捨てのパスワードを発行する「ワンタイムパスワード」を利用する方法です。パスワードレス認証は、従来のパスワード認証と比べて安全性が高く、利便性も高いことから、今後ますます普及していくと考えられます。
ネットワークセキュリティ

ゼロトラスト: 信頼から検証へ、進化するセキュリティ対策

従来の情報セキュリティー対策は、城壁に囲まれた都市のように、会社のネットワーク内外をきっぱりと分け、外部からの危険を遮断することに力を注いできました。しかし、近年は状況が変わってきています。インターネットを通じて様々なサービスを利用できるクラウドコンピューティングの普及や、場所を選ばずに仕事ができるテレワークの増加によって、会社のネットワーク内と外を行き来するユーザーや機器が増加し、境界線が曖昧になってきているのです。従来のように、ネットワークの境界線上にだけ防護壁を築くやり方だけでは、巧妙化するサイバー攻撃から大切な情報資産を完全に守ることが難しくなってきています。 例えば、悪意のある第三者が、正規の利用者を装って会社のネットワークに侵入し、重要な情報を盗み出すといった攻撃も考えられます。また、テレワークで利用する個人のパソコンやスマートフォンがウイルスに感染し、それを通じて会社のネットワークに侵入される可能性もあります。このように、境界線が曖昧になった現代においては、従来の境界防御に加えて、ユーザーや機器を問わず、あらゆるアクセスに対して認証やアクセス権の確認を行う「ゼロトラスト」といった新しいセキュリティ対策の導入が不可欠となってきています。
認証技術

チャレンジレスポンス認証:人と機械を見分ける仕組み

- 問いかけと答えで本人確認チャレンジレスポンス認証 インターネットの世界では、目に見えない相手とやり取りをすることが当たり前になっています。そのため、本当にアクセスしてきた相手が本人かどうかを確認する仕組みが重要になります。その一つが、チャレンジレスポンス認証と呼ばれる方法です。 この方法は、まるで合い言葉を使うかのように、システムが利用者に特別な質問を投げかけます。この質問のことを「チャレンジ」と呼びます。利用者は、自分だけが知っている情報や、あらかじめ登録した方法を使って、その質問に答えます。これが「レスポンス」です。 例えば、銀行のオンラインバンキングを利用する場面を考えてみましょう。パスワードを入力した後、あらかじめ登録しておいた画像や数字の組み合わせが表示され、本人かどうかを確認されることがあります。これがチャレンジレスポンス認証の一例です。 システムは、利用者からのレスポンスが正しいかどうかを検証し、正しい場合にのみアクセスを許可します。この仕組みによって、例えパスワードが盗まれてしまった場合でも、不正なアクセスを防ぐ効果が期待できます。 チャレンジレスポンス認証は、セキュリティ対策として広く使われており、安全なオンライン環境を守るために重要な役割を担っています。
認証技術

パスワードレス時代の到来:WebAuthnで実現する安全な認証

今日では、誰もがインターネットを使うようになり、様々な場面で便利なウェブサービスが利用されています。これらのサービスを利用する際、ほとんどの場合でパスワードによる本人確認が行われます。パスワードは覚えやすく、特別な機器も必要ないため広く普及してきました。しかし、その反面、セキュリティの面ではいくつかの問題点も指摘されています。 まず、多くの人が複数のサービスで同じパスワードを使い回していることが挙げられます。もしも、ある一つのサービスからパスワードが漏洩した場合、他のサービスでも不正アクセスされる危険性が非常に高くなります。また、巧妙に本物そっくりの偽のウェブサイトやメールに誘導し、パスワードを入力させて盗み取る「フィッシング詐欺」も後を絶ちません。 さらに、パスワードそのものの管理にも課題が残ります。推測されやすい単純なパスワードを設定したり、メモ書きを不用意に放置したりすると思わぬ形で第三者に知られてしまう可能性があります。 このような状況を踏まえ、パスワード認証だけに頼らない、より安全で信頼性の高い認証方法の導入が求められています。例えば、スマートフォンを使った認証や、指紋や顔などの身体的特徴を利用した生体認証など、様々な技術が開発・実用化され始めています。
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パスワードを守る!辞書攻撃の手口と対策

- 辞書攻撃とは辞書攻撃は、コンピュータシステムやアカウントへの不正アクセスを試みる、一般的なサイバー攻撃の一つです。この攻撃の目的は、ずばりパスワードを盗み出すことにあります。辞書攻撃では、攻撃者はまず、辞書に載っている単語や、誕生日、ペットの名前、よく使われる数字の組み合わせなど、人々がパスワードとして設定しがちな文字列を大量に集めたリストを準備します。このリストは「辞書」とも呼ばれ、インターネット上で簡単に入手できるものから、攻撃者が独自に作成したものまで、様々なものが存在します。攻撃者は、作成した「辞書」の中の文字列を、自動化されたツールを使って、攻撃対象のシステムに次々と入力していきます。そして、入力した文字列が、システムに設定されているパスワードと一致した場合、攻撃は成功となり、不正アクセスが可能となります。辞書攻撃は、比較的単純な仕組みの攻撃ですが、多くのユーザーが推測しやすいパスワードを使い続けている現状では、依然として有効な攻撃手段となっています。そのため、パスワードは辞書に載っている単語や、推測しやすい文字列を避けて設定することが重要です。また、パスワードの定期的な変更や、多要素認証の利用など、セキュリティ対策を強化することで、辞書攻撃による被害を未然に防ぐことが大切です。